求人広告でよくある応募者トラブル・クレーム事例と改善方法

面接で「この待遇は求人広告に掲載していた内容と違いませんか?」と面接者に言われたことはありませんか。アルバイトや正社員でも求人広告に記載した労働条件と実際の内容のズレをめぐって起きるトラブルは多いです。クレームを受けた時の法的なペナルティやトラブルを未然に防ぐ方法について解説します。

ユーザークレーム統計データ

アルバイト情報サイトのユーザークレームの統計

①実際の仕事内容との相違:53%
②募集していない仕事の掲載:15%
③掲載既定の違反:7%
④企業の対応や態度:18%
⑤終業後の給与未払い:1%
⑥その他:6%

①②③を含めた75%が求人原稿が原因のクレームです。

派遣求人情報サイトのユーザークレーム統計

①募集していない仕事の掲載:39%
②実際の条件との相違:15%
③実際の仕事内容との相違:13%
④企業の対応や態度:14%
⑤応募資格(性別・資格):9%
⑥その他:10%

①②③を含めた67%が求人原稿が原因のクレームです。

よくあるトラブルケース例-正社員・アルバイト編

ケース1
「面接で、求人広告に記載してある賃金よりも、低い賃金を提示されました」

ケース2
「働いてみると休日などの待遇や福利厚生が広告内容と違っていた」

ケース3
「求人広告には“基本給30万円”と記されていたが、実際は40時間分の残業代が含まれており、基本給は実質20万円だった」

よくあるトラブルケース例-派遣社員編

募集内容の相違のトラブル事例

先日、登録にいった仕事は募集内容が全く違いました。求人広告には「①フレックスタイム制②勤務日も週1日からOK③Wワークも歓迎」と記載されていました。私は昼間勤めているので、この募集条件に惹かれ、応募しましたが、すべてがデタラメで、実際は「慣れるまでは9時開始で週3日1日6時間以上でないと困る」と言われました。最初からそのように記載するべきです。

トラブルを回避するポイント

記載した仕事内容が嘘でなくとも、詳細な説明を省略すると応募者に誤解を与えてしまいます。特に研修期間や試用期間の待遇が違う場合はしっかり記載しましょう。一見マイナスに見えることでも、事実を記載すれば、その条件に納得した人だけが応募するので、その後のトラブルがなく、企業にとっても効率的に採用活動ができます。

応募資格の相違のトラブル事例

派遣サイトで見つけたお仕事をするために、派遣会社へ登録に行きました。求人広告には「未経験でも大丈夫!初心者でも確実にキャリアアップが見込めます」「未経験でも社会人経験のある方ならOKです!」と書いてありましたが、「即戦力を求めているので、未経験の方にはご紹介していません」と言われました。

事前に「未経験です」と伝えているのに、おかしいと思いませんか?会ってから判断したのでしょうか?一体「未経験」とは何を指しているのですか?わざわざ登録まで行ったのに詐欺にあった気分です。交通費を返してほしいです。

トラブルを回避するポイント

応募資格は、応募者がお仕事を選ぶ際に重要視する項目です。自分にできる仕事かどうかを、この項目で判断しています。ニーズに合った人材を確保するためには、この項目をより具体的に記載することが大切です。ひとくちに未経験といっても「業界未経験」「職種未経験」「社会人未経験」など異なります。何が「未経験でもOK」なのかを詳しく記載しましょう。

クレームを受けた時の法律的なペナルティ

類似例として「面接に行ったら、求人広告に記載されている仕事内容や労働条件と異なる説明を受けた」「面接の際、『応募した求人とは別の雇用形態で採用したい』と言われた」などがあります。

面接に来た求職者に、求人広告と違う待遇を提示するのは法律的にもNGです。面接時に提示した待遇が広告よりもダウンしていれば、好条件をちらつかせて求職者を釣るオトリ広告や虚偽広告とみなされ、場合によってはペナルティとして6か月以下の懲役、または30万円の罰金などが科されます(職業安定法 第5条の3、第42条、第65条第8号)。

基本的には、求人広告通りの条件で面接をするのが大前提。ただし、面接時にわかった求職者の能力や適性を加味し、広告とは異なる条件の求人に応じてもらえないかと交渉した結果であれば、問題はありません。

トラブル回避のポイント

求人広告トラブルを未然に防ぐには、「求人広告に労働条件を正確に記載すること」「労働条件を一義的に定めること」「雇用者として求職者に丁寧に説明責任を果たすこと」。これらを満たしていれば、クレーム例のような典型的なトラブルが起きる確率をぐっと下げることができます。

労働トラブルにならないためにも求職者と労働契約を結ぶ必要があります。労働条件を記した雇用契約書(労働契約書)を雇用前に配布し、きちんと内容を説明し、求職者が雇用契約書(労働契約書)を受諾し、理解したと示すサインをもらっておくことが一番重要です。

※一義的・・それ以外に意味や解釈が考えられないさま

まとめ

行き違いや説明不足でトラブルにならないためにも、労働条件は求人広告にも正確に記載し、面接でも丁寧に説明しましょう。多くは伝え方を改善すれば解決できます。お互いが気持ちよく働ける職場環境を作るためにも、ぜひ実践してください!

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