就活で退職率・残業時間は信用できる?ブラック企業を見抜く企業分析のコツ

就活で退職率・残業時間は信用できる?ブラック企業を見抜く企業分析のコツ

「退職率はどれくらいですか?」「残業時間は多いですか?」就活で必ずと言っていいほど聞かれる質問ですが、その数字をそのまま信じるのは危険です。

実は、退職率や残業時間といった指標は、企業側の見せ方次第で印象が大きく変わります。表面的な数字だけを見て判断すると、入社後に「こんなはずじゃなかった」と後悔するケースも少なくありません。

本記事では、就活で見落としがちな「数字のカラクリ」を解説しながら、ブラック企業を避けるための具体的な企業分析の視点までわかりやすく紹介します。数字に騙されず、自分に合った会社を見極める力を身につけましょう。

退職率・残業時間は信用できる?結論と前提知識

誰しもブラック企業への入社は回避したいところです。しかし、労働問題が表面化している企業は氷山の一角。多くのブラック企業は問題を社内でもみ消し、巧妙に隠れています。

誤魔化しきれない有効な指標が退職率・残業時間・平均勤続年数と言われていますが、本当でしょうか。

業種業態にもよりますが、確かにブラック企業の退職率は高い傾向にあります。新入社員の平均退職率は高卒入社は3年で50%、大卒入社は3年で30%と言われていますが、ブラック企業では1年で30%の会社もあります。

どこの会社も企業理念や社長メッセージでは素晴らしいこと言いますが、現場の実態と大きく離れていることが多いです。

それを見分けるために会社説明会で質問をする就活生がいますが、果たして本当の回答は得られているでしょうか。これらの質問は実は全く意味がない理由をまとめました。

ベンチャー企業では退職率が当てにならない理由

創業10年目以内、または急成長しているベンチャー企業だと上記3つの質問は信用に値しない数字です。特に平均勤続年数を気にしても意味がないと言えます。

創業5年目まで代表一人だけで頑張ってきたA社。創業10年目の会社ですが、6年目から従業員を少しずつ増やしてきたため、平均勤続年数は2年弱となります。

急成長しているベンチャー企業B社。毎年100名の新入社員を採用しており、従業員数は300名です。B社では新入社員の割合が大きく、入社3年以内の社員が全体の80%。こうした会社は平均年齢も25歳前後で、平均勤続年数も2~3年になります。

10年目の会社で平均勤続年数が2年弱だと数字上は「怪しい」と思われますが、何も問題がないケースがほとんど。もしもベンチャー企業の選考をうけているなら平均勤続年数は気にしないほうがいいでしょう。

母数が少ない場合は数字の信頼性が低く参考にならない

退職率は母数が少ないほどブレやすく、実態を正しく反映しないケースがあります。

例えば、1年目に4人が入社し、3年間で2人が退職した場合、退職率は50%になります。一見すると非常に高い数字に見えますが、人数が少ないため、たった1人の増減で大きく割合が変わってしまう状態です。

このようにサンプル数が少ない場合、数字だけを見ても「高い」「低い」と正確に判断することはできません。特に中小企業やベンチャー企業では母数が小さいことが多く、数字のインパクトに引っ張られて誤った判断をしてしまうリスクがあります。

退職率を見る際は、単純な割合だけでなく「何人中何人なのか」という母数まで確認することが重要です。

職種によって退職率・残業時間が大きく違う理由

同じ会社でも、職種が違えば働き方や離職率はまったく別物になります。

複数職種を採用している企業では、特定の職種だけ離職率が高いケースが少なくありません。例えば営業職は目標達成のプレッシャーや長時間労働の影響で離職率が高くなりやすい一方、事務職や技術職は比較的安定している傾向があります。

しかし企業が公表する退職率は、あくまで全職種をまとめた平均値です。そのため、人数の多い職種によって数字が左右され、本来注意すべき職種の実態が見えにくくなっています。

残業時間についても同様で、職種ごとに大きな差があります。平均値だけを参考にすると、「思っていたより忙しい」といったギャップにつながる可能性があります。

企業を判断する際は「会社全体の数字」ではなく、「自分が配属される職種の実態」を個別に確認することが重要です。

部署ごとに環境が大きく異なるため参考にならない

同じ会社でも、配属される部署によって働きやすさは大きく変わります。

いわゆるホワイト企業と呼ばれる会社でも、すべての部署が働きやすいとは限りません。特定の部署だけ業務負荷が高かったり、人間関係に問題を抱えていたりするケースもあります。

実際には、管理職のマネジメント方針や職場の人間関係によって、離職率が一部の部署に偏ることも珍しくありません。しかし、企業が公表するのはあくまで全体の平均値です。そのため、問題のある部署の実態は数字の中に埋もれてしまい、外からは見えにくくなっています。

こうした背景を知らずに平均値だけで判断すると、配属先によって大きなギャップを感じる可能性があります。企業を見る際は「会社全体」ではなく、「どの部署に配属される可能性があるのか」まで踏み込んで確認することが重要です。

