新卒採用の内定者SNSの運用失敗・NG事例8選

新卒採用において内定者SNSを導入する企業が増えてきていますが、失敗する企業も見受けられます。どのような対応が失敗に繋がってしまうのか注意点を事前に理解した上で導入すれば失敗を未然に防げます。内定者フォロー・新入社員研修SNSの運用失敗パターン8選をまとめました。

内定者SNSとは

内定者SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)とはTwitter、Facebook、LINEといったオープンなコミュニティと違い、限定されたメンバーしか利用できない非公開SNSです。非公開SNSになるので企業と学生双方が安心して自由に投稿できるのが魅力です。

内定者SNSの種類は大きく分けて2種類あります。内定者研修型とコミュニケーション型です。内定者研修型はWordやExcelといったビジネススキルからビジネスマナーなど幅広く学べるeラーニング研修が人気です。コミュニケーション型はFacebookのような内定者コミュニティを作り、タイムライン形式で簡単にコミュニケーションを図れるのが特徴です。Chaku2NEXT(ちゃくちゃくネクスト)のようにスマホ世代にとって使いやすいプッシュ通知が可能なSNSアプリも増えてきています。

いまの就職戦線は求人数が多いため就活生側にとっては複数の内定を得やすい環境ですが、企業側にとっては優秀な人材の奪い合いです。母集団確保に苦労しながら内定を出した学生が内定辞退を選択するなど新卒採用が年々難しくなってきています。そのため学生の内定ブルー対策など内定後のフォローを大切に考えるようになってきました。また低料金で利用できるサービスが増えたことで中小企業の利用率も上がったのも普及の要因です。

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内定者SNSの機能やメリット

内定者SNSには便利な機能が増えており、Q&A機能やアンケート機能を実装しているサービスもあります。他にも一元管理機能では内定者懇親会の案内など一括送信、参加者管理など大幅に工数削減できる機能もあります。内定者とのコミュニケーションの活性化と効率化を一気に解決できるのが内定者SNSです。

FacebookやLINEは無料で利用できるメリットがあるものの、個人のFacebookやLINEを共有したくない内定者は多く、強制的なプライベートの介入は配慮が必要です。そうしたニーズから生まれたのが招待制の非公開SNSです。クローズドなSNSなので情報漏洩のリスクもなく、企業にとって安心できる交流サイトでもあります。内定者のSNSを使った炎上トラブルを回避するためにも有効です。

内定者SNSの運用失敗・NG事例8選

① 投稿の社内チェックが厳しすぎる

担当者が投稿する際にアレはダメ、コレもダメといった投稿ルールが厳しかったり、事前チェックが厳しいと投稿数が減り、投稿内容も非常につまらない内容ばかりになります。自身の投稿内容や、内定者の投稿に対する返事をすべて上司に確認していると、返信が遅くなり、SNSでコミュニケーションをする醍醐味も薄れます。

コーポレート・ガバナンスの意識は大切ですが、意識しすぎるのもよくありません。招待制の非公開SNSであれば情報漏洩を気にする必要がないのが長所です。会社からのオフィシャルな情報の投稿(内定式のお知らせや、アンケートなど)のみ上長に確認を取るようにし、人事担当者個人の投稿・コメントは自由にさせてあげましょう。

② SNS内で事務連絡しかしない

SNSで懇親会の案内など事務連絡しかしないと、内定者の見る頻度も下がります。報告のような質素すぎる投稿は内定者もコメントしづらく絡みづらいため、導入目的である人事担当者と内定者同士の距離も縮まりません。人事担当者は積極的にプライベートなコメントをしたり、自分の気持ちも書いたつぶやきを書いたりしましょう。

ただし、「今日は〇〇のランチ定食を食べました」や「休日は映画を見ました」など、あまりにもプライベートな投稿ばかり続いてしまうと、会社理念への共感や入社意欲を高めることに繋がりませんのでバランス感覚が大切です。

③ 人事担当者の丁寧すぎるコメント

人事担当者の書き込みは内定者の投稿のお手本です。丁寧すぎる言葉で書いてしまうと内定者と距離ができてしまいます。もちろん「彼女いるの?」や「彼氏と旅行中?いいね!」といったフランク過ぎるコメントは困りますが、あまりにも長文でかしこまった文章もよくありません。

内定者は人事担当者の投稿内容やコメントを見本にして投稿するので、見本となる人事担当者が丁寧語で対応してしまうと他人行儀な雰囲気が流れ、SNSが盛り上がらなくなってしまいます。特にビジネス会話のような「承知しました」「確認しました」「よろしくお願い致します」のような言葉は避けたほうがいいです。

