テレビや電車広告、ネットでも様々な人材紹介会社(転職エージェント)を見かける機会が増えてきました。様々なサイトで人材紹介会社の比較ランキングやメリットを紹介されていると思いますが、そもそもの活用方法はあまり知られていません。
転職希望者とマッチングする企業を探してくれる頼もしい存在である人材紹介会社。その意味・価値・役割といった初心者向けから、デメリット・おすすめ活用方法や注意点など全ての内容をまとめてみました。これを読めば人材紹介会社の全てが理解できます!
目次
人材紹介会社とは
人材紹介会社とは、厚生労働大臣の許可を受けて職業を紹介する民間の職業紹介業のことを指します。人材紹介会社には様々な種類・タイプ・役割があります。
種類としてはオーソドックスな一般仲介・登録型から、取締役や執行役員など経営幹部をスカウトするエグゼクティブサーチ・ヘッドハンティング会社があります。
有料職業紹介事業所数は全国に約18400社、無料職業紹介事業所数は約1000事業所(※1)あります。有料職業紹介事業所とは民間の人材紹介会社、無料職業紹介事業所とは公共職業安定所(ハローワーク)や大学の就職課が該当します。
有料職業紹介事業所は許認可を得ながら営業活動をしていない企業も含まれていますが、少なくとも全国で約6000社以上は営業活動を継続しており、東京都では約1500社が営業していると予想されます。人材紹介会社と転職エージェント企業は同じ意味になり、どちらも職業紹介の免許が必要です。
転職によって実現したい目的はなんですか?
転職とは「働く環境を変える」ことです。働く環境は、企業/一緒に働く人/仕事内容/職種/年収など、様々な要素で構成されています。
転職にあたっては、まずそういった要素のうち、「何をどう変えたいのか」「なぜ変えたいのか」を明確にする必要があります。ここから、あなたが転職で実現したい目的が見えてきます。
転職活動を始めると、「いまの会社を辞めたい」「〇〇社に入りたい」といった、転職そのものがゴールになってしまいがちです。そうではなく「転職で実現したい目的」をゴールとして常に意識して活動を進めていくことが、あなたにとってベストな選択をする上で大切になってきます。
転職する理由や目的が明確になったら、あとは行動するのみです。ただ、転職活動には客観的な視点や多くの情報が必要ですし、自分一人で転職活動をしていると、迷うことや不安になることも思った以上に多いはずです。
そんな時、あなたの力になれるのが、人材紹介会社のキャリアアドバイザーです。転職活動をしていて疑問に思うこと、不安に感じることがあれば、ぜひキャリアアドバイザーに相談してください。解決の糸口が見つかると思います。
転職活動は自分と向き合う絶好のチャンス
転職活動の中では客観的に見た自分を様々な場面で問われます。このような機会は、そう何度も訪れるものではありませんから、転職活動を通して自分自身の現在の市場価値を測るとともに、人生設計をする機会にしてもいいかもしれません。
転職活動をスタートするにあたって、最初におこなってほしいのがキャリアの棚卸です。
キャリアの棚卸とは、これまでの仕事におけるすべての経験を洗い出し、時系列あるいは種類別に系統だてて整理することを指します。これを具体的な資料としてまとめたものが職務経歴書です。
棚卸のプロセスにおいて迷ったときは、棚卸のプロである転職エージェントのキャリアアドバイザーに相談しましょう。
経済動向・社会情勢などの最新情報は、応募企業選びの際に役立つため、積極的に収集することをおススメします。企業の求人需要は、企業を取り巻く社会環境と密接に関係しているからです。
また、役立つ資格や求められるキャリアなどの転職市場に関する情報や業界新聞などの情報も、企業を知るための良い材料になるでしょう。
大手エージェントと中小エージェントの違い
大手エージェント呼ばれる企業はリクルートエージェント(株式会社リクルートキャリア)、パソナキャリア(株式会社パソナ)、エンエージェント(エン・ジャパン株式会社)、DODA( パーソルキャリア株式会社)、JACリクルートメント(株式会社ジェイエイシーリクルートメント)、ワークポート(株式会社ワークポート )があります。
大手エージェントは東京、横浜、名古屋、大阪、福岡といった主要都市に拠点があり、利用しやすいのが特徴です。
海外求人や英語求人に強い外資系人材紹介会社も多く存在しています。オランダ本社のランスタッド株式会社、アメリカ本社のマンパワーグループ株式会社、スイス本社のアデコ株式会社といった会社が有名です。
どの企業も総合人材サービス会社として世界トップクラスのグローバル会社です。各社とも人材派遣も展開しており、英語スキルが必須な通訳・翻訳求人以外にも、財務や人事総務など管理部門系求人も豊富にあります。
中小エージェントは営業・エンジニア・看護師など職種特化型や、IT/WEB業界や医療業界など業界特化型の会社が多いです。さらに社員数名の小規模な人材紹介会社や、一人で動いている個人エージェントもいます。
業界用語として求人保有数も多く何でも取り扱っている大手企業は「百貨店型(デパート型)」、それに対して専門分野のみを取り扱っている中小エージェントを「専門店型(ブティック型)」と表現する人もいます。
優良の中小エージェントは少数精鋭の凄腕コンサルタントが経営者や人事責任者と太いパイプ(人脈)を確保しているケースが多いです。
