はじめて就職・転職エージェントに登録する方は「なぜ無料で転職サポートを実施してくれるのか」と疑問を抱いている方もいるでしょう。「登録する前に転職エージェントの闇・裏事情を把握しておきたい」と考えている方もいるかもしれません。
今回は同じ人材業界の求人広告屋が転職エージェント(人材紹介会社)について、裏事情や断れやすい人の特徴、注意点を紹介します。転職エージェントを有効活用して転職活動を成功させるためにも参考にしてください。
転職エージェントの闇・裏事情
まず転職エージェントの闇・裏事情から紹介します。
求職者によって優先度を決めている
転職エージェントに在籍しているキャリアアドバイザーは、一度に複数名の求職者をサポートしており、担当している求職者によって優先順位を決めています。
なぜなら、キャリアアドバイザーが求職者をサポートする際に、企業の利益を優先しなければならないからです。優先順位を決める要因には、転職させやすさ(経歴や年齢)が挙げられます。
キャリアアドバイザーは求人情報を紹介するだけでなく、面接対策や履歴書・職務経歴書の添削など、転職活動全般にわたるサポートをしなければなりません。
そのため、利益につながる求職者を優先しがちです。いつまでたっても求人情報を紹介してくれなかったり、キャリアアドバイザーからの連絡頻度が低かったり、選考結果の連絡が遅かったりする場合は、あなたの優先順位が低いのかもしれません。
キャリアアドバイザーには厳しいノルマがある
転職エージェントに在籍しているキャリアアドバイザーには、厳しいノルマが設定されています。例えば、毎月300万円の最低ノルマが設定されていて、未達成の場合は査定や賞与に響きます。
また、エントリーさせた企業数など、営業活動にも毎月の目標数字が設定している転職エージェントもあります。
そのため、求職者の転職スケジュールを設定する際に、キャリアアドバイザー自身の営業ノルマを考えながら、内定・入社までのスケジュールを調整する場合もあります。
内定承諾の回答を月内に求めたり、あえて翌月に調整されたりした場合は、担当アドバイザーの都合で決めているかもしれません。
早期退職すると報酬額が減額される
転職エージェントには、紹介した求職者が早期退職すると、紹介手数料(売上)を返金しなければいけない仕組みがあります。
例えば、求職者が入社した際に転職エージェントが受け取る報酬が100万円であった場合、紹介した求職者が3ヵ月以内に退職してしまったら50%の報酬を返金しなければいけません。
減額割合や退職保証期間に関しては転職エージェントによって異なりますが、ほぼすべての転職エージェントに返金規定が契約書に記されています。
そのため、紹介された企業を早期退職したいと担当アドバイザーに相談すると、全力で引き止められるでしょう。また、「あと〇ヵ月頑張ってください」と言われた場合は、報酬を満額受け取るために言っている可能性が高いです。
担当者によってスキルや知識に大きな違いがある
当たり前ですが、転職エージェントに在籍しているアドバイザーには、スキルや知識に大きな違いがあります。
そのため、担当アドバイザーによっては、的外れなことを言われたり、質問しても曖昧な回答しかできなかったりする場合があります。
もしも、担当アドバイザーにスキルや業界知識が少ないと感じたら、担当アドバイザーの変更を申し出ましょう。ほとんどの転職エージェントで、担当アドバイザーの変更を許可してくれます。
また、複数の転職エージェントから並行してサポートを受けておくことで、1人の担当者に依存せず転職活動を進められます。
ただ、業界に詳しくても職種には詳しくない、職種には詳しくても業界には詳しくない、など完璧な知識をもったキャリアアドバイザーはいません。
担当変更を依頼する基準は「どうしても許せない失礼な発言があった」「あまりにもいい加減な対応をしてきた」「やりかたが強引すぎる」など度が過ぎた場合に検討することをおすすめします。
担当変更は可能ですが、なぜ担当変更するのか、次はどういったタイプの担当者にしてほしいのかを合わせて伝える必要があります。
希望条件以外の求人を紹介される場合がある
転職エージェントから求人を紹介された際に、希望している条件とは異なる求人を紹介される場合があります。
というのも、アドバイザーは報酬額の高い求人を優先的に紹介したいからです。ですので、紹介された求人が希望条件と一致しなければ、遠慮せずに断りましょう。
ただし、希望条件を細かく設定し過ぎると、条件に合致する求人が限られてしまい、希望条件以外の求人を紹介される場合もあります。
希望条件以外の求人を紹介された場合は、担当アドバイザーに紹介した理由をしっかりと確認し、希望条件が厳しすぎる場合は、希望条件に優先順位をつけることが大切です。
一度登録すると何度も電話がかかってくる可能性がある
転職エージェントによっては、一度登録すると何度も電話がかかってくる可能性があります。転職エージェントのシステムでは、退会手続きをしない限り求職者の情報は残るからです。
そのため、応募先企業への入社後や、転職活動を諦めた後でも営業の電話をしつこくかけてくる可能性があります。転職エージェントからの電話が面倒な方は、転職エージェントの退会手続きを済ませておきましょう。
転職エージェントに断られる人の特徴
次に、転職エージェントに断られる人の特徴を紹介します。転職エージェントは、求職者によって転職サポートを実施してくれない場合があります。
アドバイザーに連絡しても話が進まない方は、こちらで紹介する特徴に当てはまっていないか確認しましょう。
早期退職の経験が多い人
早期退職の経験が多い人は、転職エージェントに断られる可能性が高いです。
これまでの職務経歴から面接選考の通過率が低かったり、今後も早期退職を繰り返したりする可能性があるからです。
そのため、早期退職が多い人の転職サポートは、営業ノルマが課せられているアドバイザーからすると、時間の無駄だと考えられてしまいます。
