「円満退職をしたいけれど、退職理由はどう伝えればいいのか…」「本音を言えば角が立つし、嘘の退職理由はバレるのでは?」と悩む人は少なくありません。
実際には、人間関係や給与への不満、スキルアップなど本音の理由はさまざまでも、会社には建前の退職理由を伝える人が半数以上という調査結果もあります。つまり、多くの人が円満退職のためにあえて建前を選んでいるのです。
本記事では、円満退職を実現する退職理由の伝え方をわかりやすく解説します。上司を納得させるコツや「個人的な理由」の使い方、退職願・退職届の正しい書き方(例文付き)に加えて、バレやすい嘘とリスク、さらには転職面接での退職理由の答え方まで詳しく紹介します。
円満退職するための退職理由の伝え方とポイント
退職理由をどう伝えるかは、多くの人が悩む大きなポイントです。実際のアンケート調査では、会社に「本音の退職理由」を伝えた人は全体の約半数にとどまり、残りの半数は建前の理由を使っていたという結果が出ています。
なぜ多くの人が本音を隠すのでしょうか。その最大の理由は「円満退職をしたいから」です。職場に不満があって辞める場合でも、最後は良い印象を残したい、波風を立てずに退職したい――そんな思いから、本音をそのまま伝えるのを避ける人が少なくありません。
では、実際にどのような退職理由を伝えれば円満退職できるのでしょうか。本記事では、上司を納得させる退職理由の伝え方、退職願・退職届の正しい書き方、そしてバレる嘘とバレにくい嘘の退職理由の違いを、例文テンプレート付きで分かりやすく解説します。
上司を納得させる退職理由の伝え方4つ
円満退職を実現するには、上司が納得できる形で退職理由を伝えることが最重要です。
そのためには、相談姿勢・謙虚さ・強い意思・明確な理由の4つを押さえることがポイントになります。以下で具体的に解説します。
ポイント1:相談する姿勢で退職理由を伝える
最初に退職理由を伝える相手は直属の上司です。その際は「相談する形」で話すのが効果的。
上司への信頼を示せるため、良好な関係を保ちながら退職の話を進められます。相談内容は「退職の意思が固まったうえで、時期や引継ぎについて相談したい」というスタンスを取ることが重要です。
ポイント2:謙虚な姿勢を貫く
「言いにくいのですが…」「実は…」といった柔らかい言葉を添え、最後まで謙虚な姿勢を崩さないことが大切です。多少否定的なことを言われても感情的にならず、相手のアドバイスを遮らない態度を心がけましょう。
ポイント3:退職の意思を固めておく
意志が揺らいでいると引き留めに遭いやすく、話が長引く原因になります。退職理由や背景はどうであれ、「退職の意思は固い」というメッセージを明確に伝えることがスムーズな退職につながります。
ポイント4:話す退職理由を決めておく
理由が曖昧だと「裏の理由があるのでは」と疑われかねません。事前に筋の通った退職理由を準備し、納得感のある説明を心がけることが大切です。
退職理由は、その場の思いつきで答えると曖昧になりがちで、上司に余計な疑念を抱かせてしまいます。実際に口に出す前に、自分の言葉で一度リハーサルしてみるのがおすすめです。

円満退職するために有効な「個人的な退職理由」の伝え方
円満退職を実現するには、退職理由を「個人的な事情」として伝えるのが最も効果的です。
上司はあなたの態度次第で味方にも敵にもなり得ますが、家族や将来の目標などの“個人的な理由”を添えることで、引き止められにくくなり、納得してもらいやすくなります。
ここでいう「個人的な理由」とは、本音をすべて打ち明けることではありません。
例えば「母の介護が必要になった」「以前から挑戦したい仕事がある」など、相手に「仕方がない」と思わせる内容が望ましいでしょう。逆に「一身上の都合で辞めます」だけでは、身勝手で不誠実な印象を与える恐れがあります。
個人的な理由を伝えるときのポイント
- 会社や上司への不満は避ける
不満が理由と伝わると「改善すれば辞めないのでは?」と引き留められる可能性があります。
- 重すぎる内容は避ける
深刻すぎる理由はかえって嘘っぽく聞こえることもあります。あくまで「納得されやすい範囲の個人的な事情」に留めることが重要です。
退職後の人間関係も円満に保つための伝え方
今の会社を辞めた後に、もし同じ業界、同じ地域で転職する場合には、退職後のつながりはある程度避けられないでしょう。
ですから、退職の意志を上司に告げるにあたり「退職後もつながりを大事にしたい」という気持ちを伝え、円満に退職することは意外に大事なことです。しかし、これは言葉というよりも、態度で表すことが肝心です。つまり、立つ鳥跡を濁さず!です。
良い印象を残す円満退職の手順とポイント
1.直属の上司に、まず口頭で退職の意志を伝える
いきなり辞表を提出するのは、身勝手で無礼な印象を与えるのでNGです。また、直属の上司を飛び越えて他の上司に先に退職を告げたり、同僚に先に告げて退職のうわさが流れたりすると、上司のメンツをつぶしてしまいます。
