やらなければならない業務を抱えているにもかかわらず仕事をやる気が出ない、仕事どころか何もしたくないと感じたことはないでしょうか。誰にでもそのような思いを感じた経験は多少なりともあるでしょうが、それが長く続き仕事に支障をきたすようであれば、何らかの対処法が必要です。
そこで今回は、仕事をやる気が出ない、何もしたくないと感じる原因と対処法、やる気が出ない部下に対する上司の対処法について解説します。
目次
やる気が出ない・何もしたくないと感じる原因
しっかり仕事に取り組もうと努力したいけれど、どうしてもやる気が出ない、何もしたくないと感じることは誰にでもあり得ます。仕事への熱意があったにもかかわらずそのような思いを抱えてしまうのには、いくつかの原因があります。
職場環境が悪い
与えられた仕事できちんと成果を出したいと考えていても、その仕事を行う職場の環境が悪いと、やる気も出なくなってしまいます。例えば、労働時間が長すぎて残業が常態化している、人間関係が悪くチームワークが取れない、希望通りに休暇が取れないなど、1日の多くを過ごす職場環境の悪さは、仕事へのモチベーションを下げる要因です。
職場環境の悪さは、オフィス内だけに限りません。在宅勤務をしている方であっても、仕事に集中しにくい環境で仕事を続けていると集中力がなくなりやすく、やる気も出なくなってしまうでしょう。
また、在宅勤務はどうしてもオフィスよりも気が緩みがちで、多少サボったり手を抜いたりしてもいいだろうという怠惰な気持ちが、仕事のやる気を削ぐこともあります。
正当な評価が得られない人事評価制度
職場環境の悪さと共通するポイントですが、正当な評価が得られない職場で働いていることも、やる気をなくす大きな要因です。仕事に一生懸命取り組んで成果を出したとしても、それが正当な評価を得られずに昇進や昇給につながらない場合も、モチベーション低下につながり、やる気を削がれてしまいます。
自分の努力が評価として反映されないとなると、やる気が出なくなるのは必然といえるかもしれません。
仕事内容が合わない・魅力が感じられない
希望して入社した会社であっても、希望の部署への配属が叶わないこともあるでしょう。そのような場合、仕事内容が自分のスキルや経験に合わないと感じてしまい、やる気が出なくなってしまいがちです。
転職に急いで希望と異なる業種や職種で働いた場合、このようなケースが増えることが考えられます。たとえ現在の仕事が希望していた仕事だったとしても、実際に働いてみるとやりがいを感じられない、向いていると思っていたけれど自分に合わないと感じると、モチベーションを保つことが難しくなります。
今の仕事に魅力を感じていない方も、やる気が出なくなりやすいといえます。魅力がない仕事はやりがいを感じられることが少ないため、おのずと仕事に対するモチベーションも落ちてしまうからです。
これらのどのようなケースでも、苦手なことや好きではないことをやらなければならない状況であり、仕事へのやる気を出すことは困難となりやすい状況となるでしょう。
プライベートで抱えている悩み
仕事のやる気が出なかったり何もしたくないと感じたりする原因は、職場だけにあるとは限りません。今の仕事に満足している、充実しているとしても、プライベートで何かしらの悩みを抱えている状態では、その悩みに意識が向きがちです。
仕事以外に意識が向いている状態では、仕事に集中することは難しく、結果的にやる気が落ちてしまいます。
心身の疲労
仕事量が多く残業続きである、仕事に追われてプライベートで休む時間が取れないような状況が続いていると、体だけではなく心も疲労していきます。
職場でのストレスに加えて、前述したようにプライベートでの問題も仕事へのやる気に大きく影響します。疲労が溜まっていてもやるべき仕事が終わらなかったり、精神的な疲れが蓄積していたりすると、何もしたくなくなることがあります。
大見出し:仕事をやる気にするための対処法
