小さい頃から車が好き。機械をいじるのが好きだから手に職をつけたい。このような人は自動車整備士に向いているかも知れません。自動車整備士について紹介します。
自動車整備士とは
自動車の点検をして不具合箇所の整備を行う国家資格者のことを、自動車整備士といいます。就職先はディーラーや中古車販売車、自動車整備工場、カー用品店、ガソリンスタンド、自動車メーカー、損害保険会社などがあります。
仕事自体はコツコツと地道に行うものですが、どの職場であってもお客様とのコミュニケーションを取る機会があるので、コミュニケーション能力は必要です。近年はレンタカーやカーシェアリングサービスが広まってきているため、売り手市場と言えます。
ただし、自動車整備は体力が必要なことから、体力に限界を感じると車検の検査員、部品開発の研究員や工員、テストドライバーなどへ転職する人が増えています。
自動車整備士資格試験情報
自動車整備士技能検定試験は3級からありますが、自動車整備全体に携わるには2級が必要です。2級自動車整備士にはガソリン、ジーゼル、シャシ、二輪があります。就職するには、ガソリン自動車整備を取得しておけば困ることはありません。
2級の学科試験は全国平均で80%~90%の合格率です。
■2級ガソリン自動車整備(学科試験)
2019年第2回:受験者人数10,154人/合格者人数8,543人/84.1%
2018年第2回:受験者人数10,624人/合格者人数9,270人/87.3%
■2級ジーゼル自動車整備(学科試験)
2019年第2回:受験者人数7,738人/合格者人数6,967人/90.0%
2018年第2回:受験者人数8,277人/合格者人数7,732人/93.4%
■2級シャシ自動車整備(学科試験)
2019年第2回:受験者人数186人/合格者人数173人/93.0%
2018年第2回:受験者人数268人/合格者人数227人/87.7%
■2級ガソリン自動車整備(実技試験)
2018年第1回:受験者人数41人/合格者人数9人/22.0%
■2級ジーゼル自動車整備(実技試験)
2019年第1回:受験者人数11人/合格者人数0人/0.0%
※参照:一般社団法人日本自動車整備振興会連合会(https://www.jaspa.or.jp/)
学科試験は国が指定する専門学校や養成学校を卒業した人達が多く受験するため、合格率が高くなります。(四年制の大学や専門学校は1級の受験資格)また、実技の受験者数が少ないのは、専門学校や養成学校の卒業者は実技が免除されるためです。
学校に通わずに自動車整備士の資格を取得するには、国が定める認証工場や指定工場で見習いから実務経験を半年~1年以上積んで、3級を受験する方法があります。見習い期間は整備に携わることはできません。先輩の補助や雑用がメインです。その分、給与が安くなるのを覚悟しておきましょう。
試験日程・試験問題・受験申し込み方法
試験は年2回あります。
試験科目は第1回と第2回で試験科目異なることがあります。注意をしてください。
参考までに2級(2019年)の試験情報を掲載します。
受験料:学科試験5,200円/実技試験13,500円
受付期間:2019年 8 月 5 日~8 月 9 日
学科試験日:2019年10月6日
実技試験日:2020年1月19日
試験時間:.学科(筆記)試験の時間割り
【10月の第1回登録試験】
二級ジーゼル自動車、自動車車体 :9:20~10:40
二級ガソリン自動車 :11:20~12:40
試験場所:学科試験は各自動車整備振興会所在地の都道府県等で行い、実技試験は原則として札幌、宮城、新潟、東京、愛知、大阪、広島、香川、福岡、沖縄で開催。
合格通知:合格発表時に日整連のHP等で公表。
参考:一般社団法人日本自動車整備振興会連合会 自動車整備士資格試験情報
https://www.jaspa.or.jp/mechanic/
自動車整備士の仕事内容
自動車整備士の仕事は、大きく分けて4つあります。
【点検整備】
自動車は使用しているうちに部品や機械が劣化していくので、定期的に点検しなければなりません。自動車の点検には日常点検、法定点検、ディーラーの定期点検、車検(継続検査)があります。特に車検は点検箇所が多く複雑な点検方法なので、正確に行うには経験が必要です。
【緊急整備】
「物損事故で車体の一部が破損した」「ブレーキのかかりが甘い気がする」など、運転中の不具合を整備します。
【分解整備】
エンジンやミッションなど重要な機械部分を分解して、整備をするオーバーホールを行います。オーバーホールは高度な技術を要するので、認証工場や指定工場の2級以上のベテラン整備士しかできません。
【板金・塗装】
自動車の外装を修復します。ボディのキズやへこみを修復または交換する板金作業。下地処理後にカラー液で塗装をして磨く塗装作業。これらの修復は整備士の資格がなくてもできますが、プロとして行うには下積みが必要です。
【その他】
オプションの取り付けやタイヤホイル交換、部品の発注、受付・電話応対、お客様への説明、事務作業などがあります。
整備士の給与・平均年収
自動車整備士の平均年収は約391万円(ボーナス込み)です。この年収でボーナスを2.5カ月分だとすると、月収は約26万円です。ただし、ディーラーと工場では給与が異なります。
ディーラーの給料平均は年収が約466万円で、民間の整備工場の給料平均は年収が約358万円と、ディーラーは年収が100万円以上高くなっています。ディーラーの中でも国産車と外車であれば外車の方が高く、普通車と大型車であれば大型車の方が高くなっています。
もしも、年収にこだわるのであれば外車のディーラーまたは、大型車のディーラーを選びましょう。
※整備士ジョブズ 給料の実情と高収入整備士の特徴を紹介(https://automotive.ten-navi.com/mechanic/salary.php)
自動車整備士のやりがい
自動車整備士のやりがいは、不具合の原因を見つけて整備した後に、お客様に感謝される時でしょう。自動車整備士の使命は、自動車事故や故障から人の命を守ることです。この使命を果たせた時に最も大きなやりがいを感じます。
また、工場やディーラーによっては難しい不具合を整備するとインセンティブが付くことがあるので、さらにやりがいを感じることができます。
もう1つのやりがいは、専門技術を身につけることができる点です。自動車整備士のプロとして誇りを持って仕事を臨めます。最新の技術を常に学んで経験を積むことで、スペシャリストとして頼りにされれば、給与も上がります。
最後に、職場によっては、廃盤になった自動車や最先端の自動車まで整備できることも、車好きの人には、大きなやりがいになるでしょう。
自動車整備士の苦労・厳しい面・デメリット
自動車整備の苦労・厳しい面・デメリットとしてあげられるのが、3K(キツイ・汚い・危険)の職場だという点です。しかし、空調がない職場や体力勝負面は仕事が好きであれば気にならない人も多くいます。
また、危険は自分の技術を上げれば回避できます。ただし、無理な体勢を長時間取ると腰痛になりやすいので、小まめにストレッチをすることで腰痛を回避する必要があります。
仕事量の多さによる残業がキツイという人もいます。自動車整備工場では、工場規模が小さくなればなるほど人件費を抑えているため、仕事は多岐にわたり残業が増えます。
さらに、コツコツ整備を行いたくて自動車整備士になった人にとって、お客様に原因があるにもかかわらず「整備したと言われたのに、また不具合が発生した」というクレーム対応は特にストレスがたまるようです。
最後に、近年エコカーや自動運転技術の発達が目覚ましい分、整備技術も高度なものが要求されてきています。これらの技術を身につけるための勉強が大変という声も聞かれます。
まとめ
扱う自動車の種類や給与など何を重視して就職先を決めるのかが、重要になってきます。自分が自動車整備士になる目的を考えたうえで、応募先を絞りこみましょう。