キャリア相談というと、多くの場合は転職を希望している人が受けるもの、というイメージがありませんか?実際、キャリア相談を受ける人は転職希望者が多いですが、転職を検討していない方でもキャリア相談は利用できます。
今回は、転職を希望しない方のキャリア相談のメリットや相談先、相談方法について解説していきます。
目次
転職を希望しない場合でもキャリア相談はできる?
結論から言うと、転職を希望していない方でもキャリア相談は可能です。キャリア相談で得られる内容は転職に関わることだけではなく、現在就業中の方にも活用できるからです。
現在の仕事に対して不安や不満を感じている、キャリアプランを明確にしたいなど、仕事に関わる悩みや不安、相談をしたいときは、転職希望の有無にかかわらずキャリア相談を活用することをおすすめします。
キャリア相談を受けるメリット
キャリア相談は、転職だけを前提にしている方はもちろん、転職を具体的に考えていない方でも自分のキャリアに活かせる以下のようなメリットが期待できます。
自分の強みやキャリアを客観的に整理して自己分析ができる
キャリア相談を受けるメリットとしてまず挙げられるのが、自分自身を知ることができる点です。
社会人としての経験が長くなるにつれて、自分の仕事に対するフィードバックをもらえる機会が減るため、自分が何をできるのか、どのような強みや価値観を持っているのかがわかりにくくなるものです。
そこでキャリア相談をすることで、カウンセリングを通して自分の強みやキャリアを客観的に整理してもらえます。自分一人では気づくことが難しい点を把握した上で自己分析を行うことで、自分自身に対する新たな発見や気づきが得られるでしょう。
キャリアプランを明確にできる
自分のキャリアについてよく考えたことがない、という方は多いかもしれません。転職を具体的に考えてはいないものの、ただ何となく今の職場で仕事を続けている、という状態が続く毎日で、将来について不安を抱えたことはないでしょうか。
このままこの職場で働き続けるべきなのか、それとも転職をした方がいいのかという悩みに加えて、キャリアプランが定まっておらず将来目指すゴールが曖昧となっている方もいるでしょう。そのような目標がない状態では、目指すべきものがなくやるべきこともあやふやになってしまいます。
キャリア相談では、自分の過去や価値観、強みや興味や関心のあるジャンルなどを整理できます。すると、将来何を目指すべきか、今何ができるかがわかりやすくなり、中長期的なキャリアプランを立てやすくなるでしょう。
具体的なキャリアプランを明確にできるので、取り組むべきことがはっきりと自覚でき、仕事に対するモチベーションにも良い変化が期待できます。
仕事への不安を解消できる
仕事をしていると、さまざまな不安を抱えることがあります。例えば、スキルに関する悩みは就業中の方が持つことが多い悩みです。現状維持よりも新しいスキルを身につけた方がいいのか、どのようなスキルを身につければいいのかという点は自分では判断しにくく、悩みがちなポイントです。
また、女性は将来的に出産や育児をするために休職する可能性があります。その他にも、男女や年齢を問わず家族などの介護で休職に迫られる可能性もあり得るため、休職後にきちんと復帰できるのかという漠然とした不安を感じる方も多いでしょう。
このような就業中に抱えた悩みも、キャリア相談で相談できます。前述のように客観的な自己分析やキャリアプラン作成を通して将来への不安を解消できたり、休職後のキャリア形成についてのアドバイスをもらえたりするので、何かしらの仕事に対する不安を抱えている方にとっては、キャリア相談は有益なものとなるでしょう。
キャリア相談を受けられる場所
キャリア相談は、さまざまな場所で受ける機会があります。場所によって無料・有料の違いもあるので、相談しやすい場所や環境などに応じて最適な場でキャリア相談を受けましょう。
公的機関
無料でキャリア相談を受けられる場所の代表格が、公的機関です。例として、厚生労働省が運営するハローワークや厚生労働省委託によって運営されているキャリア形成・学び直し支援センター、各都道府県所管のジョブカフェなどがあります。
これらの場所では相談員やキャリアカウンセラーが相談に乗ってくれますが、キャリアのプロではない場合もあるため、問題解決に至らないことがある点が難点です。
しかし、無料で受けられるのが大きなメリットなので、初めてキャリア相談する方、キャリア相談をしてみたい方の利用がおすすめです。さらに突っ込んだ内容の相談をしたい場合は、より専門性の高い後述する相談場所を利用してみましょう。
転職エージェント
転職希望者に対してカウンセリングを行い、一人ひとりに最適な求人の紹介や転職サポートを行う転職エージェントは、転職希望者が利用するのが一般的です。しかし、転職を希望していない、検討していない方でもキャリア相談は可能です。
転職エージェントのキャリアカウンセラーは専門的な知識を持ったプロなので、キャリアに関するさまざまな悩みに対応し、的確なアドバイスをしてくれるでしょう。
徹底的に自己分析を行い、そこから導き出す分析結果で最適な仕事やスキルを提示してくれるので、キャリアに悩む方の問題解決につなげられるでしょう。転職エージェントなら、すべて無料でキャリア相談ができるのもメリットです。
オンラインキャリア相談
キャリア相談は相談員と対面で行う形式のほか、オンラインで利用できるキャリア相談があります。オンラインキャリア相談では、ビデオ通話を利用してキャリア相談ができるので、都市部から離れた場所に住んでいる方でも自宅にいながら気軽に相談できるメリットがあります。
オンラインキャリア相談は無料で受けられるサービスのほか、自分に適したキャリアカウンセラーを見つけて個人的に依頼をする方法があります。個人的に依頼をする場合は有料となることがほとんどですが、有資格者や経験豊富なプロのキャリアカウンセラーなど、希望に合ったカウンセラーとじっくり相談できるでしょう。
