社会人なら「仕事が向いていない」と感じる瞬間は誰にでも訪れるものです。適性が合わないとモチベーションが低下し、成果にも影響が出がちです。本記事では、その原因を探り、向き合うための具体的な対処法を紹介します。
また、転職を考える際に押さえておきたいポイントについても解説します。自分に合った仕事を見つけ、キャリアを充実させるためのヒントを得ましょう。
目次
仕事が向いていないと感じやすいタイミング
会社で仕事を始めるまでは、その仕事が自分に合っているかどうかの判断は難しいでしょう。仕事の向不向きはすぐに判断するべきことではありませんが、入社後に何度か判断に適したタイミングがあります。
入社直後~1年目
入社した直後は、希望した会社で希望の仕事に就いていることが多いので、仕事のミスマッチは少ないはずです。しかし、当然ながら最初から希望した仕事を担当できることはなく、最初は誰しも基本的な仕事の進め方を身につけながら上司や先輩の指導の元で基本的な仕事を任されるのみというケースも多いでしょう。
ごく基本的な仕事もうまくこなせなかったり、上司や先輩に注意されたりする日々が続くと、「向いていない」感じることがありますが、これは誰にでも起こり得ることです。そのため、この時点で「向いていない」と判断するのは時期尚早といえるでしょう。
入社2~3年目
入社2~3年目は仕事にようやく慣れて、一通りの仕事ができるようになってきます。この時期になると、だんだんと重要な仕事に携わる機会も増えてくるのではないでしょうか。一方で、ミスや失敗が多いと新人でもないのに、と叱責されることも出てきます。2~3年も経験を積んでいるのにミスや失敗が多いとプレッシャーを感じてしまい、ストレスも溜まってしまうでしょう。
また、この時期は同期入社の同僚との差が明確になり始める時期でもあります。同じスタートを切ったはずの同僚が活躍している、成果を上げていることを目の当たりにして劣等感を感じることで、「この仕事が向いていないのでは」と感じ始めるタイミングとなります。
30~40代
入社後10年以上経過した30~40代は、すでにある程度の成果を出してキャリアを築いている年代です。人によっては管理職に就いていることもあるでしょう。その分仕事に対する責務も大きくなり、他部署はもちろん外部の取引先との連携が増えます。
自分の下で働く従業員を取りまとめる役割を担う人が多い年代ですが、そもそもそのようなリーダー的役割が合わないと感じる場合があります。今まで上司や先輩の元で仕事をこなして成果を出してきた人でも、管理職となったときに成果を出せず、リーダーとして向いていないと感じるケースが多いのが、30~40代という年代です。
転職後
他社での勤務経験を元に転職をしても、想定していた仕事内容ではなかった、会社の雰囲気が自分にマッチしないと感じることがあり得ます。また、当初自分に合っている仕事と感じて入社したけれど、入社後に会社の方針などが変わり、働きにくくなるという自分ではどうしようもない変化によって仕事が合わなくなることもあるでしょう。
仕事が向いていないと感じる原因・要因
今の職場で担当している業務内容やプロジェクトをこなしていると、「もしかして自分にはこの仕事が向いていないのでは?」と考えることがあるかもしれません。確かに、一人ひとりに仕事の向き・不向きは存在します。
しかし、自分に適した仕事だと考えて決めたはずの仕事にもかかわらず、向いていないと感じる場合は、いくつかの理由があるはずです。
今の仕事が向いていないと判断するには、その原因となる以下の3つをチェックしてみましょう。
職場環境・勤務状況
職種そのものが自分に合わないと、仕事が向いていないと感じやすい最も大きな原因となってしまいます。例えば、接客業や営業職の人が仕事をしているうちに人と接する仕事が苦手と感じた場合、ミスマッチが起こり「向いていない」と感じやすくなります。
仕事内容そのものが自分に合っていないのではなく、その仕事をする場所が合っていない可能性もあります。職場環境がその代表的な原因です。それぞれの会社ごとに、独自の価値観や文化があるものですが、そのような社風はどうしても合わないというケースがあるでしょう。
職場内の人間関係も、仕事が合わないと感じる要因に数えられます。この場合も、仕事そのものは決してマッチしていないわけではないものの、仕事は一人きりではなく他の従業員と協力して行わなければならない場面が多いため、人間関係が悪い職場ではストレスがかかりやくなり仕事をうまくこなせず、その結果「向いていない」と感じてしまうのです。
勤務状況も仕事が向いていないと感じやすい原因で、残業が多く心身に負担が大きい場合も、
自分のスキル
仕事に必要とされるスキルが不十分な場合も、仕事が向いていないと感じる要因です。
ミスが多く上司に叱責される、仕事のスピードが遅く成果が出せないなどの理由に加えて、周囲の従業員は問題なく仕事をこなしている、優秀で自分より仕事ができる人ばかりでついていけないといった環境的要因も、仕事が向いていないと感じてしまう原因となってしまいます。
この場合のスキルは、必ずしも仕事内容だけに限りません。周囲とやり取りしづらく、協力できる状況ではない環境で働き続けることも、仕事の合わなさに関係してきます。
例えば、従業員と協力して取り組まなければならない仕事でうまくコミュニケーションができないケースでは、コミュニケーションスキル不足が原因で仕事が合わないと感じてしまうでしょう。
成果や実績の有無・評価
職場でなかなか成果を出せないときは、仕事が向いていないと思いがちです。どんなに努力をしているつもりでも思うような結果が出なければ、向いていないと感じるのも自然なことかもしれません。しかし、成果を出していたとしても達成感や満足感を感じられない場合も向いていないと感じやすいものです。
