就活生が一度は必ず考えなければいけない「会社選び(仕事選び)の軸」。志望業界を選んだ理由、職種を選んだ理由、会社を選んだ理由、様々な軸がありますが正しい考え方とはなんでしょうか。失敗しやすい考え方と一緒に正しい考え方をまとめました。
正しい会社選びの軸とは
会社選びの軸は大きく二通りあります。「どんな興味関心があるのか」と「なにをもって内定先企業を決めるのか」です。これらは面接の定番質問で、面接官も採用基準として重視しています。
興味関心は就活途中で変更できますが、内定承諾は一度しか選ぶことはできません。売り手市場と呼ばれている近年では3社以上の内定獲得も普通です。内定獲得後に迷わないためにも最初から考えておくと、内定承諾前に「どの企業が自分に合っているんだろうか?」と不安になったり、内定承諾後に「本当に自分に合っているのか」と内定ブルーになることもありません。
会社選びの軸は重要ですが毎年間違えてしまう人が多くいます。残念ながら新卒の入社3年以内の離職率は約30%なのが事実であり、様々な原因はあるものの退職理由に「自分に合っていなかった」「会社選びが間違っていた」が上位にランキングされています。
興味関心は人それぞれですが、今回は「なにをもって内定先企業を決めるのか」において間違えやすい会社の選び方を2つご紹介させていただきます。
1. 採用担当の人柄で決めない
採用担当の人柄で会社を選んではいけません。なぜなら入社後に採用担当者と一緒に仕事をすることはないからです。配属先が人事部であれば問題ありませんが、新入社員の多くは営業部や支店など違う部署になるはずで、人事とは顔を合わすことすら無くなります。もしかしたら入社したときは退職している可能性もあります。
採用担当者の中にはカリスマ人事と呼ばれる人もおり魅力的な人が多いです。人柄や性格が素晴らしい人が多いだけに「人事の雰囲気=会社の雰囲気」と勘違いしやすいです。企業も学生ウケがいいように合同説明会で喋る人は元気で明るい若手社員を意図的に抜擢して配属しています。
もちろん会社の顔として「その会社らしい人」が選ばれていることもありますが、その人だけで全てを判断してしまうのは軽率と言えるでしょう。例えば現場の営業部長や支店長は短気な性格で数字ノルマの厳しい人かもしれませんよ。
同じように一人の先輩と会っただけでその会社全体のカルチャーを判断してはいけません(10名以下の会社で直属の上司が決定しているケースを除く)。良くも悪くも企業には様々なタイプの人がいますので、一人の先輩と会っただけで判断しないようにしましょう。ただし会社の雰囲気や現場の温度感は実際に入社してみないとわからない部分なので、ある程度は割り切って考えることも大切です。
2. 経営理念で決めない
経営理念や経営者のメッセージで内定の軸を決めてはいけません。なぜなら経営理念はどの会社も素晴らしいからです。ブラック企業と呼ばれる企業の経営理念も素晴らしいです。しかし、中には現場とのギャップが生まれている会社もあります。
例えば顧客優先主義や、社会意義をモットーにしている経営理念でありながら、営業部では数字主義の会社もあります。営業部は売上を作るのが組織の役割なので仕方がありませんが、経営理念を会社選びの軸にしてしまうとギャップに悩んでしまう新入社員がいます。
また当たり前ながら新卒説明会では良い事だけを話します。たまに「悪い部分もお話ししますね」という方もいますが、多くは「見せても問題ない悪い部分」です。本当に悪い部分はわざわざ伝えません。
※ただし面接ではミッションやビジョンに共感したことを伝えるのは有効な方法です。役員面接や理念型経営と呼ばれる企業には特に共感することは大事です。
成功させるための軸
「将来どんな仕事をしていきたいか」「具体的な仕事のイメージ」が最も重視すべき軸です。ただ多くの学生は将来何をしたいか決まっていないまま就職活動をしていると思います。もしも具体的な将来像がなければ、具体的な仕事のイメージに専念してもらいたいと思います。
