社会人なら「会社を辞めたい」と感じる瞬間は誰にでも訪れるものです。思いは一時的であることも多いですが、やがて強い退職願望へと変わることも少なくありません。しかし、実際に会社を辞めるのは簡単なことではなく、多くの人が様々な理由で退職を躊躇します。
本記事では、「会社を辞めたい」と感じる主な理由や、辞められない原因、そして退職前に確認すべき重要なポイントについて詳しく解説します。
目次
会社を辞めたいと思う理由
希望して入社した会社や部署で働いていても、「辞めたい」と感じた経験はないでしょうか。その理由の多くは「不満」にあります。
様々な不満を持つと「会社を辞めたい」という感情に繋がります。どういった不満をもつと会社を辞めたいと感じてしまうのか原因となる不満について紹介します。
理由①仕事内容の不満
会社を辞めたいと考える理由の一つが「仕事内容に対する不満」です。
毎日流れ作業ばかりを繰り返している、希望した部署に配属されず、思っていた仕事内容と異なる仕事ばかり担当させられている、毎日怒られる、厳しいノルマに追われる等の状況が毎日続けば不満が募ります。
これは希望した職種に就いたとしても、入社前のイメージとの乖離が大きいと不満となることがあり得ます。
理由②人間関係の不満
会社で働くには、上司や部下、同僚との人間関係を構築する必要が出てきます。人間関係が良好であれば気持ちよく仕事ができますが、逆に人間関係が悪い職場では意思疎通がうまくいかなくなり、オフィスで過ごす時間が苦痛となることもあるでしょう。
会社は1日の多くの時間を過ごす場所であるため、その場所での雰囲気や人間関係が悪いと、不満を感じやすくなります。
理由③給料が低い不満
収入やそれに伴う評価制度、待遇への不満も、会社を辞めたいと感じさせる要因の一つです。成果に見合った収入があれば、仕事をやる気にさせてくれるでしょう。
しかし、どんなに働いても昇給も昇進もなく、評価されないとやる気も失せてしまいます。一生懸命仕事に取り組んで目に見える成果を出しても、それが収入に反映されなければ、誰でも仕事へのモチベーションを失ってしまうでしょう。
また、ボーナスや残業手当が支給されない、通勤手当が少ないなどの待遇面の不満も、会社を辞めたい理由となりやすいものです。
理由④労働環境の不満
人間関係以外の労働環境への不満も、仕事を辞めたいと感じる原因として多く見られます。例えば、残業手当が出ないのに毎日サービス残業が続く、周囲が残業をしているので定時で退社できない、ノルマが厳しく達成できないなどが、労働環境の不満として挙げられる例です。
社風が合わないことも、会社を辞めたい理由の一つになり得ます。社風は入社して働いてみなければわからないことが多く、自分一人で変えることが困難です。一度社風に疑問や不満を持つと、この会社にいてもいいのかと疑問に感じ、その結果「辞めたい」という気持ちが強くなりかねません。
会社を辞めたいけどすぐには辞められない理由
会社を辞めたい、と思っても、すぐに行動に移せる方はそう多くはないでしょう。会社は思い立ってすぐに辞められるものではなく、実際に退職するまでには一定期間がかかるため、本当に辞める場合はできるだけ早い段階で準備をするべきです。
しかし、辞めたいと考えていても実際に行動に移すことは躊躇してしまうこともあります。すぐに辞められない理由として、以下の3つの理由が挙げられます。
「退職」のネガティブなイメージが付くから
退職することに対して、ネガティブなイメージを持っている方は多いのではないでしょうか。
退職をすると、次の転職活動で作成する履歴書にも退職したことを明記しなければなりません。退職が悪いこと、というイメージから、転職活動に悪影響を及ぼすのでは、と考えてしまうと、すぐに仕事を辞める行動に出られなくなってしまいます。
一人ひとりの事情で辞める人も多いため、退職そのものには必ずネガティブなイメージがあるとはいえません。しかし、理由を問わず会社を退職することが悪いこと、と考えていると、辞めたくても辞められない状況に陥る可能性があります。
将来や転職先への不安
退職前、または退職後に転職活動をして、次の仕事を探す必要が出てきます。しかし、そう簡単には転職先が見つかるとも限らず、もしこの会社を辞めたとしても次の仕事がすぐ見つかるだろうか不安を抱えたままだと、すぐに辞める決断がしにくくなるでしょう。
転職先への不安とともに、転職先で将来のキャリアを築けるか、退職が足かせにならないだろうかという不安も、辞めたいときに辞められなくなる理由となるでしょう。
退職した後の生活への不安
上記の転職と共通するのが、経済面に関する不安です。当然ながら、退職をすると収入は途絶えます。在職中にある程度の貯金をして、退職後に雇用保険の基本手当を受給できたとしても、転職先が決まるまではそれらを切り崩して生活しなければなりません。
転職先が決まらなければ収入もなく、いずれは貯金がなくなり、生活が苦しくなってしまうでしょう。このような生活への不安も、会社を辞める決断を躊躇させる一因です。
本当に辞めて大丈夫?後悔しない決断ポイント
会社を辞めたいと思っても、サクサクと迷うことなく退職の手続きをできる人は意外に少なく、多くの場合は本当に辞めて大丈夫なのか、後悔しないかと様々な思いを抱えてしまうでしょう。このときの決断が、後々後悔の元になることもあり得るからです。
将来的に後悔しないためには、今現在の自分の立ち位置を見直して考え直すことが大事です。そのためには、以下の方法を実践してみましょう。
冷静になって考え直してみる