早期退職の経験が多くて転職サポートを受けたい場合は、早期退職した理由を明確に答えることと、今後早期退職しないための改善策を伝えることが大切です。
転職意欲が低い人
転職意欲が低い人は、転職エージェントに断られやすい人です。
転職エージェントの役割は転職サポートです。そのため、そもそも転職意欲が低い人に時間をかけても、売上に繋がらないため、時間の無駄だと感じられてしまいます。
どんなに経歴や学歴が良くても、転職意欲が低い方は相手にしてくれない可能性が高いため、初回の面談で転職に対する意欲をしっかりと伝えておくことが大切です。
過去に面接辞退・内定辞退した人
過去に面接などを辞退した人は、同じ転職エージェントでは断られる可能性が高いです。というのも、転職エージェントから「信頼できない人」だと思われるからです。
面接や選考に参加することを承諾したにもかかわらず途中で辞退すると、転職エージェントだけではなく、応募先企業にも大きな迷惑がかかります。
そのため、求職者の都合で面接などの選考を辞退することは、取引先企業との信用問題にも関わるのです。
選考辞退の経験がある方が転職サポートを受けたい場合は、転職エージェントが納得する辞退理由を説明できるようにしておく必要があります。
また、今後も同じ理由で辞退しないための対策も考えておきましょう。
転職エージェントが無料で転職サポートを実施できる理由
転職エージェントが無料で転職サポートを実施できる理由は、企業から紹介手数料を受け取っているからです。
転職エージェントは求職者と企業をつなぐ仲介業者であるため、求職者を紹介して入社させた時点で成功報酬が発生します。
そのため、求職者側からは費用を受け取らなくても、会社を経営できるのです。1人あたりの紹介料は、想定年収のおよそ20〜35%です。ですので、高年収求人の方が、高い売上を獲得できます。
企業が転職エージェントを使う理由とは
企業が転職エージェントを使う理由も知っておきましょう。
採用コストの削減
企業が転職エージェントを利用する理由は、採用コストを削減できるからです。
リクナビやマイナビといった求人メディアは掲載に対して費用が発生します。つまり応募が0件の場合でも費用が発生するため、企業側にとっては大きなリスクがある採用手法です。
逆に転職エージェントは基本的に成功報酬であるため、採用しない限り無料で利用できます。必要最低限のコストでほしい人材を採用できるため、コストパフォーマンスに優れています。
また、採用担当の代わりに求職者へアプローチや選考スケジュールの調整、応募者の合否通知をしてくれるため、企業側の負担も大きく軽減されます。
企業側は転職エージェントを利用することで、最低限のコストで効率的に採用活動を進められるのです。
自社に合った求職者を紹介してくれる
企業が転職エージェントを利用する理由に、自社に合った求職者を紹介してくれる点があります。
転職エージェントは求職者の希望条件やスキル、キャリアプランを詳細に把握しているため、企業の求める人材像と合致する求職者をピックアップできるからです。
そのため、転職エージェントから紹介された求職者は、入社後のミスマッチを未然に防げるなどのメリットがあります。
また、入社後も仕事についての悩みを転職エージェントに相談できる環境を整えられるため、転職エージェント経由で新人社員の悩みを聞けるメリットもあります。
転職エージェントを利用する際の注意点
最後に、転職エージェントを利用する際の注意点を3つ紹介します。
初回の面談でアドバイザーとの相性を確認する
転職エージェントを利用する際は、初回の面談でアドバイザーとの相性を確認しておきましょう。
というのも、アドバイザーとの相性が悪いと思うように転職活動が進まず、ストレスを抱えてしまう可能性があるからです。
例えば、面談中に希望しているキャリアや職種、働き方などを否定されたり、上から目線でアドバイスしてきたりする場合は、相性が合わない可能性があります。
なお、人によって相性が合わないと感じる要因は異なります。このアドバイザーなら転職活動を任せられる、と感じられるかを初回の面談で確認しておきましょう。
1つのエージェントに絞らない
転職エージェントを利用する際は、複数の転職エージェントを利用することが大切です。
複数の転職エージェントを並行して利用すると、求人情報の幅が広がり、より自分に合った求人を探せます。
また、1つの転職エージェントに絞ってしまうと、1人の担当アドバイザーに依存してしまうため、アドバイザー次第では転職に失敗してしまう可能性があります。
そのため、転職エージェントを利用する際は複数の転職エージェントを並行し、求人の幅を広げたり、自分に合ったアドバイザーを見つけたりすることが大切です。
外せない希望条件に妥協しない
転職エージェントでは、希望条件とはまったく異なる求人を紹介される可能性があります。
そして、希望条件とは異なる求人でも、担当アドバイザーの言われるがままに、入社したくもない企業の面接を受けることになる可能性もあります。そうならないためにも、外せない希望条件がある場合は、妥協しないことが大切です。
希望条件に妥協して入社した会社は早期退職になる可能性が高く、転職活動を再開しなければならなくなります。転職エージェントはあくまでもサポートする存在です。最終的な決定は自分自身で行う必要があります。
登録している転職エージェントで希望条件に合った求人が見つからない場合は、他の転職エージェントを利用するなどして、自分自身で探し続けることも大切です。
まとめ
今回は、転職エージェントの元アドバイザーが転職エージェントの闇・裏事情について紹介しました。
担当アドバイザーには毎月の営業ノルマが課せられており、営業ノルマを優先して転職サポートを実施することも珍しくありません。
そのため、転職エージェントを使用する際は、担当になるアドバイザーをしっかりと見極めて、求職者に寄り添った転職サポートを実施してくれるかを確かめましょう。
参考:すべらない転職「現役の転職エージェントが裏事情を大暴露!成功報酬の実態とは?」