人材紹介会社の特徴や特色も様々です。一般仲介・登録型の中でも情報提供・情報仲介が中心の会社から、転職パートナーとして寄り添ってくれる会社もあります。
大手企業は企業側の営業担当と、候補者側の個人担当(キャリアアドバイザー)が分かれています。逆に中小エージェントは両方を一人が担当するケースが多いです。会社によっては個人担当のスタッフをキャリアコンサルタントもしくはキャリアカウンセラーと呼びます。
人材紹介会社の仕事内容は取引先の求人企業から求人情報の提供をうけ、就職・転職希望者からは就職・転職の相談を受け、求人企業と求職者の双方のマッチングをおこなうことです。
人材紹介会社は一般的に求人企業からの紹介手数料の売上で運営されており、候補者へのカウンセリングや職業紹介は無料で行います(個別の面接対策が一部有料となっている人材紹介会社もあります)。
人材紹介会社の歴史と市場規模
一昔前の人材紹介会社は中途採用が中心でしたが、最近では新卒採用でも人材紹介会社を利用する企業が増え、正社員だけでなく契約社員の募集も案件として取り扱っています。
転職がステップアップになっている欧米(海外)と比べ、終身雇用の慣行が強く年功序列制度が続いていた日本では人材紹介というビジネスモデルが定着するのに時間がかかりました。
近年では終身雇用が崩壊し、業績不振から大規模な人員整理(リストラ)をする企業も増えてきています。東証1部上場企業に就職できても買収合併や赤字決算など経営状況次第で人員整理(リストラ)されることも増え、40代や50代で初めて転職する人もいます。
いまや新卒入社から定年退職まで1社だけで働くのは都心では珍しいケースになっており、20代から将来像(キャリア)について考えなければいけない時代です。他にも既卒採用や第二新卒といった言葉も生まれ、日本政府主導での働き方の多様性が推進されることで雇用の流動化に繋がっています。
また長時間労働の是正・ブラック企業問題・女性の活躍推進など様々な要因から20代や30代での転職活動をする人が増え、そこから人材紹介会社の介在価値が高まり、利用する人が増えてきました。
人材サービス業界全体の市場規模が約9兆円(※2)と言われている中で人材紹介ビジネスの市場規模は約3500億円(※3)と言われています。転職でのキャリアアップという意識も浸透し始めてきており、今後さらに人材紹介業界の市場規模は大きくなると予想できます。
政府も「働き方改革」と題して副業促進やテレワーク(在宅勤務)推進など労働市場の流動化・活性化に努力しています。
「自分で企業に直接応募する場合とどっちがいいの?違いは?」と疑問に思う方もいますが、人材紹介会社に様々な存在意義とメリットがあります。特徴的なメリットとデメリットを幾つかご紹介させていただきます。
メリット1:非公開求人
人材紹介会社だけが保有している非公開求人も多いです。
採用サイトがない企業が依頼しているケースや、採用サイトの更新が面倒だと感じる担当者は人材紹介会社に依頼するだけの人もいます。表立って募集できない新規事業や経営ポジションの求人も人材紹介会社に案件が集まります。
大手企業であれば複数の人材紹介会社と契約しているため、大手人材紹介会社による非公開求人の差は少ないですが、中堅以下の企業であれば一部の人材紹介会社だけに依頼する場合があります。
または職種や業種特化型の人材紹介会社とのみ契約している会社もあります。進みたい業界や職種が決まっているなら専門型人材紹介会社も視野に入れて転職活動をするのも有効な手段です。
特に登録するメリットがある地域は東海地区(愛知県・岐阜県)です。大手人材紹介会社の発表では慢性的に人手不足の地域特色があり求人数に対して求職者が足りず、1人に対して3件ほどの求人数がありました。
求人数が多い職種と業界、少ない職種と業界
人材紹介会社を積極的に利用している業界として、コンサルティング業界、インターネット業界、建設・不動産業界があります。こうした業界に転職を検討しているのであれば人材紹介会社への登録を視野に入れたほうがいいでしょう。
逆に医薬・医療・バイオ業界、消費財メーカー・総合商社、⾦融業界の求人数はそれほど多くありません。新卒採用中心で中途採用枠が少ない傾向にあるのが理由です。
職種ではシステムエンジニア、建設エンジニア、組込・制御ソフトウエア開発エンジニア、インターネット専門職(Webエンジニア含む)が求人数の多い職種です。1人に対して4~5件の求人数もざらにあります。
逆に総務・広報、一般事務、制作・編集・ライターの求人数はそれほど高くありません。求人広告でも採用しやすい職種や、社内のポジションが少ない等の複数の理由から求人倍率は1人に対して1件以下になることが多いです。
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メリット2:履歴書・職務経歴書・ES(エントリーシート)
日本ではいまだに「手書き文化」が残っています。就職活動の際に苦労した人も多いと思いますが、中途採用においても採用HPから応募すると「人事部宛に履歴書と職務経歴書を郵送してくれ」という会社がいまだにあります。人材紹介会社経由であればこうした労力を省くことができます。
人材紹介会社に登録すると最初に人材紹介会社との面談が実施されます。その際に履歴書と職務経歴書(キャリアシート)と証明写真の提出が求められます。
