同僚や上司が立て続けに辞めていくと「この会社、本当に大丈夫なのかな」「自分も早めに転職したほうがいいのでは」と不安になるものです。
一人辞めただけなら珍しくありませんが、短期間に何人もの社員が退職すると、職場の雰囲気や仕事量にも変化が出てきます。特に、優秀な社員や管理職まで次々と辞めている場合は注意が必要です。
ただし、退職ラッシュが起きているからといって、必ずしも今すぐ会社を辞める必要があるわけではありません。重要なのは、なぜ退職者が増えているのか、会社がその状況にどう対応しているのかを見極めることです。
この記事では、キャリアアドバイザーの立場から退職ラッシュや連鎖退職が起きる原因、危険な会社を見分けるサイン、会社に残ってもいいケース、転職を考えたほうがいいタイミングまで解説します。
退職ラッシュとは?連鎖退職が起きる状態
退職ラッシュとは、短期間に複数の社員が相次いで退職する状態を指す言葉です。法律上の定義がある言葉ではなく、「何人辞めれば退職ラッシュ」という明確な基準もありません。
しかし、同じ部署から何人も辞めたり、一人の退職をきっかけに周囲の社員まで辞め始めたりすると、残された社員にも少なからず影響が出てきます。
短期間に退職者が相次ぐ「連鎖退職」
退職ラッシュでは、一人の退職をきっかけとして別の社員も辞める「連鎖退職(退職ドミノ)」が起きることがあります。
たとえば、仕事のできる社員が退職した結果、その人が担当していた業務を残った社員で分担することになったとします。
一時的な対応であれば問題ありませんが、人員補充がされないまま仕事だけが増えれば、残された社員の負担は大きくなります。
その結果、別の社員も「この働き方を続けるのは難しい」と考えて退職し、さらに人手不足が進むという悪循環に陥ることがあります。
退職→人手不足→業務負担の増加→さらなる退職という流れができてしまうと、退職ラッシュは簡単には止まりません。
何人辞めたら「退職ラッシュ」なのか
退職ラッシュかどうかは、単純な退職人数ではなく、会社や部署の規模とのバランスで考える必要があります。
従業員1,000人の会社で数人が退職するのと、10人しかいない部署から3人が相次いで退職するのとでは、残った社員への影響がまったく違います。
特に注意したいのは、同じ部署やチームから短期間に退職者が続いているケースです。
「最近また誰か辞めた」「半年ほどで部署のメンバーが何人も入れ替わった」と感じるのであれば、人数だけでなく退職が続いている背景を確認したほうがよいでしょう。
退職者が続いても必ずしも危険とは限らない
複数の退職者が出たからといって、それだけで「危険な会社」と判断するのは早計です。
転職、結婚、引っ越し、独立、定年など、退職理由は人によって異なります。たまたま退職時期が重なることもあります。
また、組織再編や事業方針の変更などによって、一時的に人の入れ替わりが増える会社もあります。
見るべきなのは退職者の人数だけではありません。退職理由に共通点があるのか、残った社員に負担が集中していないか、会社が人員補充や職場改善に動いているかまで確認することが大切です。
退職ラッシュが起きる会社の7つの原因
社員が辞める理由は一つとは限りません。給与、人間関係、仕事量、評価制度、会社の将来性など、いくつもの不満が積み重なった結果として退職に至るケースもあります。
ここでは、退職ラッシュや連鎖退職につながりやすい代表的な原因を紹介します。
給与や待遇に不満がある
仕事内容や責任に対して給与が低い会社では、不満を抱えた社員が転職を選びやすくなります。
多少の不満があっても、以前は「どこの会社も同じだろう」と考えて働き続けていた人が、同僚の転職をきっかけに求人情報を見ることがあります。