残業時間は職種・部署・時期によって大きく異なるため参考にならない

残業時間の「平均値」は実態とかけ離れているケースが少なくありません。

残業時間は職種や配属部署、繁忙期かどうかによって大きく変動します。例えば、同じ会社でも営業職や現場職は残業が多く、バックオフィスは少ないといった差が生まれるのが一般的です。

しかし企業が公表する残業時間は、年間平均や全社平均であることがほとんどです。そのため、残業の少ない部署の数値によって平均が引き下げられ、実際の現場よりも“働きやすく見える”数字になっていることもあります。

このような平均値だけを鵜呑みにすると、「思っていたより忙しい」「話が違う」と感じる原因になります。残業時間を見る際は、職種別・部署別・繁忙期の実態まで踏み込んで確認することが重要です。

数字に騙されない企業の見抜き方

退職率や残業時間といった数字は、見せ方次第でいくらでも印象を操作できます。だからこそ重要なのは、数字そのものではなく「実態」をどう見抜くかです。

一次情報を取りに行くことが最も重要

まず意識すべきなのは、一次情報を取りに行くことです。企業説明会や採用ページの情報はあくまで企業側の発信であり、ポジティブに見せる前提で作られています。本当の実態を知るには、実際に働いている人の声に触れる必要があります。

OB・OG訪問で現場のリアルを確認する

具体的には、OB・OG訪問を通じて現場の社員に直接話を聞くのが最も有効です。残業時間や職場の雰囲気、人間関係などは、実際に働いている人でなければ分からないリアルな情報だからです。

口コミサイトは比較して判断する

また、口コミサイトも参考にはなりますが、極端な意見も多いため鵜呑みにせず、複数の情報を比較して判断することが重要です。共通している内容があれば、それは実態に近い可能性が高いと言えるでしょう。

面接では一歩踏み込んだ質問をする

さらに、面接の場では「退職率はどれくらいですか?」と聞くのではなく「どの職種で離職が多いですか?」「直近1年で辞めた方の理由は何ですか?」など、一歩踏み込んだ質問をすることで、より本質的な情報を引き出すことができます。

数字をそのまま信じるのではなく「なぜその数字なのか」を考えながら情報を集めることが、企業選びで失敗しないための最大のポイントです。

採用百科事典
採用百科事典
企業のリアルな情報を知るなら、OB・OG訪問サービスの活用も有効です。実際に働く社員から残業や職場の雰囲気を直接聞けるため、説明会では見えない本音を把握できます。ミスマッチを防ぐためにも、早めに活用しておきましょう。
おすすめ就活サービス

理想的な公表データ

平均勤続年数

  • 2015年:新卒入社0名/中途入社10名
  • 2016年:新卒入社5名/中途入社15名
  • 2017年:新卒入社10名/中途入社15名
  • 平均勤続年数:5年(母数50名)

退職率

  • 2016年新卒入社:20名(男性10名、女性10名) 退職率15%(3名)
  • 2017年新卒入社:30名(男性15名、女性15名) 退職率10%(3名)
  • 2018年新卒入社:35名(男性20名、女性15名) 退職率0%
  • (2018年4月30日時点)

退職率を公表している会社は少ないですが、ここまでしっかり公表している会社は信用してもいいでしょう。ホワイト企業だと自信が伺えますし、仮に高くても安心感がありますね。

採用百科事典
採用百科事典
企業の数字だけでは見えない情報を知るには、OB訪問や転職サービスの活用が欠かせません。特に非公開情報や現場の実態は個人では調べきれないことも多いため、第三者の情報をうまく活用することが重要です。後悔しない企業選びのために、早めに動いておきましょう。
おすすめ就活サービス

まとめ

良くも悪くも退職率・残業時間・平均勤続年数だけで企業を判断しないようにしましょう。

採用担当者に質問すると「入社3年以内で12%です」といった回答が得られますが、今回ご紹介した数字のカラクリを利用し、意図的に低く見せようとする採用担当者もいます。

基本的に人事担当者はネガティブな数字はできるだけ隠そうとするものです。中には平気で嘘をつく人もいます。セミナーでの回答を信用せず、OB・OG訪問や、就活会議や転職会議といったクチコミサイトをしっかりチェックするようにしましょう。

おすすめ転職サービス

ABOUT US
秋場亮一株式会社リクエストエージェント代表取締役
明治大学経営学部卒業後、ディップ株式会社に新卒入社。求人広告の法人営業を担当し、業種・職種を問わず数多くの採用支援に携わる。2011年に転職し、成功報酬型求人サイトの立ち上げと事業成長に尽力。中小企業から上場企業まで幅広く担当し、求人原稿設計、応募データ分析も担当。2016年に求人広告代理店を創業。企業の採用活動を支援しつつ、これまでの豊富な経験を活かし、就職・転職ノウハウを情報発信中。