衛生管理者の仕事内容をきちんと理解していますか?「とりあえず、事業場に1人以上いればいいんでしょ」と思っている人も多いのではないでしょうか。
衛生管理者資格を持っている以上、きちんと対応していないと急病人が出た時や事故がおきた時に「何も知りません」では通用しません。日頃から自覚を持って仕事をしましょう。
目次
衛生管理者の13つの仕事内容
1.産業医の選任
産業医は労働者数が50名を超えたら必ず選任しなければなりません。
産業医には内科や精神科など得意分野があるので、自社に合う産業医を選任しましょう。選任後は産業医選任報告を所轄の労働基準監督署へ提出してください。
- 労働者数50 人以上 3,000 人以下の事業場:産業医1名以上
- 労働者数3,001 人以上の事業場:産業医2名以上
2.健康診断の周知と健康診断結果報告の提出
健康診断を全社員に受けてもらうように手配をするのも仕事です。
個々で受診してもらうのか、集団検診で受けるのか企業でやり方は異なると思いますが、健康診断結果を集計しながら受けていない人に声をかけていきましょう。
必ず健康診断結果報告書を作成して所轄の労働基準監督署へ提出します。また、診断結果をみて産業医が選んだ人には産業医面談を受けてもらいます。
3.作業場の巡視
産業医は月に1回(または2ヶ月に1回)職場環境の衛生調査を行ないます。
足元に書類をためている、照明の明るさが適切か、喫煙室から煙が流れてこないかなど産業医と一緒に調査を行なう他、次回の産業医巡視までに注意された点を改善しているか定期的に巡視しましょう。
4.労働衛生保護具の管理
労働安全衛生規則 第三編 第二章 保護具等(第五百九十三条-第五百九十九条)に該当する事業場では従業員の人数分、労働衛生保護具を準備していなければなりません。
新入社員の分や破損時の予備があるのか管理しておきましょう。
5.救急箱の管理
全事業所に必要なのが救急箱です。カットバンや消毒液、体温計、下痢止め、風邪薬、解熱鎮痛剤程度は用意しておきましょう。
ただし、下痢止めや風邪薬、解熱鎮痛剤は他に飲んでいる薬がないか、アレルギーがないか確認してから渡すようにします。社員誰でも空けられるように置いておくのは便利ですが、不用意に服用される危険性があるので社内で運用ルールを取り決めておきましょう。
6.休職者と復職者の対応
休職する社員から診断書を受け取り、診断書の休職期間を確認します。
休職期間が明けそうな社員に連絡を取り延長が必要なら診断書の提出を、復職できる時は産業医面談の設定を行ないます。
復職者は産業医面談後に産業医と人事部の上長、復職希望者が所属する部署の上長の3者で復職後にどのようなスケジュールで勤務をするのか話し合いをしてもらうセッティングをします。
7.安全衛生教育の実施
労働安全衛生法 第六章 労働者の就業に当たっての措置(第五十九条-第六十三条)に基づいて安全衛生教育を行ないます。
有害業務や重機を取り扱う業務への研修以外にも、中高年向けに生活習慣病やストレス対策のセミナー、インフルエンザ流行時や風疹流行時の対策セミナーも安全衛生教育に含まれます。
8.健康相談の実施
体調が悪いけれど何科にいけばいいのかわからない、どこの病院が有名なのかわからないと悩んでいる社員もいます。
産業医はこのような社員へ紹介状を作成してくれます。1人で悩んでいる社員向けに健康相談会実施をすることは会社の福利厚生にもなります。ストレス社会の現代では社員に喜ばれます。実施してみましょう。
9.統計調査
労働中の怪我や病気、死亡件数、労災申請件数を取りまとめておくのも衛生管理者の仕事です。
営業中に足を捻挫した、仕事中に社員の具合が悪くなって救急車を呼んだという事態が起きた時に、なぜそのような怪我や体調悪化につながったのか原因を考えて対策をしなければなりません。
また、あってはならないことですが死亡例が出た時に統計調査が会社の安全対策の証明になることがあります。
10.衛生日記
衛生日記には、社員の勤務状況や健康状態、安全衛生対策を講じた記録、健康診断スケジュールなど社員の健康に関する記録と衛生管理者の活動記録を記載します。
衛生日記を毎日つけることで安全衛生対策の問題発見に役立てます。
11.産業医面談のハンドリング
産業医の面談が必要な人をピックアップして面談アレンジをします。
- 長時間労働者
- 健康診断で産業医の指示があった人
- ストレスが高いと判断された人
- ストレスが多く面談を希望する人
- 上司や本人から希望があった人
これらの人を重要度が高い人から順に面談を組みます。面談時間は産業医と相談をして決め、1日で足りない時は追加で来社してもらうことも検討しましょう。
12.ストレスチェックの実施
労働安全衛生法(心理的な負担の程度を把握するための検査等)第六十六条の十に基づきストレスチェックを実施します。
実施方法の検討や実施に関する情報取り扱いの規定の整備、受診結果の提供方法など実施に関する制度とマニュアルの整備からストレスチェック実施の準備、受診後の産業医面談のハンドリングを行ないます。
13.衛生委員会・安全衛生委員会の実施
全事業所で社員が50人を超えたら設置しなければなりません。
安全衛生委員会も設置しなければいけない事業所では衛生委員会と安全衛生委員会のどちらかの設置で構いません。衛生委員会を月1回30分~40分程度開催して、労災防止の措置や安全と衛生を確保するために懸念されていることを解決するための話し合いを行ないます。
衛生管理者(ではなくても可)は議事録を作成して3年間保管をして、話し合いの内容をイントラネットや職場の掲示板に掲示して周知します。
関連記事:衛生管理者業務で注意すべき6つのポイント
まとめ
衛生管理者は職場の安全衛生と社員の健康管理を守るために存在します。
社員の体調悪化や職務上で事故にあわないために対策を講じ、もし体調不良者が出たときや社員が事故にあった時にどうすべきか決めておかなければなりません。
今、自社に何が必要なのか考えて実行してください。
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