そこで自分より給与条件の良い求人を見つければ、「自分も転職できるのでは」と考えるのは自然です。
特に、業務量や責任だけが増えているのに昇給がほとんどない会社では、社員が会社に残る理由を失いやすくなります。
長時間労働や人手不足が続いている
慢性的な人手不足を放置している会社では、一人が辞めたことをきっかけに退職ラッシュへ発展することがあります。
人手が足りない会社では、一人あたりの仕事量が増えます。残業や休日出勤が増えれば、心身の負担も無視できません。
さらに一人退職すれば、その仕事を残った社員が引き継ぐことになります。会社が採用活動や業務改善に動かなければ「誰かが辞めるたびに自分の仕事が増える」という状態になり、残された社員も転職を考え始めます。
上司や経営陣に問題がある
直属の上司や経営陣への不信感は、複数の社員が同時期に会社を離れる大きな要因になります。
高圧的なマネジメント、現場を無視した指示、社員によって態度を変える上司などがいれば、不満は少しずつ蓄積します。
特に問題なのは、会社側がその状況を把握しているにもかかわらず改善しないケースです。
「何を言っても変わらない」と社員が感じ始めると、会社に改善を求めるより、自分が転職したほうが早いと考える人が増えていきます。
また、社長や経営陣の場当たり的な方針変更、現場への責任転嫁、一貫性のない経営判断が繰り返される会社も注意が必要です。昨日決まった方針が今日には覆るような「朝令暮改」が続けば、社員は経営陣を信用できなくなります。こうした経営への不信感が組織全体に広がると、一人の退職をきっかけに連鎖退職へ発展することがあります。
会社の将来性に不安がある
業績悪化や事業縮小などで会社の将来性に不安が広がると、転職できる社員から先に動き始めることがあります。
売上が落ちている、賞与が減った、新規投資が止まった、取引先が減ったなど、社内で働いているからこそ感じる変化もあります。
会社の先行きが不透明になると、「状況がさらに悪くなる前に転職したほうがいい」と考える社員が出てきます。
一人、二人と退職者が出ることで周囲の不安も強まり、それが退職ラッシュにつながることもあります。
人事評価や昇進に不公平感がある
頑張っても評価されない会社では、仕事のできる社員ほど見切りをつけることがあります。
成果を出しても給与が変わらない、評価基準がわからない、上司に気に入られた人だけ昇進する。このような状態が続けば、社員のモチベーションは下がります。
特に市場価値の高い社員は、現在の会社だけにこだわる必要がありません。より正当に評価してもらえる会社が見つかれば、転職を選ぶ可能性も高くなります。
優秀な社員の退職がきっかけになった
職場で信頼されていた優秀な社員の退職は、周囲が自分のキャリアを考え直すきっかけになります。
「あの人まで辞めるなら何かあるのでは」「あの人でも会社に残らなかったのか」と不安になる人は少なくありません。
また、優秀な社員は転職市場の情報にも詳しく、より条件の良い会社へ転職していくことがあります。
身近な同僚が転職によって給与や働き方を改善した姿を見ることで、「自分も転職活動をしてみよう」と考える社員が増えることもあります。
退職者の穴埋めで残った社員の負担が増えている
退職ラッシュが止まらなくなる最大の原因の一つが、辞めた社員の仕事を残った社員だけで穴埋めすることです。
「採用できるまで少しだけお願いしたい」と言われた仕事が、いつの間にか自分の担当業務になっていたというケースは珍しくありません。
会社が人員補充をせず、既存社員の頑張りだけで乗り切ろうとすると、不満はさらに大きくなります。
退職者が増えるほど残った社員が苦しくなり、その社員も辞める。この状態に入ると連鎖退職が加速していきます。
退職ラッシュが起きると会社はどうなる?