候補者はワードで提出するか、人材紹介会社が用意している所定の項目に回答・登録しておけば全ての会社の共通履歴書として利用でき、毎回書く必要がありません。履歴書の提出も自動システムか、人材紹介会社が求人企業に代行送付してくれるため、自分自身でメールを送る必要はありません。
求職者は面接対策や企業分析に集中することができるので、就業しながら転職活動をしている人にとっては最大のメリットです。
職務経歴書は「実績や経歴が不明瞭」「志望動機が採用担当者に伝わりづらい」といった書き方のポイントや添削のアドバイスをしてくれます。中小エージェントほど親身に対応してくれ、志望動機の例文サンプルまでアドバイスしてくれる会社もあります。
ただし面接対策は個人でも十分におこなっておくことが必要不可欠です。1回限りの面接対策では不十分であり、仕事選びの軸、長所や短所の模範解答など面接官の質問の意図を踏まえた回答例を練習しておくことをおススメします。
想定質問集の作成と予行演習
応募企業に関する資料を読み込み、自分独自の想定質問を作成してみましょう。答えづらい質問や、出た回答に対して「なぜそう思うのか?」など、深く突っ込んで聞く質問も入れてみるのがポイントです。
想定質問集ができたら、問いに対して声に出して答えてみましょう。答えを台詞のように書いて覚える必要はありませんが、どう話せばわかりやすく相手に意思を伝えられるか、自分の言葉で話せるようになるまで、何度も声に出しながら工夫してみてください。
また身近な人に協力してもらい、予行演習(模擬面接)をしてみると、話し方(クセ)や言い回し、質問に対するおかしな回答、面接態度など、細かい点に気をつけることができます。
定番の質問でウォーミングアップ
最初はあまり難しく考えずに、よく聞かれる5つの項目(自己紹介/転職理由/応募動機/強みと弱み/仕事観)で練習してみてはどうでしょう。これらの内容は、キャリアアドバイザーとの面談や、職務経歴書作成の際にも何度か触れた内容です。職務経歴書を見ながら、伝えたい内容をまとめていくのも一つの方法です。
メリット3:無料のサポートとフォロー
人材紹介会社はスキル・キャリア・年齢・適性などを総合的に考慮し、求職者に適切なアドバイスをしてくれます。業界特性や職種適性のアドバイスを積極的にもらえるので、未経験の業界や職種に挑戦(キャリアチェンジ)したい人は人材紹介会社を利用するメリットは大きいです。
さらに面接後の印象確認や意思決定アドバイスなど転職活動中も継続的に支援してくれるので内定獲得の近道ができます。
キャリアアドバイザーが求職者に募集企業のレジュメ(求人票)を一気に渡す情報提供が中心の企業もありますが、転職を成功させるためのパートナーとして二人三脚で一緒に考えてくれる人材紹介会社もいます。
面接前に「この会社の特徴は〇〇です」「営業部長が面接官です」と外部からは見えない企業の内部情報を提供・説明してくれるエージェントもいます。求人企業の社風、年齢構成、中途入社の割合、予想年収など気になる情報があれば積極的に質問しましょう。
転職活動中は面接に落ちた後は一人だと「転職できなかったらどうしよう…」と落ち込んだり、不安になったりします。そういった悩んだときに相談に乗ってくれ後押してくれる頼もしい存在が転職エージェント会社です。
ときには「そんな甘い考えでは内定は獲得できない!」と厳しい言葉もあるかもしれませんが、そういった指摘も大切なアドバイスだと思います。もしも面接で伝え忘れたことや、伝えきれなかったことがある場合は、追加情報としてキャリアアドバイザーから企業に伝えてくれます。
無料の面接力向上セミナーが受講可能
大手人材紹介会社では自己分析の方法や自分の強みを活かせる企業の選び方、企業情報の読み取り方や自分の強みの発掘など無料の面接力向上セミナーを定期的におこなっている企業もいます。
最近では転職活動をする登録者向けに専用スマホアプリを用意している人材紹介会社もいます。スマホアプリでは求人紹介や面接調整など重要なメッセージの確認・返信をより簡単におこなうことができます。LINEで企業紹介を受けられるサービスを展開している企業もありますよ。
面談を断られることもある
志望したい業界や企業が漠然としており「自分はどの仕事に適性があるのだろうか」と自己分析の段階でも相談は可能ですが、就職・転職活動を前提としていない相談の場合は後回しにされることもあります。
大手人材紹介会社では個人アドバイザーが専属で担当してもらえる期間が定められているケースがあります。多くはキャリアアドバイザーとの初回面談が完了してから3ヶ月が基本です。
3ヶ月以上先の転職を考えている人は電話での相談が中心となります。人材紹介会社としては就職・転職活動中の方を優先的に支援しますので、対面式の面談を希望しても電話面談もしくはメールサポートになってしまうかもしれません。
30代でアルバイト経験しかない人、20代で5回以上転職している人、短い期間で転職を繰り返している人(ジョブホッパー)は、年齢とキャリアのバランスが悪く、紹介できる求人がないとして転職支援(面接・転職相談)を断られる人もいます。各社とも登録基準・登録難易度は違いますが、厳しい会社だと実質上の登録拒否される人もいます。
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メリット4:企業との調整役
企業との様々な調整役を担ってくれるのも大きなメリットです。面接日の日程調整など企業との連絡を代行してもらえるので、在職中でもスムーズな転職活動が可能です。年収交渉など自分からは言いづらいことも調整してくれます。