なお、上記の転職エージェントでも、オンラインでの面談に対応している場合はオンラインでの面談が可能です。
キャリア相談先を選ぶポイント
上記のように、キャリア相談を受けられる場所は多岐にわたります。その中から最適な相談先を選ぶには、何を希望しているのか、相談したいかによって変わります。
まず、転職の意思や希望がはっきりしている方は、キャリア相談とともに求人の紹介や転職サポートも受けられる転職エージェントを選ぶのがおすすめです。
転職の意思がまだ漠然としていたり、現在のキャリアに強い不安を感じていたりする方は転職の可能性も含めて転職エージェントを利用してもいいですし、専門的な知識を持つキャリアカウンセラーへの相談とともに自己分析も受けられる有料のキャリア相談が適しています。転職へ向けて前向きな気持ちがある場合は、転職エージェントの方がおすすめです。
キャリア相談はキャリアに関する相談を受け付ける場なので、転職希望者以外でも受けられますが、実際は転職希望者を対象としている場合が多くあります。転職エージェントは転職を希望していない方でも利用できることがありますが、あくまでも転職エージェントは転職希望者の利用が前提です。
転職をしたくないけれどキャリアの相談だけしたい場合は、無料で利用できる公的機関のキャリア相談から受けてみましょう。
キャリア相談を利用する流れ
キャリア相談を受ける際は、一般的に以下でご紹介する流れで進めていきます。
キャリア相談を受ける場所を決める
前述のキャリア相談を受けられる場所や選び方などを参考に、まずキャリア相談を受ける場所を決めましょう。いずれの相談先も、事前に相談日時の予約が必要であることがほとんどです。
オンラインでのキャリア相談や転職エージェントの場合は、最初にWeb上で登録が必要なので、登録を済ませてから相談日時を設定しましょう。
相談したい内容や必要書類を準備する
何も事前準備をせずにいきなりキャリア相談をしても、行き当たりばったりの内容となってしまい、納得いく結果が出ないことはあり得ます。
どんなに知識や経験豊富なキャリアカウンセラーであっても、漠然とした相談内容に対しては漠然とした回答やアドバイスしか出せないからです。
キャリア相談を有益なものにするためには、キャリアカウンセラーに具体的な悩みや問題を提示することが求められます。
キャリア相談の時間はおおよそ45~1時間で設定されていることが多いので、その時間内で効率よく相談するためにも相談したい内容をまとめておいた方がいいでしょう。
転職を希望する方のキャリア相談では、履歴書や職務経歴書を持参するとキャリアカウンセラーに自分の現状やスキルなどを把握してもらいやすくなり、その内容に応じたサポートや提案、添削などが受けられます。
キャリア相談の参考にする書類のフォーマットが用意されている場合もありますが、特に指定されていない場合でもこれらの書類を作成しておきましょう。
予約した日時にキャリア相談を受ける
最初に予約した日時に指定の場所、もしくはオンラインでキャリア相談を実施します。相談内容がすぐに解決できるとは限らないため、通常キャリア相談は一度きりで終わることは少なく、複数回受けるのが基本です。不安や悩みが解消できる、または納得いく結果が得られるまでキャリア相談を受けてみましょう。
キャリア相談を利用する際の注意点
キャリア相談を受けることで、自分では気づかないことに気づくことができたり、不安や悩みを解消できたりします。しかし、利用方法によってはキャリア相談の効果を十分に得られないこともあります。キャリア相談を利用する際は、以下でご紹介する点に注意しましょう。
素直に本音で話す
キャリア相談をする上でまず心がけたいのが、本音で話すということです。キャリア相談を担当するキャリアカウンセラーは、相談者の話を聞いて正確に状況を知るところから相談を始めます。
最初にヒアリングするその内容が曖昧だと、適切な回答を出せません。また、虚偽の内容を話すことは、キャリアカウンセラーとの間の信頼関係をなくしてしまう原因となります。
そのため、キャリア相談では自分の状況や悩みを本音で伝えて、正確な情報を伝えるようにしましょう。
キャリアカウンセラーが合わない場合は変更してもらう
キャリアカウンセラーはキャリア相談のプロですが、人によって「合う・合わない」の相性は存在します。合わないカウンセラーと無理に話し続けていても、納得いく回答は出にくいでしょう。
話をしていて合わないと感じたり、思うように話が伝わらないと感じたりする場合は、キャリアカウンセラーを変更してもらうよう申し出るのも一つの方法です。
相談内容を活かすことが重要
キャリア相談は、不安や悩みが解決できたら終わりではありません。もちろん、不安や悩みを解消できることはキャリア相談の大きなメリットではありますが、相談内容をどう仕事や転職活動に活かすかが重要です。
キャリア相談を通してできたキャリアプランや目標へ向けて何をするべきか、達成するためにどのようなことに取り組むべきかを確認し、実践へ移してみましょう。その過程で悩みや相談したいことができた際に再度キャリア相談を受けるなど、キャリアプランや目標実現のためにキャリア相談を適宜利用すると効果的です。
まとめ
キャリア相談は、転職を希望、または検討している方はもちろん、転職を希望してはいないけれどキャリアに不安や悩みを抱えている方でも利用できます。キャリア相談は無料で利用できる公的機関や転職エージェントのほか、プロのキャリアカウンセラーに個人的に相談することも可能です。
キャリアに関する不安や悩みは自分一人で解決できないことが多いため、転職希望の有無にかかわらず、キャリア相談を上手に活用して抱えている問題を解決し、キャリア相談で得た内容をこれからのキャリアで活かしてみましょう。