営業職として培った経験を活かし、より戦略的な仕事に挑戦したい――そんな思いからマーケティング職への転職を目指す人は少なくありません。
とはいえ、未経験からマーケティング職へキャリアチェンジするには、採用市場の現実や必要なスキル、効果的なアピール方法を理解しておくことが不可欠です。
本記事では、営業職からマーケティング職への転職が可能かどうか、成功に必要なスキルや面接でのアピールポイント、さらに転職難易度まで詳しく解説します。
マーケティング職の仕事内容
マーケティング職とは「商品をより広く流通させるため、商品と顧客の接点を作る仕事」です。
「市場がどんな商品を求めているのか」、「競合はどのような商品を提供しているのか」を分析し、そのうえでどのような販売戦略を取っていくのかを決めていくといった、ある種、企画職の仕事であるといえます。
とはいえ、企業や業界によって「マーケティング」の解釈が異なり、業務内容が違ってきます。例えば、IT業界のマーケティングはSNSやアンケートなどを駆使し、戦略を設定するのがマーケティングの仕事となりますが、中には商品自体を考える「商品企画」の仕事まで内包されている場合もあります。
また、医療機器メーカーのプロダクトマーケティングは、どちらかといえば海外のトレンドを手に入れ、日本の治療に必要とされる情報をとり、販売戦略を練る学術的な業務も入ってきます。
加えて、チームで仕事をしていくポジションであるため、業務の進め方も業界・会社によって全く異なることも少なくありません。ただ、マーケティングという言葉に踊らされず、その業界・会社のマーケティング業務についてしっかり理解しておくことが必要となります。
以下ではマーケティングの業務と混同しやすい職種について説明をさせて頂きますので以下の点も合わせて認識しておきましょう。
商品企画との違い
マーケティング職は販売戦略を立てる上でのもっとも上流の仕事です。
マーケティングの方が「今市場は何を求めているのか」「競合がどういう戦略をとっているのか」を踏まえ、どういった戦略で自社のビジネスを進めるのかを考える仕事となります。
一方、商品企画職の仕事とは、マーケティングチームが考えた方針に基づいて商品の企画・開発をする仕事となり、商品企画職は業界出身者で商品に詳しい方を必要とします。
そのため、営業経験者は「商品をどのように売っていくのか」という戦略を考える経験を積んでいますので、商品企画よりマーケティング職の方が転職しやすいといえます。
営業とマーケティング職の違い
営業職は目の前の顧客が何を求めているのかをヒアリングし、商品を売り込むのが仕事です。しかし、マーケティング職は市場に対してどのようなアプローチをするべきか上流の全体戦略を考えるのが仕事です。
そのため、マーケティング職として働くことにおいて、営業の現場を知っておくのは非常にプラスの経験であり、市場や業界全体、世の中の潮流など、広範な興味・関心が求められます。
キャリアアドバイザー視点のワンポイントアドバイス
マーケティング職は一見華やかですが、実際には戦略立案力・分析力・調整力など幅広いスキルが求められ、未経験からの転職は競争率も高く、準備不足では書類選考すら通らないケースも珍しくありません。
「仕事内容は理解したつもり」でも、応募先ごとの業務範囲や求められるスキルを正確に把握できていなければ、面接での回答は的外れになりがちです。
こうした情報や対策は独力では限界があります。不安を少しでも感じたら、早めに転職エージェントに登録し、応募企業ごとの詳細な業務内容や求められる人物像を把握してから動くことが、未経験からの成功率を大きく高める近道です。
マーケティング職への転職理由
マーケティング職を目指す方のよくある志望理由・転職理由についてご紹介します。
キャリアアップのため
マーケティング職は、営業職で成果を出した先にアサインされる上流ポジションとして認識されることが多いです。
営業が「前線で戦う兵士」だとすれば、マーケティングはその戦い方を設計する「軍師」の役割。市場分析や戦略立案を通じ、組織全体の方向性を決める重要なポジションです。
営業職としては、マネージャーとしてチームを率いるキャリアもあれば、マーケティング職に転じて戦略面から事業を動かすキャリアもあります。「現場経験を活かしてより広い視野でビジネスを動かしたい」という想いが、転職理由として多く挙がります。
年収アップのため
マーケティング職は、営業職と比較して経験者の比率が低く、専門性が求められるため、高めの年収を提示される傾向があります。
特にデジタルマーケティングやBtoBマーケティングの分野では需要が高く、スキルを身につければ年収アップが現実的に可能です。
「営業で培った顧客理解力と提案力を、より価値の高い形で活かしたい」という理由でマーケティング職を志す方も少なくありません。
「カッコいいから」という憧れ
マーケティングという響き自体に魅力を感じて転職を考える方もいます。
「マーケティング部門に所属している」というだけで、戦略的で洗練された印象を持たれやすく、実際にかっこいい職種というイメージは根強いです。
ただし、実務では地道なデータ分析や施策検証も多く、華やかなだけではない現実があります。仕事内容を正しく理解したうえで志望理由を語ることが、面接での説得力を高めるポイントです。

営業から未経験でマーケティング職への転職は可能?