面接の結果は、キャリアドバイザーから連絡がきます。結果は、面接をおこなってから翌日から1週間程度で分かります。面接の結果や企業からのコメントをもとに次のステップへのフォローやアドバイスをおこないます。
内定辞退や選考辞退も人材紹介会社が連絡してくれ、内定承諾の回答期限・入社予定日の交渉も対応してくれます。「第一候補の会社の最終面接が〇日なので、それまでは待ってほしい」など人材紹介会社には遠慮せず自分の意見を伝えましょう。
採用・不採用通知は全て人材紹介者経由になり、求人企業は選考段階で候補者と直接連絡をとってしまうことはルール違反となります。入社の意思決定後に初めて求人企業の担当者から連絡が来ます。
なお候補者が企業に連絡を直接取るのも同じくルール違反になりますのでご注意ください。もしも登録前に直接応募した企業があれば面談時に伝えておきましょう。
内定以降の進め方
労働基準法では、労働契約を締結する際に、給与や勤務時間などの労働条件を書面で明示することになっています。内定受諾により労働契約が成立しますので、書面による労働条件の確認をもって、正式に回答するよう慎重に判断しましょう。
企業への入社を決めたら、その旨をキャリアアドバイザーに連絡しましょう。人材紹介会社から入社先企業へ、あなたの入社意思の決定を伝え、入社に向けての手続きを進めていきます。
入社意思を決定した際に他社の選考が残っている場合は、速やかに選考自体の手続きをしましょう。自己応募や複数エージェント経由での選考についても、漏れのないように辞退手続きをしましょう。
円満退職のために退職意向は直属の上司へまず報告
一般的に退職意向は、まずは口頭で直属の上司に報告します。本来報告すべき上司を越えて、部長など上の役職に伝えてしまったり、うっかり同僚に話をして、それが上司に伝わった場合、トラブルを招き退職交渉に支障をきたす恐れもあります。直属の上司に報告したら、数日内に必ず退職願を提出しましょう。
こうした口頭による報告後の引き留めなど円満に退職できないケースが予想される場合は退職願を人事部長など直属の上司のさらに上の責任部署(者)に提出します。就業規則で定められた期日までに退職願を提出すれば退職は可能ですが、業務の引継ぎをおろそかにして退職するのはもってのほかです。
引継ぎが完了できそうな日取りと、転職先への入社日を勘案して、退職日を上司と決め、円滑に退職手続きを進めていきましょう。
人材紹介会社の特徴・ビジネスモデル・手数料
人材紹介会社に登録すれば求職者は無料で転職支援サービスを利用できます。
無料で利用できることに驚く人もいますが、人材紹介会社は求職者側ではなく、企業から紹介手数料(マージン)をもらうことで成り立っています。一般的な人材紹介会社は候補者の提示年収の約30%が紹介手数料として売上になる場合が多いです。年収300万円であれば100万円の売上です。
他にはエグゼクティブサーチやヘッドハンティング会社が、役員クラスや経営幹部など難易度が高い求人案件を取り扱う場合「リテーナーフィー(着手金)」が発生するケースもあります。これは求人の依頼をした時点で、紹介手数料の一部を請求し、紹介者が入社することに成功した段階で残りの紹介手数料を請求する仕組みになっています。
人材紹介会社の売上構造
広告宣伝費・事務所家賃・人件費などの経費はかかるものの、商品はヒトですから原価率が良く、それ以外は基本的に全て利益になるため非常に利益率の高いビジネスモデルです。
大きな設備投資が不要な点や拡大マーケットと相まって、起業・参入する人は多い業界です。一方で、成功報酬型のビジネスモデルから支払いは事後入金です。それまでの負担はすべて人材紹介会社が負担することになるため少なからずリスクはあります。
人生の岐路である転職活動を真剣にフォローしたい気持ちで皆さん頑張ってくれますが、人材紹介会社も候補者が入社してくれないと売上にならないというのもビジネス上の理由として存在します。理由はなんであれ候補者にとっては無料で転職支援を利用できることは嬉しいですよね。
人材紹介会社の返金規定
紹介者が自己都合で早期離職した場合は紹介手数料を一部返金するのが一般的です。
1ヶ月以内の自己都合退職は75%~100%返金、3ヶ月以内は50%返金といった契約が相場になっています。多くの場合、3ヶ月経過後の退職は返金規定がありません。3ヶ月以降の退職は企業側の過失が大きいと双方で合意されているからです。
そのため「とりあえず紹介すればいい」と強引に入社させようとする人材紹介会社がいれば、求人企業と求職者双方からの評判が悪くなるため、生き残っていけないでしょう。人生を左右する決断をサポートしているため丁寧な対応が求められる仕事です。
人材紹介会社と人材派遣会社の違い
人材紹介会社は文字通り紹介に対して、人材派遣会社は斡旋ビジネスになります。人材紹介会社は求職者との間に雇用関係は発生しませんが、人材派遣会社は直接雇用する人材を派遣先企業に派遣します。
つまり派遣スタッフにとって実際に働くことになる派遣先企業との雇用関係はなく、あくまで人材派遣会社の社員として働くことになります。福利厚生も、派遣元の福利厚生が適用となります。簡単に言うとトヨタ自動車に派遣されても、トヨタ自動車の福利厚生は適用されません。