退職者が増えても、すぐに会社が倒産するわけではありません。しかし、人員補充や業務改善が追いつかなければ、残された社員や事業に少しずつ影響が出てきます。
残った社員の仕事量が増える
退職者の補充が間に合わなければ、最初に影響を受けるのは会社に残った社員です。
担当業務が増えるだけでなく、退職者からの引き継ぎ、新しく採用した社員への教育なども必要になります。
自分の仕事だけでも忙しいのに追加業務まで任されれば、残業が増えたり、有給休暇を取りづらくなったりすることもあるでしょう。退職ラッシュが起きた際は、会社がどのように仕事を再配分しているかを確認する必要があります。
職場の雰囲気やモチベーションが悪化する
退職者が続く職場では、「次は誰が辞めるのか」という空気が広がり、社員のモチベーションが低下しやすくなります。
親しかった同僚が辞めれば寂しさもありますし、退職理由を聞いて自分の会社への不満に気づくこともあります。
仕事より転職の話題が増えたり、社内で会社への不満ばかり聞こえるようになったりしたら、職場環境が悪化しているサインの一つです。
優秀な社員から辞めていく
転職先の選択肢が多い社員ほど、会社に問題を感じたときに早く行動できる傾向があります。
高い専門性を持っている人や実績のある人は、ほかの企業からも評価されやすいため、現在の会社に無理して残る必要がありません。その結果、仕事のできる社員が先に辞め、残った社員への負担がさらに増えることがあります。
自分が尊敬していた上司や「この人は会社にずっといるだろう」と思っていた社員まで次々辞め始めた場合は、その理由を冷静に確認しておきたいところです。
採用しても人が定着しなくなる
退職の原因が解消されていない会社では、新しく社員を採用しても同じ理由で辞めてしまう可能性があります。
採用人数だけ増やしても、長時間労働や人間関係、評価制度などに問題が残っていれば根本的な解決にはなりません。
「人を採用しているのに、いつも求人を出している」という状態が続いているなら、採用だけではなく定着にも問題を抱えている可能性があります。
事業縮小や業績悪化につながることもある
退職ラッシュによって重要な人材やノウハウが失われれば、事業にも影響が及ぶ可能性があります。
営業担当者が辞めて売上が落ちる、エンジニアが辞めて開発が遅れる、管理職が辞めて組織が回らなくなるなど、退職の影響は職種によってさまざまです。
もちろん、退職ラッシュだけを理由に会社がすぐ倒産するとは限りません。むしろ注意したいのは、退職者が増えているにもかかわらず、会社が何も対策していない状態です。
退職ラッシュが起きている会社は危険?見極めたい7つのサイン
退職者が続いているときに確認したいのは「何人辞めたか」だけではありません。
会社が退職ラッシュにどう向き合っているかを見ることで、自分も転職を考えるべき状況なのか判断しやすくなります。
退職者の補充がされない
人が辞めても採用せず、残った社員だけで仕事を回そうとしている会社は注意が必要です。
欠員が一時的であれば対応できても、それが数か月、半年と続けば社員の負担は増えていきます。採用活動をしているのか、業務量を減らしているのかなど、会社が具体的な対応をしているか確認しましょう。
管理職やエース社員まで辞めている
一般社員だけでなく、管理職や会社の中心人物まで辞め始めている場合は、状況を慎重に見る必要があります。
会社の経営状況や将来の方針を知る立場の人が立て続けに辞めている場合、表面上は見えていない問題がある可能性もあります。
もちろん個人的な事情で退職するケースもあるため断定はできませんが「なぜ今このタイミングで辞める人が多いのか」は確認しておいたほうがよいでしょう。
退職理由について会社から説明がない
社員が次々辞めているのに会社から何の説明もなく、現場だけが混乱している状態は健全とはいえません。
個人の退職理由を詳細に公表する必要はありませんが、人員体制や今後の業務分担については社員への説明が必要です。会社から何も説明されず、噂だけが広がっている職場では、不安や不信感も大きくなります。
退職者への悪口や批判が増えている
辞めた社員を責める文化がある会社では、退職の本当の原因が改善されない可能性があります。
「根性がない」「最近の若手はすぐ辞める」「あの人は会社への恩義がない」など、退職者を批判するだけでは問題は解決しません。
もちろん退職理由は人それぞれですが、複数人が辞めているのであれば、会社側にも改善できる部分がないか考える必要があります。それをせず、すべて退職者側の問題として片付けている会社は注意が必要です。
残った社員への業務の押し付けが始まっている
退職者が出るたびに自分の仕事が増えているなら、退職ラッシュがすでにあなたへ影響している状態です。