④ 内定者に目的やガイドラインを伝えない

内定者SNSを導入した目的を明示し、何をして欲しいか明確に伝えましょう。会社がSNSを用意した理由を書くことで、「監視するために導入した」と内定者が疑心暗鬼になることを避けられます。最初に「内定者同士の親睦を図り、会社や仕事についてより理解を深めてもらいたい」「入社前の不安を解消するために導入しました」といった目的を説明しましょう。

そして「みんなの様子が知りたいので月1回は近況報告をつぶやいてね」や、「重要なおしらせもSNSで掲載するので、週1回はログインしてね」「仕事について知りたいことがあったらドンドン質問してね!」といった具体的な内容を書くことで、最初の方向性を示す狙いもあります。

⑤ ほとんど投稿しない社員をたくさん登録

写真やプロフィールを登録せず、投稿もしない人事担当者や社員が多く登録されていると内定者は監視されているような気分となり、なかなか情報発信をしてくれません。また社員もプロフィールや写真を掲載していない人がいるのだから、自分もしなくていいという解釈をしてしまい、逆効果です。

人事だけでなく現場の従業員にもSNSの活性化に協力してもらうことで入社後のOJTにもスムーズに繋がります。特に内定者と年齢が近い入社3年以内の若手社員には積極的に協力してもらえる関係性を作っておくことが望まれます。逆に年齢の高い役職者を登録することは内定者の萎縮につながることもあるため、内定者SNSへの登録は慎重に行いましょう。

全く投稿してもらえなさそうであれば最初から登録しないのも一つの選択肢です。人事担当者や社員は登録された以上、写真やプロフィールを登録し、出来る限り情報発信をして内定者のお手本となるような状態を心掛けましょう。

⑥ 人事担当者だけが投稿し続ける

内定者の投稿がないと、人事担当者は盛り上げようと焦ってしまい、ついつい毎日投稿してしまいがちです。気づけば投稿しているのは人事担当者だけという事態に…。担当者の熱意が空回りしてしまい内定者が全くついてこられていない失敗パターンです。

この事態を避けるためには内定者の中でも仲の良いメンバーに「どんな投稿がいいのか手探り状態だから手本を見せてほしいんだ」と投稿を呼び掛けることをしましょう。誰かが投稿を始めると他のメンバーも安心して投稿し始めます。他にも内定者全員に自己紹介などのお題目(投稿テーマ)を出して投稿を働きかけたりするなど、人事担当者だけが投稿している状態を作らないことが大切です。

⑦投稿を強制させる

無理やりSNSを盛り上げようと内定者に投稿を強制させる企業がいるそうです。社会人からすると「最低でも週一回の投稿がノルマ」等は簡単な内容に思われがちですが、内定者から不満の声が多く聞かれます。内定者のモチベーションを上げるのは難しいですが、下げるのは簡単ですので注意してください。

一番最初に自己紹介をお願いする場合でも「なんでもいいから面白い事」のような無茶ぶりは止めましょう。強制する内容・頻度にもよりますが学生生活の妨げになるようなことは避けるべき。導入したからには使ってほしいという気持ちは理解できますが、理想は自主的に活用させることです。

⑧ログインしない内定者を気にしすぎる

SNSによっては「内定辞退予備軍発見機能」を搭載しているサービスもあります。これは「ログイン回数が少ない内定者は内定辞退予備軍の恐れがある」というデータに基づいた機能だそうです。悪い機能ではありませんが、使い方を間違ってしまうと、逆に内定辞退を招いてしまいかねません。1か月に1回ログインしないと強制的に面談する会社がいるそうですが、学生からすると「拘束・監視されている」と思う人もいます。

例えば卒業論文や部活動、長期旅行などで長期間ログインしない・できないことが考えられます。ログインを半強制的なノルマにしてしまうと、内定者から反感を買ってしまうこともありますので注意してください。強制ではなく自主的にログインするように企業側が役立つ情報を発信するようにしましょう。

関連記事:内定辞退を防ぐ内定者フォローSNSサービス比較分析

まとめ

内定者SNSは導入して終わりではなく、導入してからが本番です。導入してみたものの、どういう状態が成功しているのかイメージできず、何をしていいのかわからなくなってしまう人がいます。SNSが過疎化しないように、自社にとって何が成功した状態といえるのかを考えて、それに対して運用課題を予め考えておきましょう。

会社によって使う目的も内定者のタイプも違うため、運用方法や内定者との距離感も違ってくると思います。SNS運用において正解は一つではありません。自社に合わせた運用方法を模索し、上手に活用してほしいと思います。

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