人材派遣会社(一般労働者派遣)は、派遣先企業から派遣料金を請求します。受け取った派遣料金から派遣スタッフの給与や社会保険料を差し引いた額(売上原価)が人材派遣会社の利益となります。
人材派遣は利益率は低いですが、毎月継続的な安定収入が見込めます。そのため 人材紹介はフロー型(単発収益型)ビジネス、人材派遣はストック型ビジネスと言われています。
デメリット1:契約企業と求人保有数の問題
求人広告に求人を掲載していない企業があることをメリットに挙げていますが、逆に求人広告にしか掲載していない企業もあります。
人材紹介会社の紹介手数料(仲介料)は決して安くなく、簡単に利用できるものではないからです。一般的な相場である紹介手数料30%で計算すると、年収300万円の若手社員でも手数料は90万円かかる計算になります。3名採用すると270万円になりますので、採用予算が潤沢な会社でないと利用できません。
また人材紹介会社は契約している企業にしか候補者を紹介できません。入社(エントリー)を希望している企業が登録した人材紹介会社に依頼していない可能性もあります。業種業態や会社地域によって人材紹介会社の利用率は様々です。
営業・エンジニア職はどの人材紹介会社も豊富に案件がありますが、少し特殊な業種や職種の場合は一部の特化型人材紹介会社しか案件を保有していません。
特にブルーカラーと呼ばれる職種はどの会社でも取り扱い求人数は少ないです。土木・建築・製造系の現場作業員の仕事は公共職業安定所(ハローワーク)のほうが、求人数が多い傾向にあります。
エントリーを希望する会社があれば「〇〇(会社名)にエントリーしたいのですが、御社は契約していますか?」と担当キャリアコンサルタントに聞いてみましょう。聞く事は失礼になりません。
ちなみにエントリーを希望する会社が「人材紹介会社を利用しているか」「どこの人材紹介会社を利用しているか」は調べてもわかりません。超大手企業や有名スタートアップ企業であれば人材紹介会社の取引実績や公開案件として調べられる場合がありますが、基本的に不明です。
デメリット2:採用率の違い
一般公募の応募の方と能力の差がない場合は、手数料(仲介料)のかからない一般公募の応募者が優先して採用されることがあります。採用担当者として採用費はできるだけ抑えたいわけですから、紹介手数料のかかる候補者の内定ハードルが高くなってしまうのは致し方ありません。
人材紹介会社経由だと内定ハードルは通常よりも高く設定されがちです。「お金がかかる以上は完璧な職務経歴の人が欲しい」と考える採用担当者も多く、一般応募であれば採用されているレベルでも人材紹介会社経由だと不採用になってしまうことも考えられます。
一部の企業は紹介手数料を支払いたくないため求職者に直接応募を持ちかける企業もいるそうです。求職者にとって人材紹介会社と求人企業との契約内容は関係ありませんが、トラブルに発展した場合、企業と結託したとして加害者になってしまう可能性があります。
自分が入社するかもしれない企業の約束を破る行為やモラルの低い発言は注意したほうがいいと思います。平気でルールを破る企業は給与未払いの可能性があると指摘する人もいます。もしも悪質だと感じたら人材紹介会社に経緯を説明し、今後の被害者を減らすことに協力するのも一つの手段です。
デメリット3:悪徳人材紹介会社
人材紹介会社の中には紹介手数料(仲介料)欲しさに、候補者の承諾なく企業へ推薦したり、経歴詐称を推奨したり、内定時に強引に入社させようとする会社もあります。
また転職活動を中断・終了しているのに以前登録した人材紹介会社から、再登録を促されたり、無視しても何度もしつこい電話をされたりして「うざい!」と感じる人もいるそうです。
本来は内定承諾の回答期限を調整してくれる役割を持っている人材紹介会社ですが、内定が決まった候補者に対して担当者が「2日以内に内定を承諾するか決めてください」とクロージングメールを送る会社もあるそうです。
候補者の承諾なく企業へ推薦・紹介することは論外。始めて利用する初心者は「そんなものなのか」と思ってしまう人がいますが、勝手に応募されたら志望理由なんて存在しないですよね。
内定企業への入社をプッシュする行為は全てが悪いわけではありませんが、こうした苦情やトラブルが多いのも事実です。
どの程度強引かにもよりますが、最終的に入社するのは自分自身ですので冷静に判断してほしいと思います。悪質な転職エージェントはいまだに多く存在しており注意してほしいと思います。
人材紹介会社を利用する前の注意点
それは「人材紹介業は人に依存する。」ということです。タレントを起用した広告や、どんなにきれいな看板を掲げている会社でも、相談する相手によっては、あなたの時間とキャリアを台無しにすることがあります。信頼できるコンサルタントと出会ったら、その縁を大切にすることをお勧めします。
出典:【転職成功】信頼できる人材紹介会社まとめ~大手編~
転職エージェントでは担当キャリアアドバイザーの質や相性に依存してしまいがちです。こればかりは運としか言えない部分があります。
大手エージェント会社であれば一定レベルのサービス提供が保証されていますが、決して完璧な存在ではありません。大手エージェントに対するネットでの口コミ・評判・評価は総合的に高いものの、会社に対する評価とキャリアアドバイザー個人に対する評価は全く違います。
大手エージェントの口コミ・評判・評価で「満足度が高い」「サービスが良い」とされていても、それはキャリアアドバイザー個人に対する評価です。