このように、仕事のやる気が出なかったり、何もしたくないと感じたりするのは、さまざまな原因が考えられます。やる気を少しでも上げるためには、まずそれぞれの原因に合わせた対処法を実践してみましょう。
相談をしてみる
仕事のやる気がでない、何もしたくない原因が職場環境や業務内容、評価制度などの不満にある場合は、上司に相談するのも一つの方法です。
現状に不満があり、仕事へのやる気が出ない悩みを相談するとともに、モチベーションを上げるための評価の見直しや部署異動なども併せて相談すれば、今の職場環境が改善するかもしれません。環境を変えるだけでも、やる気がアップする可能性は十分にあります。
プライベートに関する相談は、友人や家族など身近な人に相談してみてもいいでしょう。第三者からの視点で、自分では気づかなかったことに気づけることもありますし、何気ないアドバイスからプライベートの悩みが軽くなったり解決したりすることもあるでしょう。
目標を立てて行動する
仕事が単調に感じてやる気がなかなか起こらない、終わりが見えずモチベーションを上げられないときは、自分で目標を立ててみましょう。業務上の目標とは異なる目標とはなりますが、自分だけの目標を設定し、そこへ向かって行動すると、意欲的に取り組みやすくなるでしょう。
将来の目標を明確にする意味では、キャリアプランを立てるのがおすすめです。将来どのような道を進んでキャリアを築くかの明確なプランを立てれば、自分が今何をしたいのか、するべきなのかも明確になるでしょう。
自分だけが達成すればいい目標なので、ゲーム性を持たせてみるのも一つのアイディアです。複数の目標を設定し、最初の目標を設定したら次の目標を自由に選択する、というように工夫した目標設定を行うと、単調な仕事でも達成感を得やすくなります。
休息を取る
残業続きで休みが取れない状態が続くと、心身へ悪影響を及ぼし、仕事にも影響が出てしまいます。仕事が立て込んでいてなかなか休めないとしても、その状況が続くことは仕事の質やスピードが落ち、良い結果を生み出せません。
そこで、思い切って休息を取ってみましょう。休むことそのものに罪悪感を感じる方もいるでしょうが、仕事をしっかり進めるための休息だと考えて、仕事から離れて一度ゆっくりと休むべきです。十分な睡眠を取ってリラックスタイムを過ごすなど、健康的で心身を休められる時間を取りましょう。可能であれば、まとまった休暇を取ることもおすすめです。
「ごほうび」を設定してみる
仕事へのモチベーションが上がらないと悩んでいる方は、前述の目標を立てるとともに「ごほうび」と設定するといいでしょう。ごほうびとはもちろん、自分で自分に与えるもので、何かを達成した際にごほうびを設定することでモチベーションアップが図れます。
例えば、一つの目標を達成できたら前から行きたいと思っていたレストランで食事をする、すべての目標を達成できたらあこがれのブランドアイテムを購入するなど、目標に「ごほうび」を少しプラスするだけでもモチベーションが上がりやすくなるでしょう。
オンオフのメリハリをつける
仕事時間が長くプライベートを侵食している、という方は、自分の時間がなかなか取れず、休めない状況に陥りがちです。退勤後も仕事のことばかり考えていて、仕事漬けになってはいないでしょうか。このような状況では、本来心身を休める時間であるプライベートの時間も休むことができません。
そのため、仕事へのやる気を出すためには、オンオフのメリハリをきちんとつけることが大切です。仕事とプライベートの区切りをはっきりと付けて、オフの時間は仕事から離れると、仕事への意欲も改善しやすくなるでしょう。
生活習慣を見直す
正しい生活習慣は、すべての生活の基本となります。不規則な生活を続けていると、疲労がなかなか解消せずに疲れを抱えたまま仕事へ行き、しっかり休めないまま翌朝仕事へ行く、のループとなります。不健康な状態が続くこともあり、心身への悪影響が大きくなる恐れがあるので、規則正しい健康的な生活習慣を意識することが重要です。
小見出し:運動を習慣づける