また、明らかに成果を出しているにもかかわらず、正当な評価をしてもらえないこともあります。これは前述職場環境や社風と併せて「仕事が合わない」と感じる大きな要因です。
仕事が向いていないと感じるときの対処法
仕事が向いていないと、働くことが苦痛に感じることも増えてきます。その思いが一過性のものであれば、時間の経過や仕事の進捗によって自然と解消することがありますが、仕事が向いていないと考えながら働き続けることは、決して良いこととはいえません。そのような状況を解消するために、対処法を実践してみましょう。
「向いていない」と感じる原因を探る
「向いていない」という感情は他人にはわからないもので、自分だけが感じる抽象的な感情です。そこで、まず行いたいのが、なぜ自分にこの仕事が向いていないのか、原因を探ることです。
そもそも希望した仕事ではない場合はその原因が明白ですが、やりたかった仕事をしているのであれば、仕事に対する意欲を見直す、ストレスを感じる原因を探るために周囲の環境や人間関係を見直してみることが大事です。
状況改善を試みる
仕事が向いていないと感じる原因が明確になったら、その問題の解決を試みます。例えば、上司や同僚と合わないなどの職場環境が原因であれば、部署異動を申し出てみましょう。現状維持で、今の仕事をもっと精力的に取り組んでいけば劣等感が解消して問題が解決に向かっていくでしょう。
相談する
仕事が向いていない状況に置かれている中で、自分ひとりで悩みを抱え込むことはストレスが溜まる一方で、心身への負担が大きく好ましいことではありません。少しでもストレスを和らげるためにも、誰かに一度相談してみることも必要です。
友人や家族など、身近にいる話しやすい人に相談してもいいですし、信頼できるカウンセリングができる相談先に相談してみるのも一つの方法です。
どうしても仕事が向いておらず転職も考えているのであれば、転職相談も含めて相談できる相談先を選んでみましょう。前述の状況改善を試みた場合でも、職場環境や人間関係、社風は自分の努力だけでは改善が困難です。
部署異動で改善すれば問題ありませんが、部署異動をしても改善がみられない場合も、転職を視野に入れてみましょう。
自分に合った仕事に転職するためのポイント
上記の対処法を実践して努力をしても、どうしても仕事が合わないと感じるのであれば、転職するのも一つの方法です。しかし、転職すれば状況が改善するとは限らず、転職先で同じ状況になる可能性がある点に注意が必要です。
転職したにもかかわらず、前職と同じように「仕事が合わない」と感じてしまう事態を防ぐためには、転職活動中の準備がポイントとなります。そのためには、以下の3点を意識して転職活動を進めましょう。
価値観を明確にする
仕事が合わないと感じるのは、その仕事が自分の価値観に合っていないことが原因の一つです。そもそも価値観とは、一人ひとりが持つ考え方という意味で、人によって大きな違いがあるので、自分が合わないと感じる仕事でも、他の人にとっては最適な仕事というケースもあり得ます。
その価値観と一緒に働く従業員、または会社が持つ価値観とのミスマッチがあると、「仕事が合わない」と感じやすくなってしまいます。今の仕事が自分の価値観に合っているかどうかを知るには、まずは自分の価値観を知って明確にするところから始めましょう。
自分が仕事に何を求めているか、何を重要視しているかなどを書き出して、大切にしているものの優先順位を付けます。その優先順位が会社と相違がある場合、価値観が合わず「仕事が向いていない」と感じる要因となります。
転職先の情報収集を行う
上記の価値観のミスマッチを防ぐためには、転職先の情報収集が重要となります。完璧に転職先の価値観を把握することは難しいものの、入社前に転職先の情報をよく知っておくことは、ミスマッチ防止に有益です。
転職の際は、誰しも転職先の会社概要や待遇などは最低限確認するでしょう。各企業のホームページには、企業理念や方針、従業員の声などさまざまな情報が掲載されているはずです。
直接的に転職にかかわらない情報だとしても、企業の価値観を知る要素となることがあるので、このような情報もチェックしておくことがポイントとなります。
相談やカウンセリングを受ける
転職は自分一人ですべてを決断するべきと考える方がいるかもしれませんが、第三者に相談すると自分では気付けなかった自分自身を知ることができるメリットがあります。
仕事が合わないことで気分が落ち込んでいるときは、正しい判断ができない状態となっていることがあるため、専門のカウンセラーへの相談、または転職コンサルタントとカウンセリングを受けるなどしてみましょう。
転職希望者であれば、転職エージェントを利用すると知識や経験豊富な転職コンサルタントによる無料のカウンセリングを受ける機会を得られるので、積極的に外部のサービスを利用するのも、自分に合った仕事を見つけるための方法です。
まとめ
仕事の合う・合わないの基準は、人によって大きな違いがあります。どんなにがんばって仕事に取り組んでいても成果が出なかったり、働く環境や社風が自分に合わなかったりすると、この仕事が向いていないと感じる大きな原因となります。
また、入社後のタイミングごとに「合わない」と感じる理由にも違いがあります。仕事が向いていないと感じるときは、まずは今回解説した対処法を実践してみましょう。
自分ではどうしようもないことが原因で仕事が合わないと感じる場合は、働く場所そのものを変える意味でも転職を検討するのがベストな手段となることもあります。最適な職場で自分の能力を十分発揮してキャリアアップを望む方は、転職も含めて検討してみてはいかがでしょうか。