2.上司との間で退職の時期がはっきり決まってから、辞表を提出する
後任への引継ぎや会社の都合を全く無視して辞めるのは、社会人としてのマナーに欠けると判断されます。退職を希望する日の2~3月前から退職の意志を告げ、引き継ぎに必要な期間を考慮して業務に支障の出ないようにしましょう。
3.はっきりと退職日が決まったら早めに同僚にも伝える
良い印象を残すためには、同僚に対する気遣いも欠かせません。お世話になったという感謝の気持ちを表すために、退職日まできちんと仕事をしましょう。
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退職願・退職届の正しい書き方と退職理由の記載方法
退職願と退職届は本来別物
退職願と退職届のことを総じて「辞表」と言いますが、一般の社員が辞表を会社に出す場合、封筒の表書きには、「辞表」とは書かないで、「退職願」か「退職届」と書きます。では、退職願いと退職届にはどのような違いがあるのでしょうか?実は、大きな違いがあります。
「退職願」は撤回できる
退職願は、自分の退職の意志を提案することなので、万が一状況が変わって退職しない、という場合に撤回できるというメリットがあります。
しかし、退職願は、自己都合の退職を証明する書類ともなり得るので、会社都合による退職の場合は退職願は書くべきではないようです。書くと、会社都合ではなく自己都合の退職とされ、失業保険の給付に影響がでます。
「退職届」は撤回できない
退職届は、退職願よりも強い退職の意志の表明で、提案ではなく結論というべきでしょう。退職届が会社側に受理されてしまうと、形式上はもう撤回できなくなります。
また、口頭で退職を願い出てもなかなか退職日を決めてもらえない場合などに、強硬手段として書くこともできるようです。
「辞表」
会社の役員や公務員の人が辞める場合には「辞表」と書きます。これは、会社との契約形態の違い(一般の社員は雇用契約ですが役員は委任契約)によるもののようです。
これらの情報を総合して考えると、円満退職を願う場合には、口頭で退職の願いを告げた後に、「退職願」を提出するのが筋と言えるかもしれません。いきなり退職届を渡すのは、会社に対して失礼な行為にあたるようです。
退職願は一身上の都合でOK
退職願と退職届に記載する退職理由は、基本的には「一身上の都合」となります。退職願や退職届は、法律上の形式的書類なので、細かい退職理由を書く必要はありません。
退職願・退職届の例文
「私事、この度、一身上の都合により、平成○年○月○日をもちまして退職をいたしたく、ここにお願い申し上げます」と書きます。
結婚の場合はどうする?
結婚で退職する場合でも、退職願や退職届には、「一身上の都合」と書くだけでいいようです。口頭では、上司に結婚を理由に退社したいということを伝えることが必要ですが、退職願に「結婚のため」と書く必要はありません。
一身上の都合以外を書くべきケース
退職の主な理由が会社側にある場合(倒産やリストラ、大量人員整理、早期退職の勧奨など、自分の退職の意志よりも会社側の意志や非が強い場合)には、基本的に退職願や退職届は書く必要がありません。
なぜなら、会社都合の退職の場合、手続きをすればすぐに失業給付金を受け取れたり、失業給付金が満額受け取れるというメリットがあるので、自己都合の退職と勘違いされない様に、退職願や退職届は書かないのです。
しかし、会社都合の退職にもかかわらず、もしも退職届を書くように強く言われた場合には、退職理由を「一身上の都合」とは書かず、「貴社、退職勧奨に伴い」や「貴社、人員調整に伴い」と書くようにしましょう。
バレやすい嘘の退職理由とリスク【結婚・介護・転勤】
結論から言えば、結婚・介護や病気・転勤といった理由は一見納得されやすいものの、実際にはバレやすくリスクの高い嘘の退職理由です。
一時的に円満退職できそうに見えても、後から矛盾が発覚すると信頼を失う可能性があります。
バレる嘘の退職理由その1:結婚
「結婚」は定番の退職理由で、上司や同僚に受け入れられやすいものです。ですが、本当に結婚予定がなければすぐに怪しまれるリスクがあります。
結婚式や新居、旅行の予定など具体的な話題が飛び交うため、嘘を重ねるうちに大きなストレスとなり、良心の呵責を感じることも少なくありません。
バレる嘘の退職理由その2:介護や病気
「親の介護」や「自身の病気」も同情を得やすい理由ですが、実際には突っ込まれてバレる可能性が高いです。
親がまだ比較的若い場合や近くに住んでいる場合は不自然に思われやすく、病気を理由にした場合は診断書の提出を求められるケースもあります。特に体調に問題がなさそうに見えると、嘘がすぐに露呈してしまいます。
バレる嘘の退職理由その3:転勤
「夫の転勤で引っ越すため」という理由は一見納得されやすいですが、住所を聞かれたり、退職後に地元で偶然会ったりするなど、思わぬ形で嘘が発覚するリスクがあります。
また、会社から年末調整や源泉徴収票の送付先を確認される際に矛盾が出ることもあり、気まずい思いをするケースは少なくありません。