「会社を辞めたい」と突発的に考えることはあるでしょうが、本当に辞めてもいいのか、一度冷静になって考え直してみることは必要です。一時的な考えだけで勢いのまま辞めてしまうと、後で後悔することが多いからです。
また、会社を辞めたいのは冷静さを失っていることが原因の可能性も考えられます。正常な判断ができない状態では「辞めたい」気持ちが高まり、誤った判断をしがちなので、行動に移す前に冷静になってから深く考え直してみましょう。
辞めたい理由をリストアップする
なぜ会社を辞めたいのか、その理由は人それぞれ異なります。特に理由もなく、ただ「辞めたい」気持ちだけで退職することは後悔の元です。会社を辞めたいと考えたときは、なぜ自分は辞めたいのか、その理由をリストアップして可視化しましょう。
そして、リストアップした理由を自分で変えられることと変えられないことに分けてみます。例えば、仕事が合わないと感じる場合は、部署異動の希望を出す、上司に相談するなど自分で改善の努力ができるため、「変えられること」に分類します。
自分でどうにか変えることができる内容の方が多い場合は、努力することで改善が見込めるので、辞めない方がいい可能性が高くなります。その反対に、自分ではどうすることもできない理由の方が多かった場合は、辞める決断を下した方が良い状況かもしれません。
第三者に相談してみる
会社を退職するという決断は、生活に大きく関わることです。人生にも影響を及ぼすこともある、大きな決断になることもあるでしょう。自分だけでそのような決断を下すには、上記の2つの方法を実施しても簡単ではないかもしれません。
自分自身で会社を辞めることについてじっくりと考えてみたけれど、どうしても決断を下せない場合は、第三者に相談するのも一つの方法です。第三者からの意見で、自分では気付けなかったことに気づけることがあります。自分の判断にズレがないか、きちんと筋の通った理由があるかどうかを第三者に判断してもらうことで、退職の決断に自信が持てるようになるでしょう。
周囲に相談できる人がいない場合は、プロのカウンセラーに相談するのもおすすめです。キャリア相談サービスや個人で相談を受け付けているカウンセラー、転職エージェントなどを利用すると、退職に関する相談ができるほか、プロの視点からの意見をもらえるメリットがあります。
会社を辞める際の注意点
会社を辞めたいと思っても、退職を申し出て即日退職ができるわけではありません。民法では、退職日の2週間前までに申し出ることと定められています。しかし、実際は、就業規則などでそれよりも前に退職を申し出るように定めている会社もあり、その場合は退職日の2週間以上前に申し出なければなりません。
いずれにしても、最低でも2週間前までには退職の意思を会社に伝える必要があるわけです。このように、退職を決断してから退職するまでにはある程度の時間を要します。
辞める意思を伝えるかどうか悩んでいるとき、そして会社を辞める意思を固めた後の行動について、以下に挙げるようにいくつかの注意点があります。以下のポイントを押さえておきましょう。
上司に相談することは避ける
会社を辞めたいとき、自分の決断を客観的に見てもらうためにも第三者への相談が効果的だと述べましたが、注意したいのが相談相手です。退職の相談相手として上司を選ぶことは避けるべきです。
会社を辞めたい気持ちがあるけれど決断しかねている、という状況で上司に相談してしまうと、引き止めに遭ってしまうでしょう。離職率が高い会社は特に、できるだけ従業員に辞めてほしくないと考えているはずなので、相談された上司はさらに上長へ相談しかねません。
もし会社に残る選択をしたとしても、上司は自分が辞めたがっていたことを知っているため会社に居づらくなることがあり、将来的に退職をする際に退職の意思を申し出にくくなってしまいます。
このような理由から、上司に退職の相談をするのは避けるべきです。退職の話をするのは、決断を固めた後にしましょう。
辞める前に次の転職先を決める
会社を辞めると収入源がなくなってしまうため、退職の決断をしかねている方は少なくありません。転職活動は自分の時間を割いて行う必要があるため、在職中はなかなか転職活動に時間が取れないため退職後に始めようとしても、思うように仕事が決まらず時間だけが過ぎていき貯蓄だけが減っていく、という事態も想定できます。
収入がなくなった状態で転職活動をすると、焦りから希望に合わない職種や業種に転職したり、条件が合わない会社へ転職を決めてしまったりすることがあります。そのようなことを防ぐためにも、在職中から転職活動を始めておくことをおすすめします。
仕事をしていると転職活動に使える時間は減りますが、退職後に余裕のある生活を送るためにも、できるだけ転職活動は退職前に始めておきましょう。
将来を考えてスキルアップをする
上記の転職活動につながるポイントとなりますが、在職中から仕事に活用できる資格を取得する、専門的なスキルを身につけておくと、現職の経験に加えてスキルをアピールできるので、転職活動に有利になります。
スキルアップにはある程度の時間がかかることが多いので、できるだけ早く会社を辞めたい方にはあまり向いていない方法です。しかし、退職後の転職を考慮すると、日頃からスキルアップに励んでいれば退職した後の転職先の選択肢が増えるメリットがあります。
まとめ
会社を辞めたいと思う理由、すぐに会社を辞められない理由には様々なものがあり、一度考え直してみると自分である程度解決できる理由であれば、退職するほどではないこともあり得ます。
ただし、自分ではどうにもならない理由で辞めたいと思った場合は、退職した方がいいケースもあるので、いずれにせよ会社を辞める決断は短絡的に下すのではなく、じっくりと自分の状況や職場環境などを見直してから行うべきでしょう。