多少の引き継ぎや協力は仕方ありません。しかし、給与や役職は変わらないのに担当業務だけが増え続けているのであれば話は別です。
特に「今だけだから」と言われながら何か月も改善されていない場合は、今後も同じ状況が続く可能性があります。
求人を出しても採用できていない
退職者が増えている一方で新しい社員を採用できていない場合、人手不足が長期化する可能性があります。
会社が求人を出していたとしても、応募が来ない、採用してもすぐ辞めるという状態では、残った社員の負担はなかなか軽くなりません。
いつまで欠員状態が続くのか、自分の仕事量が元に戻る見込みがあるのかを考えてみましょう。
経営陣が退職ラッシュを問題視していない
退職者の人数以上に危険なのが、経営陣が退職ラッシュを問題だと認識していない会社です。
社員が何人辞めても「代わりはいくらでもいる」「辞めたい人は辞めればいい」という姿勢では、職場環境が改善される可能性は高くありません。
退職者が出ること自体はどの会社にもあります。大切なのは、退職が続いたときに原因を調べ、人員配置や待遇、働き方など必要な改善をしているかどうかです。
退職ラッシュでも会社に残っていいケース
周囲が次々と辞めていると、「自分も早く転職しなければ」と焦ってしまうかもしれません。
しかし、周囲の退職と自分のキャリアは分けて考える必要があります。次のような状況なら、必ずしも急いで転職する必要はありません。
退職理由が結婚や転居など偶然重なっている
退職理由が会社への不満ではなく、個人的な事情によるものなら、退職者が続いていても過度に心配する必要はありません。
結婚、家族の転勤、介護、独立など、会社とは関係のない理由で退職する人もいます。たまたま時期が重なっているだけなのか、複数の社員が同じ不満を抱えて辞めているのかを分けて考えましょう。
会社が原因を把握して改善に動いている
退職ラッシュが起きても、会社が原因を認識して改善に動いているなら、少し様子を見る選択肢もあります。
採用を強化する、給与体系を見直す、管理職を変更する、業務量を減らすなど、具体的な対策が進んでいるのであれば職場環境が改善する可能性があります。
大切なのは、会社が「改善します」と言っているかではなく、実際に何を変えたかを見ることです。
人員補充や業務分担が適切におこなわれている
退職者が出ても速やかに人員補充され、残った社員へ過度な負担がかかっていないなら深刻な問題ではないこともあります。
社員が辞めること自体をゼロにすることはできません。問題なのは、欠員が出たときに会社がどう対応するかです。
採用や異動によって人員を確保し、無理のない形で業務を引き継げている会社なら、退職ラッシュだけを理由に慌てて転職する必要はありません。
自分自身の待遇やキャリアに問題がない
周囲が辞めていても、自分が仕事内容や待遇に納得しているのであれば、必ずしも同じタイミングで辞める必要はありません。
仕事にやりがいがある、給与にも満足している、身につけたい経験が得られているなど、会社に残るメリットがあるなら自分の判断を優先しましょう。
「みんな辞めているから」という理由だけで転職すると、新しい会社に入ってから後悔する可能性もあります。
新しい仕事を任されてスキルアップできる
退職者が出たことで、これまで経験できなかった仕事や役割を任されるのであれば、会社に残るメリットがあります。
たとえば、先輩社員が担当していた重要な案件を引き継いだり、リーダーやマネジメント業務を任されたりすることで、短期間で経験の幅を広げられることがあります。
新しい仕事に挑戦することでスキルが身につき、昇進や昇給だけでなく、将来的な転職でも評価される経験になる可能性があります。
ただし、単に退職者の仕事をそのまま押し付けられているだけなら話は別です。新しい経験や裁量が得られるのか、それとも仕事量だけが増えているのかは分けて考えましょう。
退職ラッシュをきっかけに転職を考えるべきタイミング
退職ラッシュが起きているだけなら、急いで退職届を出す必要はありません。
一方で、会社の問題が自分の働き方や将来に影響し始めているなら、転職を選択肢に入れておいたほうがよいでしょう。
自分の業務負担が明らかに増えている
退職者の穴埋めによって残業や担当業務が明らかに増えているなら、転職を考え始めてもよいタイミングです。
一時的な負担であれば問題ありませんが、改善する見込みがない状態で無理を続ける必要はありません。
人員補充の予定があるのか、業務を減らす予定があるのかを会社に確認し、それでも状況が変わらないのであれば外の選択肢も見てみましょう。
尊敬していた上司や優秀な社員が次々辞めている
自分が信頼していた上司や優秀な同僚まで相次いで辞めているなら、一度は自分のキャリアを見直しておくことをおすすめします。