結論から言うと、20代〜30代前半で営業経験がある方であれば、未経験からでもマーケティング職に転職できる可能性は十分あります。
営業職で培った「顧客理解力」「提案力」「課題解決力」は、マーケティングに直結する強みとして評価されやすいからです。
まずは社内異動の可能性を確認
未経験でマーケティング職に就く最も近道は、転職ではなく社内異動です。
特に大企業では「社内公募制度」「社内転職制度」があり、現在の仕事で成果を出していることを前提に、自ら希望すれば異動できるケースがあります。
転職活動を始める前に、自社にこうした制度がないかを確認しましょう。もし制度がある場合は、営業職での実績を積み、社内でポジションを勝ち取る方がリスクも低くなります。
未経験でも採用される理由
社内異動が叶わない場合でも、営業経験者は転職市場で一定の需要があります。
マーケティング職は「市場や顧客を深く理解し、効果的な接点を作ること」が本質的な役割。営業職は日々顧客と向き合い、その課題やニーズを把握して提案を行っているため、すでにマーケティングの土台を持っていると言えます。
このため、基礎的なマーケティング知識や分析スキルを身につければ、未経験からでも即戦力候補として評価される可能性があります。の募集は少なく、採用難易度は高いため、その点はしっかり認識しておくこと必要があります。
注意点:募集は少なく採用難易度は高い
ただし、マーケティング職は営業職と比べて求人数が少なく、人気も高いため採用難易度は高めです。
ポートフォリオや学習実績、資格取得などでスキルを可視化し、応募書類や面接で「営業経験をどうマーケティングに活かせるか」を明確に語れる準備が必要です。

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営業からマーケティング職に転職をする際に必要な5つのスキル
営業職からマーケティング職に転職をする際に必要なスキルや能力は以下の5点です。
データ分析スキル
マーケティングは、過去の傾向・データを振り返り、その数値から1つの仮説を見出し、新しいものを生み出すための材料にするのがマーケティングの仕事のうちの1つです。マーケティング職として働く上で、数字に強くなる、数字を意識するのは現段階でやっておくことであると言えます。
フレームワークの知識
フレームワークとはビジネス上の問題とその解決について考える手法で、MECE分析、SWOT分析、3C分析をいったあらゆる課題を洗い出す方法です。コンサルの方であれば最初に学ぶ手法ですが、マーケティング職の方においても必要とされる知識です。
マーケティングは「型」から入る仕事です。本当にマーケティング職を目指したいのであれば、このようなワークフレームの本を1冊買い、勉強をしながら日々の業務に生かしておくと良いでしょう。
提案力
提案力が必要なのは営業職だけではありません。マーケティング職においても、自身が考えた戦略を上司や会社にOKをもらうための提案力が必要となります。
営業職として、クライアントから受け入れてもらえるような提案力をしっかり醸成していきましょう。
数字に対する意識
マーケティングの仕事は、自身が立てた戦略で成果を作り出す仕事です。
そのためには数値に対する高い意識・こだわりがなければ、その戦略に基づいて商品を作り出す商品企画も、また顧客と対峙し、売り上げをだす営業職もついてきてはくれません。
マーケティング職につきたいのであれば、営業職として誰よりも数字にこだわる意識と成果が必要となります。
広範な興味・関心
マーケティングにはフレームワークや数値分析のような技能、数字の意識や提案力といった営業に必要な能力も大事ですが、もう一つ大事なのはあらゆることに対する興味や遊び心です。
人がお金を使うの理由には「感情」も重要です。アプリの課金も、高級料理を食べに行くのもそうですが、合理的ではなく、楽しさや心を奪われるものに人はお金を出します。
そのため、あらゆることにアンテナを立て、興味関心を持つことで、人の心をひく何かを見いだすことができます。

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マーケティング職への転職を成功させる2つのコツ