嘘の退職理由を伝えるときの注意点とリスク回避法
嘘の退職理由で最も危険なのは、転職先が前職に問い合わせを行ったときに矛盾が発覚するケースです。
特に同業種に転職する場合は業界内のつながりも多く、予想以上に情報が共有されやすいものです。真っ赤な嘘が露呈すれば、信用を失い選考にも悪影響を及ぼしかねません。
もし退職前に嘘がバレた場合、上司や同僚が波風を立てないように黙認してくれることもありますが、反対に感情的に反発を受けるリスクもあります。その際は退職日まで耐えるしかないのが現実です。
バレない嘘の退職理由は存在しない
100%バレない嘘はなく、結局は自分のストレスや人間関係の悪化につながる可能性が高いです。
そのため、嘘ではなく「建前の退職理由」を選ぶのが最も安全です。建前は社会的に認められる“表向きの理由”であり、相手にとっても受け入れやすいものです。
大切なのは、聞く側に「それなら仕方がない」と思わせる程度の建前を準備すること。相手に違和感を与えず、「ああ、建前なんだな」と思ってもらえる内容であれば、円満退職につながります。

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転職面接で退職理由は本音を伝えていい?建前の答え方
結論から言うと、転職面接で退職理由を本音のまま伝えるのは基本的にNGです。
ネガティブな本音をそのまま話すと、面接官に誤解され、不利な印象を与えてしまう可能性が高いからです。面接では「社会人としての建前」を意識した前向きな答え方が求められます。
パワハラが理由の場合
「パワハラが原因で退職した」と伝えると、過剰反応する人と思われたり、反抗的・感情的と誤解される恐れがあります。理解されにくい理由なので、そのまま話すのは避けた方が無難です。
残業が理由の場合
「残業が多くて辞めた」と答えると、仕事への意欲が低いと誤解される可能性があります。ただし、前職の残業時間と転職先の労働環境を具体的に比較できる場合は、説得力のある説明につながることもあります。
人間関係が理由の場合
「人間関係がうまくいかず辞めた」と本音で伝えると、「社会性に欠けるのでは?」と判断されがちです。代わりに「チームで協力しながら成果を出したい」「より成長できる環境を探している」など、ポジティブな言い方に変換しましょう。
結論:建前で前向きに伝え、本音は転職後に叶える
初対面の面接官に本音をぶつけても、誠実さより「社会常識がない」というマイナス評価につながりやすいのが現実です。面接では前向きな建前を選び、入社後に本音を話せる関係を築ける会社かどうかを見極めることが大切です。

嘘の退職理由を上手に伝える3つのテクニック
本来は本音と建前を上手に使い分けるのが理想ですが、どうしても嘘の退職理由を使わざるを得ない場面もあります。その場合は「信頼を失わずに伝える工夫」が必要です。
テクニック1:女優・俳優になりきって演じる
人は嘘をつくと、表情や仕草に不自然さが出やすいものです。
動揺した表情や声色で伝えると簡単に見抜かれてしまいます。そこで有効なのが「演じる意識」。まるで女優・俳優になったつもりで、感情を込めて自然に話すことで違和感を減らせます。
テクニック2:矛盾のないタテマエ理由を準備する
退職理由に矛盾があると、すぐに疑われます。
「なぜ辞めるのか」「次はどうするのか」を聞かれても矛盾なく答えられるよう、あらかじめ筋の通った建前の理由を準備しましょう。スマホやノートに想定問答をメモしておき、答えを一貫させるのがコツです。
テクニック3:直前まで周囲に話さない
退職の噂が広がると、同僚や先輩からの引き止めや説得で心が揺らぎやすくなります。
余計なストレスを避けるためにも、退職の意思は直属の上司に伝える直前まで周囲に漏らさないのが安全です。後日、信頼できる人には改めて丁寧に説明すれば問題ありません。
注意点:嘘は最後までリスクが伴う
どんなに上手に伝えても、嘘の退職理由はバレる可能性があります。
特に転職先から前職に確認が入った場合は致命的になることも。可能であれば、嘘ではなく「納得されやすい建前の理由」を選ぶのが安心です。

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まとめ|円満退職を成功させる退職理由の伝え方
円満退職を実現するためには、退職理由の伝え方がとても重要です。上司には相談する姿勢を見せながら、個人的な理由を中心に伝えることで、不要な引き止めを避けつつスムーズに退職できます。
一方で、真っ赤な嘘の退職理由は高い確率でバレてしまい、かえって信頼を損なうリスクがあります。大切なのは「本音と建前を上手に使い分けること」。
社会人としてのマナーを守りながら、退職願・退職届の書き方や例文を参考に、誠実かつスマートに退職理由を伝えることが円満退職の近道です。
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