もちろん、優秀な社員が辞めたから自分も辞めるべきという意味ではありません。
ただし、自分がその会社で成長するうえで重要だった人がいなくなれば、今後得られる経験やキャリアにも影響する可能性があります。「この会社にあと3年いて、自分はどうなれるのか」を改めて考えてみましょう。
会社の業績や将来性に不安がある
退職ラッシュに加えて業績悪化や事業縮小まで起きているなら、転職先を探し始めておくのも一つのリスク管理です。
業績が悪いからといって、すぐ倒産するわけではありません。しかし、賞与削減、昇給停止、人員削減、事業撤退などが続いている場合、自分の給与やキャリアにも影響する可能性があります。
状況が悪くなってから慌てて転職活動を始めるより、在職中の余裕がある段階で求人を確認しておくほうが落ち着いて判断できます。
待遇や職場環境が改善される見込みがない
何度も会社へ相談しているのに給与や働き方、人間関係などが改善されない場合、環境そのものを変えることも検討しましょう。
会社に改善を求めることは大切ですが、自分一人の力で会社全体を変えるのは難しいものです。「もう少し待てば変わるかもしれない」と何年も我慢するより、同じ経験を活かせる会社がないか探してみるのも選択肢です。
会社に残るメリットよりリスクが大きくなった
会社に残る理由より、「このまま働き続けて大丈夫だろうか」という不安のほうが大きくなったら、転職活動を始めるタイミングです。
転職するかどうかを、その場で決める必要はありません。まずは今の会社に残るメリットとデメリットを書き出し、ほかの会社へ転職した場合と比較してみましょう。
今の会社しか知らない状態では、本当に待遇が悪いのか、今の経験が転職市場でどれくらい評価されるのか判断しづらいものです。
退職を決める前に転職サイトで求人を見る、転職エージェントへ相談するといった行動だけでも、判断材料を増やすことができます。
退職ラッシュが始まったら転職活動だけでも始めておくべき理由
退職ラッシュが起きて不安を感じているなら「今すぐ会社を辞めるか」「このまま残るか」の二択で考える必要はありません。
会社に在籍したまま転職活動を始め、条件の良い会社が見つからなければ転職しないという選択もできます。
会社がさらに悪化してからでは転職活動が難しくなる
仕事量が増えすぎる前に転職活動を始めておけば、時間にも気持ちにも余裕を持って転職先を探せます。
退職者がさらに増えて毎日残業する状態になれば、求人を探したり面接を受けたりする時間を確保するのも難しくなります。
「まだ転職するほどではない」と思える時期だからこそ、情報収集だけ始めておくメリットがあります。
在職中なら焦らず転職先を比較できる
現在の会社から給与をもらいながら転職活動をすれば、条件に合わない会社へ無理に転職する必要がありません。
退職してから転職活動をすると、離職期間が長くなるにつれて「早く次を決めたい」と焦る人もいます。
在職中なら、今の会社と転職先候補を比較しながらじっくり判断できます。結果として「今の会社に残ったほうがいい」と判断することも、立派な選択です。
自分の市場価値を確認できる
転職活動を始めれば、自分の経験やスキルがほかの会社でどれくらい評価されるのか確認できます。
今の給与が適正なのか、同じ経験でどのような求人に応募できるのかは、社内にいるだけではわかりづらいものです。
転職サイトで同じ職種の求人を見たり、転職エージェントに相談したりすると、自分の現在地を客観的に把握しやすくなります。
今の会社に残る選択肢も持てる
転職活動を始めたからといって、必ず転職しなければならないわけではありません。
実際に求人を比較した結果、「今の会社は思っていたより条件が悪くない」と気づくこともあります。
一方で、より給与が高い会社や働きやすい会社が見つかれば、転職を具体的に検討できます。大切なのは、会社に残る以外の選択肢を持っておくことです。
退職ラッシュで不安なら利用したい転職サービス
退職ラッシュが起きているものの、まだ転職するか決めきれていない人は、目的に合わせて転職サービスを使い分けるのがおすすめです。
いきなり退職する必要はありません。まずは求人情報や自分の市場価値を確認するところから始めてみましょう。
まず求人を見てみたい人は転職サイト
「まだ転職するかわからないけれど、ほかにどんな会社があるのか知りたい」という人には転職サイトが向いています。
転職サイトなら自分のペースで求人を検索できるため、今の会社と他社の給与、休日、仕事内容などを比較できます。
特に退職ラッシュが始まったばかりで状況を見極めたい人は、まず求人を見るだけでも十分です。
自分と同じ職種・経験年数の求人をいくつか確認しておけば、「もし今の会社を辞めても転職先はありそうか」という判断材料になります。
