昨今の新卒採用市場において、様々な企業から注目を集めている「オヤカク」という言葉をご存知でしょうか。今回はオヤカクの意味や企業事例をご紹介させて頂きます。手紙の文例はサンプルテンプレートとして自社に合わせてご活用ください。
オヤカクとは
オヤカクとは、内定を受諾した学生に対して、自社に入社することの承諾を親からもらったのか確認すること、もしくはその親に自社へ内定を受諾してもらうことをさす言葉です。
売り手市場の背景から内定辞退が深刻化する中で、その内定辞退の理由に「親から反対された」という項目の割合が目立つようになり始めたため、オヤカクへの企業の取り組みが注目され始めました。
内定承諾にあたり親からの承諾は特に必要ないと考える企業も半数以上いますが、子供の就職先がしっかりしているのか不安に思っている親は多いのが事実です。特に女性の両親は不安視する傾向が強いとの調査アンケート結果もあります。
企業事例①内定承諾後に直筆のメッセージを送付
東京都のある企業が、少しでも親御様に息子・娘の内定先に対して安心感を持っていただこうと始めたのが、社長直筆の手紙メッセージを送付することでした。
実際にはデータ化した直筆の文章を印刷し、宛名のみは毎回手書きをしている手紙です。送付するタイミングは、学生の内々定後の段階で送付しています。
学生に内々定を伝えた段階で両親にお手紙をお送りする旨の了承を得た上、送り先の実家住所と代表者名を伺います。内容としては、挨拶分、企業の沿革、業種、提供しているサービスに始まり、企業理念や採用・教育にかける想い、子供の人生を大切にお預かりするという旨が書かれています。
非常に一般的な内容ですが、会社の代表名で直筆のものが保護者宛に送られる点がポイントとなっています。
この取り組みを行ってからは、毎年内定者からも「親が喜び安心していた」「自分が入社を志望した理由に理解を深めてもらえた」という声が届き、逆に内定者の両親からお礼状や感謝のお手紙をいただくこともあるほど反響が良い事例です。
また、お手紙だけでなく、実際に企業理解を深めていただける企業概要の資料と、内定者にも全員行き渡っている新卒採用パンフレットも同梱しています。
例文)これからの人生に大きく関わる就職活動の機会において、ご子息(ご令嬢)が弊社への入社をご希望くださったことを心から嬉しく感じております。これから社会人として、新たな人生を歩まれるご子息(ご令嬢)が、日々充実した時間を弊社の環境で送られるよう、スタッフ一同、責任を持って努めてまいります。
企業事例②就活生に近親者とのコミュニケーションを促す
東京都のある企業では、面接以外の場でスタッフと就活生が面談できる機会を設けており、その面談ではお互いが近い距離感で、不安なことや心配なこともなんでも話せるぐらいのフラットな雰囲気を重視しています。
そこで必ずリクルーターから伝えてもらうようにしていることが、近親者とのコミュニケーションを促すことです。具体的には、自己分析の段階や選考企業への意志決定において、自分だけではなく自分のことをよく知る方(主に家族)とコミュニケーションを取ることで、自己分析もより深みを増し、社会人となった後にも周囲から応援、サポートしてもらえる関係性を育むことができるからです。
これまで新卒採用を行ってきた中で感じてきたことが「自分の道は自分で決める」という意識の学生が多いことです。その弊害としてオヤカクが問題視される状況となっているため、自分の意志も大切にしてもらいつつ、周囲から支持を得て応援してもらえる状況を内定者が作れるように企業側からサポートをしています。
採用ホームページは両親にも見られることを意識する
現在は、学生の就職活動での情報収集方法もWeb化がどんどん進んでいますが、それは親世代にも共通して言えることです。中には、子供の主観で話す言葉や説明では納得ができないため、ご自身で正確な情報を得て見極めたいとされる方も多くいらっしゃるでしょう。そんな時のためにも、自社の採用ホームページの情報を充実させておくことは非常に重要です。
売上推移や事業成長のエビデンス、IR情報といった数値的な情報から、企業のミッション・ビジョン・バリュー、働くスタッフの姿、オフィス環境など、目に見えるものが多ければ多いほど、包み隠さずに全てを見せられる優良で健全な企業という印象が強まります。
特にスタッフのインタビューコラムは内定者や家族からの評判が高いです。
内容は従業員を職種や年代問わず取材し、過去の経歴や経験、現在の業務内容ややりがい、将来の目標や夢という軸でヒアリングしている一般的なコラムです。もともとは自社のブランディング向上を主目的に始めた取り組みでしたが、結果的にオヤカク対策でも功を奏しました。
まとめ
オヤカクが問題視されている背景として、企業の情報の不透明さが大きな問題になっていると考えられます。自社の魅力や強み、そして安心感を持ってもらえるポイントを明確にすること、そして就活生本人だけでなく保護者にまで、その情報を届ける努力が企業にも必要な時代となっています。
特に知名度の低い企業は「そんな企業聞いたことない」「ちゃんと安定して勤められるのか」と反対される可能性が高いため、内定者フォローの一つとして取り入れてもいいでしょう。両親も賛同の上で新入社員として入社してほしいですよね。まずは取り組めることからスタートしてみてはいかがでしょうか。