働き方の多様化に伴い、注目度が増しているキャリアコンサルタント。しかし、キャリアコンサルタントに対して「何をしているのかがイマイチわからない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
当記事ではそんな方々に対して、キャリアコンサルタントの仕事内容を理解したうえで、相談するメリット・デメリットや注意点を説明します。
キャリアコンサルタントとは
まずは、キャリアコンサルタントの仕事内容を解説していきます。雇用環境などの社会情勢の変化によって、キャリアコンサルタントが担う役割も大きなものになってきています。
キャリアコンサルタントの仕事内容
キャリアコンサルタントの仕事内容は、個人の適性や職務経験から適切な就業設計や職業訓練などの支援を行うことです。キャリアカウンセラーと同様に、ハローワークやジョブカフェに籍を置くケースや、転職エージェント、個人コンサルタントなど活動の場はさまざまです。
混同されることが多い、キャリアコンサルタントとキャリアカウンセラーですが、一方は国家資格の名称であり、一方は職業の名称です。
その名の通り、キャリアカウンセラーはカウンセリングを行う職業を指します。その一方でキャリアコンサルタントは、150時間以上の講座を受講と受験、合格登録をクリアした人材だけが名乗れる資格です。
キャリアコンサルタントが求められる理由
すでに定着したように思われるキャリアコンサルタントですが、広く知られるようになったのは2000年以降とされています。
日本には、新卒で入社した企業に長く勤め、社歴に反映した報酬が得られる年功序列制度が存在します。また、正規雇用を定年まで維持する終身雇用制度も日本ならではの制度です。
しかし、2000年以降は、バブルの崩壊やリーマンショックなどの出来事により従来の慣行を守ること自体が難しくなっています。
このような状況に合わせ、働き方や個人の価値観の多様化が一般化したことで、キャリアコンサルタントには「キャリアに関するプロ」として適切な提案を行うアドバイザーとしての役割が期待されています。
キャリアコンサルタントに相談する3つのメリット
次にキャリアコンサルタントに相談することで、実感できるメリットを解説していきます。プロに相談することで、自分だけでは気づけなかったキャリア形成の方法に出会える可能性を高められます。
国家資格保持者へ相談できる
国家資格保持者へ相談することで、安心感を得られるという方も少なくありません。
キャリアコンサルタントは登録制の名称独占国家資格であり、150時間以上の講座を受講し、試験に合格した実績のある人材です。国家資格保持者という肩書により、専門性を推し量れる点はキャリアコンサルタントならでは魅力といえるでしょう。
第三者目線からの提案を受けられる
キャリアコンサルタントへ相談する2つ目のメリットが、第三者目線からの適切なアドバイスを受けられることです。
キャリアコンサルタントの多くは、キャリアに関する知識だけでなく、カウンセリングスキルをもち合わせています。相談者との相性が反映されることもありますが、希望を反映した提案を受けられることも、キャリアコンサルタントへの相談による利点です。
転職先の相談をすることもできる
漠然とした相談だけでなく、転職先の提案を受けられることもキャリアコンサルタントの魅力です。
事前に転職の斡旋を行っていることを確認する必要がありますが、適性や職務経験を反映した転職先の提案を受けられるケースも少なくありません。
転職を希望しているかを事前に伝えることで、希望するサービスを受けやすくなるでしょう。
キャリアコンサルタントに相談する際の注意点
ここからは、キャリアコンサルタントに相談する際の注意点を解説していきます。メリットが多い一方で、いくつかの注意点があることも事前に把握しておきましょう。
過度な期待をしない
国家資格であるキャリアコンサルタントへの相談にはメリットがあります。ただし、相談者が「過度な期待をしない」といった意識をもつことも大切です。
必ずしも「国家資格保持者だから納得のいく提案を受けられる」「転職先の斡旋まで無条件で行ってくれる」といった希望が叶えられるわけではありません。
適切な就業設計や職業訓練などのサポートをする人材であることや、自身が相談する旅場である意識を大切にしましょう。
転職を前提とした相談であると断定される
キャリアコンサルタントへの相談により、「転職希望者である」と断定されるケースも珍しくはありません。
転職が一般化した昨今では、エージェント企業が無料相談会を主催することも多く、キャリアコンサルタントが企業への橋渡しをしているケースもあります。
「プロに相談する」という選択自体は正しいものですが、相談する目的と提案のマッチングを確認する視点をもつことも大切です。
キャリアコンサルタントを上手に活用するための3ステップ
最後に、キャリアコンサルタントを上手に活用する手順を紹介していきます。
漠然とした質問をすること自体は決して悪いことではありませんが、事前に明確なビジョンや履歴書、職務経歴書を用意しておくことで、より生産的な時間を過ごせるでしょう。
相談する目的を明確にする
キャリアコンサルタントへ相談する際は、その目的を明確にしておくことが重要です。「仕事や将来に対する疑問を解消する」、「自身の市場価値を知りたい」、「転職先を探している」といった目的が明確であれば、適した相談先を明確にできます。
また、「エージェントを務めるキャリアコンサルタントに、スキルの伸ばし方を聞く」といった初歩的なミスも、目的が明確であることで回避できます。
履歴書や職務経歴書、自己分析を準備しておく
キャリアコンサルタントへの相談は、履歴書や職務経歴書、自己分析の準備によって生産性の高い時間に変えることができます。
すべての情報を口頭で伝えることも可能ですが、確認作業に時間を割く必要が生まれ、ムダな時間が多くなる点には注意が必要です。
また、「将来的に転職を考えている」という方は、少なからず事前準備がエージェントの心象に繋がることも知っておきましょう。
事実に基づいた相談を行う
履歴書や職務経歴書、自己分析の準備ができた段階でキャリアコンサルティングを受けましょう。
事前準備を徹底することでキャリアコンサルタントから、職業経験などの情報をもとにした理想的なキャリアプランの提案を受けられる可能性も高まります。
また、キャリアコンサルティングを受ける際は、過去の職歴や業務内容は事実に即していること、本音で話すことが重要です。
転職を前提とした相談では、良い印象を与えようと考えてしまいがちですが、理想的なキャリアの提案を受けるためにはありのままの事実を伝える必要があります。
まとめ
キャリアカウンセラーと混同されがちなキャリアコンサルタントですが、国家資格保持者であることを証明する1つの肩書です。
いくつかある相談相手からキャリアコンサルタントを選ぶ理由は、専門性を活かし、個人の適性や職務経験から適切な就業設計や職業訓練の提案を受けられる点にあります。
また、エージェントへの相談により、転職活動を効率化できるといった点も、キャリアコンサルタントへの相談による利点の1つです。
いくつかの注意点があることも事実ですが、相談する目的の明確化、事前準備、事実に基づいた相談といったステップを経ることで、よりキャリアコンサルタントへの相談を効率的なものにできるでしょう。