自分の市場価値を知りたい人は転職エージェント
自分がどのような会社へ転職できるのかわからない人は、転職エージェントへ相談すると選択肢を整理しやすくなります。
転職エージェントでは、これまでの経験や希望条件をもとに求人を紹介してもらえます。
「今すぐ転職するべきなのか」「今の経験で年収アップを狙えるのか」など、自分一人では判断しづらいことを考える材料にもなります。
ただし、紹介された求人へ必ず応募する必要はありません。自分の条件に合わなければ、今の会社に残る選択もできます。
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30代以降の転職では、これまでの経験や専門性を活かせる求人を中心に探すことが重要です。
管理職経験、営業実績、専門職としてのスキルなどがある人は、現在より良い条件を提示してくれる会社が見つかる可能性もあります。
退職ラッシュをきっかけに転職を考えるのであれば、「今の会社から逃げる」だけではなく、次の会社で何を実現したいのかまで考えて求人を比較しましょう。
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実際に起きた退職ラッシュ・大量退職の事例
退職ラッシュは、中小企業や職場環境の悪い会社だけで起きるものではありません。世界的に知られる企業でも、経営方針や経営陣への不信感をきっかけに、多くの社員が一斉に退職を考える事態が起きています。
ここでは、退職ラッシュや大量退職が大きく報じられた事例を紹介します。
OpenAI|CEO解任をきっかけに700人超が退職を示唆
ChatGPTを開発するOpenAIでは2023年、経営陣をめぐる混乱から、従業員の大半が退職する可能性のある事態に発展しました。
きっかけとなったのは、取締役会によるCEOサム・アルトマン氏の突然の解任です。
この決定に従業員が強く反発し、700人を超える従業員が取締役会の退陣などを求め、要求が受け入れられなければ会社を離れる意向を示したと報じられました。
最終的にアルトマン氏はCEOへ復帰したため、大半の社員が実際に退職する事態には至りませんでした。
この事例からも、給与や仕事内容だけでなく、経営陣への不信感や経営方針をめぐる混乱が、大規模な退職につながる可能性があることがわかります。
旧Twitter(現X)|経営方針の変更後に多数の社員が退職
旧Twitterでは2022年、イーロン・マスク氏による買収後の大規模な組織改革のなかで、多数の社員が会社を離れる事態となりました。
買収後には大規模な人員削減がおこなわれ、その後、残った社員に対しても長時間かつ高強度で働く新しい方針への同意が求められました。
こうした急激な経営方針や働き方の変化を受け、多くの社員が退職を選んだと報じられています。
会社が大きく方針転換するとき、社員がその方針に納得できなければ、短期間に人材流出が進むことがあります。
退職ラッシュは「待遇が悪いから」だけで起きるものではなく、経営者への不信感や会社の方向性に共感できなくなったことをきっかけに起きることもあります。
クレセントホーム|幹部社員が相次いで退職し事業運営に影響
佐賀県で建売住宅の販売などを手がけていたクレセントホームでは、幹部社員の相次ぐ退職が事業に大きな影響を与えました。
帝国データバンクによると、新代表の就任以降に幹部社員が相次いで退職。その結果、営業力や施工力が低下したことが経営の痛手となり、2025年5月に破産しました。
特に中小企業やベンチャー企業では、営業や技術、マネジメントを一部の社員に依存していることがあります。そのため、中心人物が数人辞めただけでも会社全体の売上や事業運営に影響する可能性があります。
「一人辞めても会社は回る」とは限らないことがわかる事例です。
円谷プロダクション|短期間に多数の退職者が出たと報道
「ウルトラマン」シリーズで知られる円谷プロダクションでは、2026年に多数の社員が退職したと報じられました。
週刊文春は、2026年に入ってから少なくとも39名の正社員が退職し、さらに13名がグループ会社へ出向または転籍する予定だと報道しています。当時の社員数は約210名とされており、退職や出向・転籍を合わせると大きな割合になります。
報道では、残った社員への業務集中なども指摘されています。一方、会社側は報道内容について声明を発表しているため、退職の背景や原因については一方の主張だけで断定しないよう注意が必要です。
それでも、短期間に多くの社員が組織を離れると、残された社員の業務負担や会社運営にも影響が及ぶ可能性があることを考えるうえで参考になる事例です。
退職ラッシュについてよくある質問
退職者が何人出たら会社は危険ですか?