その良いキャリアアドバイザーが自分自身にとって相性が良いとは言い切れず、また良いと評価されたキャリアアドバイザーが自身の担当になってくれる保証はありません。
仮に友達からの紹介経由だとしても、同じキャリアアドバイザーが担当になってくれる可能性は低いです。逆に中小エージェントだと指名できる会社もありますので、遠慮せず担当者を指名してみましょう。
コンサルタントのチェンジ(担当変更)
コンサルタントとはじめてコンタクトをとる電話や、その後の面談で、貴方が携わってきた仕事の専門用語や業界理解が不十分と感じた時には、丁重に本人もしくは当人の上長or経営者に申し出て、コンサルタントを変更してもらおう。客観的にあなたのキャリアが希少であったり、価値があるという場合、他の会社やコンサルタントへ相談したほうが時間のロスも生じない。面談前のキャンセルであれば、交通費も発生しない。もちろん、余計なストレスも。
出典:【知って得する】転職エージェントを上手に活用する方法まとめ
人材紹介会社のキャリアコンサルタントも万能な存在ではありません。全ての業界の最新情報や業界動向、そして全ての職種の仕事内容や技術的な知識を有しているわけではありません。浅く広く知識がある人や、特定の業界に深い知識がある人など人それぞれです。別業界or同業界に転職するのかでも求める能力は違ってくるかと思います。
仮にキャリアコンサルタントが専門知識があまりなくても、特殊な仕事の場合は求職者自身がわかりやすく説明してあげる譲歩が必要だと思います。ニッチ分野の専門知識ですと採用面接でも説明が必要になります。
ただしあまりにも無知だと登録者のキャリアを理解できないため、満足のいく転職先を紹介することができません。自分自身の保有スキルと紹介案件の必須スキルが違いすぎる場合は担当変更という選択肢が有効です。
キャリアコンサルタントの能力ではなく人間性や性格の部分が問題視される場合もあります。「上から目線で話をする」「こちらの話を全く聞こうとしないで強引に話を進める」「高圧的な態度で接してきて最悪だった」「初対面なのに馴れ馴れしい」といった不満の声やクレームは多く、信用できないと感じたら担当変更を推奨します。
担当変更は多用すべきではありませんが、こうした選択肢があることも理解しておくと万が一の際に活用できます。ただし、キャリアアドバイザーが数名程度しか在籍していない小規模な転職エージェントの場合は担当変更が難しいです。
就職や転職は自分の人生を決める岐路です。例えば強引にエントリーを勧められて最終的に内定をもらえたとしても、納得感は低いままでしょう。専門家の意見を尊重しつつも、最終的に自分の考えやスタンスを大切にしてほしいと思います。
人材紹介会社はたくさんありますので、不安や不満があれば別の人材紹介会社を利用することをおすすめします。
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全業界、職種の求人を網羅!IT業界や営業職の求人も多数
人材紹介会社との上手な付き合い方
退職理由や正直に伝える
人材紹介会社のキャリアコンサルタントとの面談の際は嘘を言わず正直に退職理由や転職理由を答えましょう。「営業職が合わなかった」「給与が不満で…」「残業が多くて負担だった」といった内容でも問題ありません。
企業との面接ではネガティブな退職理由を伝えるのは避けるべきとされていますが人材紹介会社は味方ですので、正直に答える必要があります。ただし人間性を疑われるような誹謗中傷や会社や同僚の悪口は避けましょう。
応募書類に虚偽と受けとめられるミスがないように
スキルや経験など実績を盛りすぎると面接や入社後にバレて大問題になった人もいます。入社時に企業に提出する人事手続き書類(卒業証明書/雇用保険被保険者証/源泉徴収票など)によって、これらの情報について虚偽や誤りが明らかになった場合、内定が取り消されたり、入社後に解雇される恐れもあります。
高校中退や大学中退なのに大学卒業とする経歴詐称(学歴詐称)は卒業証書の提出を求める企業や興信所を利用する企業がそもそも多くないのでバレにくいですが、調べられると簡単にバレてしまいます。
単純な書き間違いや「これくらいはあえて伝えなくても・・」といった軽い気持ちであっても企業には悪意ととられることもあります。
年齢にもよりますが転職では社会人経験や実績が重要視されるので留年や中退といった学生時代の経歴は気にしない人事が多いです。あまりにも嘘が酷い人や、過去に問題を起こした人はブラックリストに名を連ねてしまいますので絶対に止めましょう。
注意したい項目
- 入社していない学校名を申告する
- 入学後、中途退学していることを申告しない
- 在学期間(入学/卒業年月)を誤って申告する
- 保有していない資格を申告する
- 資格取得年月を誤って申告する
- TOEFLスコアレポートの有効期限(試験日より2年間)が過ぎている。
- 入社していない企業や経験していない職務、役職を申告する
- 入社した企業や経験した職務をあえて申告しない
- 勤務期間(入社/退職年月)を偽って申告する
- 休職期間についても、職務を行っていたうに申告する
- 実際の年収/月収と異なる金額を申告する
エントリーの質と量の問題
エントリーに対する価値観はキャリアコンサルタントによっても分かれます。たくさんのエントリーを推奨する人もいれば、マッチング重視で厳選された少数の求人数へのエントリーを推奨する人もいます。