特にデスクワークの方は、仕事が立て込んでいると座りっぱなしの時間が長く、ほとんど運動らしい運動をしていないことが多いのではないでしょうか。在宅勤務も、通勤・帰宅で家を離れる必要がなく、自宅の中で仕事もプライベートも完結してしまうので、どうしても運動不足に陥りがちです。
運動不足は体力が落ちて疲れやすくなり、不眠になりやすいといわれます。また、集中力低下やメンタルヘルスの不調にもつながるため、適度に体を動かすことは生活習慣改善の基本となります。
激しい運動でなくても、意識的に歩くことを心がける、通勤・帰宅時に歩く距離を延ばす、できるだけ階段を使うなど、身近なところから運動習慣をつけてみましょう。
十分な睡眠を取る
睡眠時間は、6~8時間が適切だといわれます。睡眠不足になると仕事への集中力が欠けやすく、疲労解消もできません。日中眠さを感じる、仕事に集中できないと感じる方は、睡眠時間を増やす努力をしてみましょう。
また、朝の光を浴びることも健康には大事だといわれます。朝日を浴びて分泌が促進されるセロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれる神経伝達物質で、快眠効果や幸福感の増幅、ストレスを感じにくくしてくれる効果が期待できます。生活習慣改善のちょっとしたポイントとして、毎日規則正しい時間に起床して朝日を浴びてみるのもいいでしょう。
転職を検討する
職場環境が原因でやる気が出ない、何もしたくないと感じる場合は、前述したように上司に相談することで解決できることがあります。しかし、相談して解決できないことも少なくはなく、特に人間関係を改善することは簡単ではありません。
自分で努力をしたにもかかわらず環境を変えられない場合は、自ら環境を改善する意味でも転職を検討することも選択肢としてみましょう。当然ながら、転職をすれば働く環境をガラリと変えられるので、やる気が出ない原因を根本から改善し、再び前向きな気持ちで仕事に取り組める期待ができます。
部下に「やる気が出ない」と相談を受けた場合の対応方法
ここまで解説してきたのは、自分自身が仕事に対するやる気が出ない、または何もしたくないと感じる場合の原因や対処法ですが、場合によっては自分が部下にやる気が出ない悩みを相談される可能性も考えられるでしょう。そのような場合、どのような対応をすればいいのでしょうか。
まずは親身に話を聞く
部下からの相談は、まず親身に話を聞くのが基本です。できるだけ相談しやすい環境で話してもらえるよう、雑談しやすい食事の席やお酒の席で話してもらうのがおすすめです。
どんなに些細な相談でもしっかりと聞き、自分が解決できそうな問題であれば解決に協力する姿勢を見せましょう。部下にとっては、自分の相談に乗ってくれた上司が心強い味方になってくれることで安心感を得られ、仕事に対するモチベーションが復活する可能性が高まります。
業務効率化・評価制度の見直しを図る
やる気が出ないことを部下が上司に相談する場合、その原因は職場環境にある可能性が高いでしょう。上司に掛け合えば解決が期待できる内容も多いはずです。
非効率な作業で残業が続いている場合はツールやシステム導入を検討して業務効率化を図る、成果を認められない悩みを抱える部下に対しては、評価制度の見直しを行い、一人ひとりの成果に見合った評価を行うなどの改善策を実施しましょう。
このような職場環境の改善が見られれば部下への負担が減り、モチベーション低下の改善が期待できます。
まとめ
長く仕事を続けていると、時には仕事をやる気になれない、何もしたくないと感じることはあるものです。しかし、その状況が長く続く中で無理やり仕事を続けていると、心身に悪影響を与え、精神疾患につながる恐れもあります。
そのような状況を防ぐためには、なぜやる気が出ないかの原因を知り、適切に対処することが必要です。もし仕事をやる気になれないと感じている方は、今回ご紹介した情報を参考に対処法を実践してみましょう。