「何人辞めたら危険」という明確な基準はなく、会社や部署の規模、退職理由によって判断が変わります。
大企業で数人辞める場合と、10人の部署から3人辞める場合では影響が異なります。人数だけでなく、退職が同じ部署に集中しているか、退職理由に共通点があるか、人員補充がされているかなどを確認しましょう。
優秀な人から辞める会社は危険ですか?
優秀な社員が一人辞めただけで危険とはいえませんが、中心人物が次々と辞めている場合は注意したほうがよいでしょう。
仕事のできる社員は転職先の選択肢も多いため、より良い環境を求めて転職することがあります。複数の優秀な社員が短期間に辞めているなら、会社の待遇や将来性などに共通の問題がないか確認してみましょう。
退職ラッシュが起きると会社は倒産しますか?
退職ラッシュが起きたからといって、必ず会社が倒産するわけではありません。ただし、少人数のベンチャー企業では注意が必要です。
退職者を補充し、業務体制を整えることで立て直す会社もあります。一方で、売上を支えていた営業担当者や重要な技術を持つエンジニア、事業責任者などの退職が続けば、事業そのものに影響する可能性があります。
特に少人数のベンチャー企業は、一人が複数の業務を兼任していたり、特定の社員に顧客やノウハウが集中していたりすることも珍しくありません。そのため、数人の退職でも売上の減少や事業の停滞につながり、会社の経営が一気に厳しくなるケースがあります。
退職者の人数だけを見るのではなく「誰が辞めているのか」「その仕事を引き継げる人がいるのか」「新しい人材を採用できているのか」に加えて、会社の業績や資金面、経営陣の対応も総合的に見て判断しましょう。
同僚が次々辞めたら自分も転職すべきですか?
同僚が辞めたという理由だけで転職する必要はありませんが、自分の働き方にも悪影響が出ているなら転職を検討してよいでしょう。
周囲の転職と自分のキャリアは分けて考える必要があります。仕事内容、給与、仕事量、将来性などを整理し、今後もその会社で働きたいと思えるかを考えてみてください。
判断に迷うなら、実際に会社を辞める前に求人情報だけ確認しておく方法もあります。
退職ラッシュの中で会社に残るメリットはありますか?
会社が立て直しに成功すれば、新しい役割やポジションを任される可能性があるため、残ることにもメリットはあります。
人員の入れ替わりによって昇進の機会が増えたり、これまで経験できなかった仕事を担当できたりすることもあります。ただし、それに見合った評価や待遇が得られるのかは確認が必要です。
単に辞めた社員の仕事だけ増えているのであれば「経験を積める」と前向きに考えるだけでなく、自分にとって本当にメリットがあるのか冷静に判断しましょう。
まとめ|退職ラッシュが始まったら会社の変化を冷静に見極める
退職ラッシュが起きているからといって、慌てて会社を辞める必要はありません。会社が人員補充や職場環境の改善に動いているのであれば、状況が落ち着く可能性もあります。
一方で、優秀な社員や管理職まで次々辞めている、業績不振、社長自身が原因、経営陣が問題を放置しているといった状態なら注意が必要です。
退職ラッシュに不安を感じた段階で求人を確認し、自分にはどのような選択肢があるのか知っておくことが大切です。
転職サイトを見る、転職エージェントに相談するといった行動をしたからといって、必ず会社を辞める必要はありません。
他社と比較したうえで今の会社に残るのか、それとも環境を変えるのか。選択肢を持った状態で、自分にとって納得できる判断をしましょう。
参考:連鎖退職の前兆とは?中小企業が見逃してはいけない5つのサインと今すぐできる対策

























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