マーケティング職への転職を成功させるためには、以下の2つのポイントを押さえておくと良いでしょう。
適性・能力があることをアピール
「営業職からマーケティング職へ転職をする際に必要なこと」で説明した5つのスキルや能力・成果をリンクさせてPRすることが大切です。
すなわち数値に対する執着をもち、あらゆるものに興味をもつアンテナ、そして数値分析、フレームワークのようなロジックを用いて現職の営業職で成果を出してきたことを、エピソードも盛り込んで面接の中で話をするのが重要です。
マーケティングを経験したことはないけれど、やる気はあり、実際それで成果を出してきたことは早期で活躍できる素地があると面接官から判断してもらうような行動、面接対策を行いましょう。
地味な業務に対する耐性
マーケティング職の業務内容にはデータ分析があり、数字と地道に向き合うことが求められます。
マーケティング職は人気な職種であるがゆえに、憧れで応募をする転職者も多いですが、そういった地味な業務に耐性があるのか、憧れや響きだけでマーケティング職を志望していないのかという点を見ています。
面接官も「そうはいっても、顧客と直接やりとりできる営業の方が楽しいんじゃないの?」と懸念を持っていますし、実際そういう質問をするなど、なんとなく志望してくる応募者を厳しい目で見ています。
マーケティング職への転職を成功させるには、なんとなく憧れや響きだけで面接を受けているのではないかという面接官の懸念を払拭し、地に足のついた形で志望していることを印象付ける必要があります。
求人広告営業の志望動機の例文テンプレート
未経験からマーケティング職に志望する場合、以下のような志望動機が考えられます。志望動機の例文テンプレート、雛形、フォーマット、サンプルをまとめました。
マーケティングに興味がある
マーケティングは商品やサービスを顧客に届けるための重要なプロセスであり、消費者のニーズや市場動向を分析し、戦略を立てることが必要です。自分が考えたアイデアや戦略が、実際のビジネスに反映されることが魅力的であり、その分野に興味を持っているという点を強調することができます。
コミュニケーション能力を活かしたい
マーケティングは、商品やサービスを消費者にアピールするために、広告やプロモーション活動を行うことが重要です。そのため、良いコミュニケーション能力が求められます。自分が持っているコミュニケーション能力を活かして、商品やサービスをより多くの人に知ってもらい、売上を伸ばすことができるという点をアピールすることができます。
市場動向を熟知したい
マーケティングは、消費者のニーズや市場動向を分析し、戦略を立てることが必要です。自分が志望する企業がどのような市場にいるのか、競合他社はどのようなアプローチをしているのかを熟知し、その情報をもとに戦略を考えることができるという点を強調することができます。
変化の激しい分野で働きたい
マーケティングは、市場や消費者のニーズが常に変化するため、常に新しいアイデアや戦略を考える必要があります。そのため、変化の激しい分野で働くことができ、自分自身も成長できるという点をアピールすることができます。
以上のような志望動機をもとに、自分自身の経験やスキルを強調し、未経験であることをカバーするような志望動機をまとめることが大切です。
まとめ
営業で培った顧客理解や提案力は、マーケティングでも大きな武器になります。あとは、その強みを企業に伝える準備と、必要な知識を身につける行動が成功のカギです。
ただし、マーケティング職は募集が限られ競争率も高いため、独力での転職活動は情報不足や準備不足になりがちです。「自分の経験が評価されるのか不安」「どんな企業に応募すべきかわからない」という方は、まず転職エージェントへの登録をおすすめします。
あなたの経歴や希望に合わせて最適な求人を提案し、書類作成・面接対策まで一貫してサポートしてくれるため、未経験からでも採用の可能性を大きく高められます。行動を早めれば、その分だけ理想のキャリアへの一歩も早く踏み出せます。
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