大手エージェント会社であれば保有している案件数も豊富なため、例えば営業職+第二新卒+IT業界でも約50社以上は簡単に紹介してもらえますが、50社も企業研究するのは非常に労力が必要です。
一方で個人エージェントに依頼して、候補者の性格と求人企業のカルチャーフィットを見極めてもらい、エントリー5社中2社から内定を得られた人も存在します。
絶対に譲れない条件があれば面談時に伝えることで希望条件を適した求人票を紹介してもらえます。「転勤は絶対に嫌」「年収400万円以下は避けたい」等の必須条件や歓迎条件も事前に整理して伝えることができれば相互理解が進み、ミスマッチも減らすことができます。
紹介企業への応募は自分自身で判断
転職活動の主役はあくまでも自分自身です。
紹介された企業へ応募するか否かは、人材紹介会社から渡された求人票だけでなく、企業情報を自分でも調べた上で、自分自身のキャリアプランと照らし合わせて判断しましょう。
必ずしも紹介された企業に応募する必要はありません。応募しない場合はその理由をキャリアアドバイザーに伝え、次回以降より希望に沿った求人を紹介してもらえるようにしましょう。
面接のドタキャンやバックレ行為は絶対NG
面接当日、やむを得ない事情からどうしても遅刻してしまう場合は速やかに応募企業およびキャリアアドバイザーに連絡しましょう。なお当日や前日の連絡は、行き違いを防ぐためにも電話で連絡したほうが安全です。
人材紹介会社に登録したらキャリアアドバイザーとのコミュニケーションは大切にしましょう。メールや電話に対するレスポンスは在職中でも業務の休憩時間に返信したほうがいいです。遅くとも当日中に返信するようにしましょう。
求人案件は複数の候補者に同時配信しており、返事が遅いと案件がクローズしてしまう可能性があります。優良案件は応募者も多くなるので、できるだけ早く応募する必要があります。
またキャリアアドバイザーとの信頼関係を構築する上でも返信は早い方が得です。人材紹介会社は求人企業側にとって一時選考という役割も担っているので横柄な態度や報連相ができない候補者には優良案件は紹介してくれません。
当然ながら面接のドタキャンやバックレ行為はNGです。
余裕をもって面接場所に向かうようにしましょう。逆にこまかい対応をしっかりできている候補者には「この人はおススメできます」と企業に紹介してくれるようになり、優良案件を優先的に紹介してくれるようになります。マナーを守った丁寧なコミュニケーションを心がけてほしいと思います。
複数の人材紹介会社を利用している際の退会方法・退会理由
人材紹介会社を複数登録したり、リクナビNEXTやマイナビ転職といった転職サイトと同時利用する人もいます。
もしも人材紹介会社A社経由で内定が決まった場合は、人材紹介会社B社には「別に登録している人材紹介会社経由で内定が決まったので活動終了することにします」「求人サイト経由の応募で希望している企業から内定をもらえたので入社承諾することにしました」と退会理由を報告し、その後の案件紹介は速やかにストップしてもらいましょう。選考途中の会社があれば丁重に面接キャンセルする旨を伝えましょう。
電話だと伝えづらいときは、メールだけでも大丈夫です。最後の挨拶になりますので例文としては「御社経由で内定獲得には至りませんでしたが、色々とアドバイス頂きありがとうございました」と御礼をしっかり伝えてほしいと思います。
エージェントによっては管理画面や問い合わせフォームから申請できます。個人情報が気になる人は退会申請だけでなく、個人情報の削除も明記して依頼する必要があります。
内定獲得で退会・登録解除する際にあえて別の人材紹介会社名や内定先企業を伝える必要は全くありません。もしも聞かれても「恐縮ですが社名の公表は控えさせて頂きます」と伝えてOKです。
キャリアコンサルタントも今後の参考程度に質問をしていますので、特に問題ないと思ったら自分の判断のもと業界名と職種名だけ伝えたり、社名を公表しても問題になることはありません。
また人材紹介会社B社から「タダ働きさせやがって!」と企業紹介料の名目で請求されることはありませんのでご安心ください。登録したらその人材紹介会社以外は利用したらいけないというルールや制限はありません。
ただし人材紹介会社に登録する段階で別の人材紹介会社を利用している場合や質問された際は相手に不信感を与えないためにも隠さず伝えましょう。
人材紹介会社との面談(場所・服装・質問)
面談場所は大手人材紹介会社であれば自社の面談ルームで指定されます。人によっては遠方で大変かもしれませんが、落ち着いた環境で面談を受けられます。個人エージェントだと喫茶店やホテル内のカフェを指定されることがあります。
登録者の負担を減らすために自宅住所や勤務場所に近い場所を指定してくれる会社もありますが、周囲の騒音が気になったり、自身の経歴が周囲に聞こえてないか不安になったり、落ち着かないのがデメリットです。気になる人は担当者に個室や会議室を予約してもらえるように伝えてみましょう。
面談日の服装は必ずスーツを着る必要はありません。特に面談日が土日・祝祭日の場合や、普段の仕事から私服で働いている人は私服で問題ありません。ただし休日だからといってサンダルなどラフすぎる格好は、キャリアコンサルタントに正しい自分自身のイメージを伝えられないため、控えたほうが良いでしょう。