例えば営業であれば、新規開拓なのか既存顧客が中心にしているのか、サービスは法人なのか個人どちらが対象なのか、営業手法は飛び込みなのか電話(テレアポ)なのか、営業ノルマは厳しいのか、高額商品なのか低額商品なのか、サービスの強みや弱みはどこにあるのか、市場規模や成長率はどれくらいなのか、そういったことをしっかり理解することが大切になってきます。会社の成長率が高くても市場が縮小していれば将来的に経営が苦戦する可能性が高いでしょう。
クチコミ情報は絶対にチェックしておくこと
これらを十分に理解しておけば「自分には無理」「なんとかできそうだ」という判断ができ、入社後のギャップも少なります。しかし、本当の社風や社内の雰囲気を大事ですが、それらを知る手段は難しいです。そのため会社のリアルな雰囲気を知るためにクチコミサイトを調べることをおススメします。
口コミサイトでは就活会議や転職会議が有名です。ネガティブな意見もありますが、仕事のやりがい・入社後に感じたギャップ ・先輩社員の退職理由・ワークライフバランスなど採用サイトには書かれていない貴重な情報が書かれていることがあります。複数の口コミサイトを調べて情報の真偽性をチェックしてもいいでしょう。
関連記事:転職口コミ評判サイト比較まとめ
会社選びの軸の例文テンプレート
面接の定番質問である「会社選びの軸を教えてください」は安易な志望動機でないか判断するために質問します。「製品やサービスが好き」も立派な志望動機ですが、それだけでは不十分です。合格するためには安易に選んでないことを伝えるようにしましょう。知っておいて損はない面接テクニックについてまとめました。
会社選びの軸-NG例
回答例1「人で選びました」
その人が辞めたらどうするの?と思います。
回答例2「御社の商品が好きなので」
それだけでやっていけるかな?と思います。
回答例3「車が好きだから自動車メーカーを志望しています」
好きだけでやっていけるかな?と思っています。
会社選びの軸-OK例
回答例4「求人数が増えていることに対して日本の労働力人口が減ってきており、企業の採用問題は深刻な経営課題と言われています。大学3年生にインターンを経験し、求人広告や人材派遣について勉強させてもらいました。その中で仕事選びの重要性と共に、ミスマッチが大きいことに驚きました。雇用問題が社会的にも注目されている中で今後さらに求職者と雇用主のマッチングは重要な仕事になると私は思います。そのため求人広告の役割は非常に重要であると思い、人材業界の中でも自社サービスのある御社に興味があります。私は企業と労働者のミスマッチを一つでも減らしたいと考え、日本でも有数のサービスを展開している御社で働きたいと思っています。
ポイント:明確な判断基準と仕事の価値観をもっている
回答例5「市場としても将来性のある○○業界中心に企業研究をしています。その中で社風や企業理念に惹かれて御社にエントリーさせていただきました。選考中に様々な立場の方にお会いしてきた中で魅力的な人が多くて一緒に働きたいと思うようになりました。」
ポイント:競合他社と比較したうえで選んでいる
会社の選び方のピンポイントアドバイス
基本的に会社の選び方の質問には、追加の質問が待っています。総合商社なら「そのうえでどうして三菱商事にエントリーしたの?」とか、「三井物産には応募しなかったの?」とか、「伊藤忠商事でもいいんじゃないの?」と質問されます。
回答例5では追加質問を考慮してミックスした例文ですが、回答例4のように何故その業界を選んだのかを詳しく説明するのも有効です。つまりは追加の質問も想定して、しっかり準備することが大切なんです。就職活動では自分独自の回答例を考えてくださいね。
まとめ
理想を見すぎないで現実で考えると失敗しないようになります。現実を考えて就職活動をすると地に足のついた行動がとれます。就職活動では様々な意見や情報を耳にすることがありますが、どれが自分に合っているのか自分で考えて自分で判断することが大切です。
第三者や両親から「いい会社だと言われたから」や「世間的にいい会社だと言われている」と自分の軸を放棄してしまうと、入社後に現実とのギャップに悩んでしまうかもしれません。
「確かに一理あるが、自分には合っていない」「この考え方は共感できる」「仕事は厳しいが給与が良いので自分には魅力的だ」など自分の意見をしっかり持つことが大事です。就職活動や転職活動の参考にしてくださいね。