平日の夕方以降に面談に設定される場合もあると思いますが、私服勤務の人は無理にスーツに着替える必要はなく、普段通りの恰好で問題ありません。心配な人は事前に私服で行く旨を伝えてもいいかもしれませんね。
面談での質問では「現在働いている会社に就職した理由」「自分自身の特徴・長所・持ち味」「どのような軸で就職活動をしたのか」「高校生・大学生時代はどのような活動をしていたのか」「譲れない価値観」など様々なことを聞かれます。
事前に自己分析をしていないとスムーズに進まないことも考えられます。例えば退職理由も仕事内容、給与や福利厚生、上司や同僚との関係性など複数の理由が存在していると思いますが、どれが一番の問題であったのかを改めて振り返ってみたほうがいいです。
「次の会社選びではどのポイントを重視しますか?」と聞かれた際に、答えらえるようにしておくことがベストです。
ブラック企業の回避方法と早期退職の対応方法
転職してみたら「思っていたのと違っていた」ということは多々あると思います。人材紹介会社も会社の内部情報の把握に努めているものの、紹介先の従業員ではないため完璧に理解するのは不可能です。
悪い企業は人材紹介会社にも嘘をついて「自社の将来性は高い」「将来の幹部候補として採用したい」と説明する企業もいます。人材紹介会社も知らずにブラック企業を推薦してくることがあります。
よくあるキャッチコピーが「拡大マーケット×スピード感」「成長産業で急成長しているスタートアップ企業」「社会貢献度の高いサービス」「第二創業期」「社長直轄の新規事業」…etc。企業も優秀な人材に入社してほしいので会社のことを良く見せようとします。
候補者は企業の実態を慎重に見極める必要があり、会社ホームページだけでなく転職会議やVorkersやキャリコネといったクチコミサイトも有効活用することで総合的に判断することをおすすめします。
クチコミサイトでは古い情報や、クレーマータイプのコメントもあります。全ての情報を鵜呑みにするのは危険ですが、過重労働・違法労働・パワハラ・セクハラといった非常に参考になる内容もあります。待遇の割にポジティブすぎるコメントは自作自演の可能性がありますので注意してくださいね。中立的な視点のコメントがおススメです。
残業問題は企業側の自己申告制になるので人材紹介会社でも事実を把握するのが難しい情報です。またブラック人事だったら悪い情報は隠蔽したり、良い部分だけを強調して選考を進ませようとします。
転職媒体にはレビュー評価という仕組みがありますが、信じすぎるのはよくありません。転職媒体のレビューは企業側が依頼すれば取り下げることが出来るため、結果的に良いレビューのみ掲載することが可能なシステムだからです。
ブラック企業の募集方法と早期退職の対応方法
多少の認識のズレや異文化に対する違和感はある程度は仕方のないものと割り切って考えたほうがいいですが、「事業企画・商品企画として入社したのに2か月目に営業部に転籍された」「入社すぐに子会社に出向させられた」「ノルマ未達成の場合は3ヶ月で正社員から契約社員に降格だと宣告された」といった入社条件と著しく違う場合は自己判断のもと退職を視野に入れてもいいと思います。
子会社名だと応募されないので親会社名で募集する会社、インバウンド中心と言いながらテレアポ中心の会社、営業職では応募されないのでウケのいい事業企画という名目で募集するブラック会社は実際に存在しています。
短期間での退職は不利になるのも事実ですが、ブラック企業だと判断できる場合は我慢して残っていても、搾取され続けるだけでメリットはありません。
入社間もないタイミングでの自己都合退職は、人材紹介会社は求人企業から紹介手数料の一部返金が発生しますが、人材紹介会社から個人に損害賠償が発生することはありません。人材紹介会社から連絡がくるかもしれませんが、単純に「退職理由が知りたい」という気持ちが強いです。
人材紹介会社も退職経緯を知らないので「どうしたのですか?」「〇〇さんから直接退職理由を教えてもらいたくて」と連絡がきたら「紹介してもらった会社は入社前に提示された仕事内容や待遇が全く違っていた」と正直に伝えましょう。人材紹介会社も嘘の職場環境や仕事内容を伝えられ騙されている可能性があります。
自己都合や、ミスマッチによる早期退職の場合でもペナルティはありません。電話を無視するのではなく「紹介してもらって申し訳ないけど、企業文化と価値観が合わなかった」「入社前にはわからなかったけど、思っている以上に大変な仕事だった」と伝えてあげてほしいと思います。
まとめ
人材紹介会社に何を求めどのように利用するかは人それぞれです。ただ案件を紹介してほしい人もいれば、そもそも志望業界の相談から始めたい人もいます。人材紹介会社は自分の代理人(パートナー)として様々なメリットがありますが、万能な存在ではないことを理解してほしいと思います。
就職・転職活動を成功させるためには、自分に合った人材紹介会社選びが重要です。しかし、人材紹介会社任せにするのではなく、みずから業界研究・面接対策をすることも大切です。
大変だとは思いますが自分自身が転職するわけですから、妥協せず積極的に行動するようにしましょう。人材紹介会社のメリットやデメリットをしっかり理解し、上手に利用してください。
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※注1:厚生労働省「平成27年度職業紹介事業報告書」
※注2:一般社団法人 人材サービス産業協議会
※注3:厚生労働省「平成27年度職業紹介事業報告書」