求人広告の求める人物像(人材要件)の書き方

求人原稿の中に「求める人物像」という入力項目がある求人媒体や採用サイトが多くありますが、上手に活用できていない企業が非常に多いです。どのような内容だとユーザーに伝わりやすいのか、求人広告ライターの立場から注意点やサンプル例文をまとめました。

求める人物像(人材要件)とは

求める人物像とは、企業・店舗・事業部がどういった人に入社・応募してほしいか具体的なイメージを表現する項目です。アルバイト採用、新卒採用、中途採用すべてに人物設計は必要不可欠で、スキル経験ではなく、マインドやパーソナリティを記載するのが理想です。

応募者が企業風土・企業文化・労働環境を理解する項目であり、その企業が自分自身に合うのか合わないのかを知る重要な判断材料となります。応募者にとっては入社後のイメージを膨らます項目であり、自己PRや志望動機にも繋がる項目です。募集企業は上手に活用することで、入社動機を高められミスマッチの少ない採用が出来るようになります。

重要な項目だからこそ曖昧な表現は避けるべきですが、人物像の設計・要件定義は非常に難しいです。「人材要件(ペルソナ設計)の方法に悩む」「書き方がわからない」と悩んでしまう採用担当者も多いですが、人材像の言語化が最大の障壁です。

求める人物像について書かれている記事では要件定義・ペルソナ設計・要件フレームなど聞きなれない言葉が多く、少し難しいですよね。今回は難しい人材要件の作り方を知らない人や、広告キャッチコピーに悩んでいる人でも簡単に出来る『求める人物像』の作り方と書き方を伝授します。

伝わりづらい書き方

元気な方
明るい方
挨拶が出来る方
責任感がある方
コツコツ働ける方
チャレンジ精神のある方
チームワークを大切にする方
コミュニケーション能力のある方

よくある失敗として抽象的な言葉で漠然としたことを書いてしまうことです。新卒採用や中途採用でよく見かけますが、求める人物像に「コミュニケーション能力」だけ書いても就活生には伝わりません。

他にも「性格が明るい方」「挨拶が出来る方」「協調性」「チームワーク」「企画力」が言われていますが、この言葉をそのまま人物像に書くのは間違いです。この書き方では採用ターゲットが曖昧になってしまい、ミスマッチも起きやすくなります。

例えば「挨拶ができる方」と書かれても、最初から最後まで一人で作業する「挨拶が不要な仕事」は少ないと思います。これらは応募者が企業や店舗で働くイメージをしづらく、求める人物像の書き方としては少し勿体ないですよね。

同じように「明るい方」を求める人物像に書いても、面接官の主観要素が強く、応募者にとっては「なにをもって明るいとするか」が難しいですし、面接で見抜くのも難しいでしょう。

本当にあった求める人材像の失敗例

応募者の志望動機が「スキルや経験を高めて成長したい」しか言わない人が多いと嘆く経営者がいました。自分の成長よりも会社の成長を優先してくれる人材が欲しいと不満を漏らしていましたが、採用ホームぺージの求める人物像には「成長意欲が高い人」が書かれていました。

このケースでは本当に欲しい人材はアクセスしてもエントリーせず、求めていない人物だけがエントリーしてくる悲劇が起きてしまっていたのです。求める人物像の設定を間違えている会社や、軽視している会社は意外に多いです。

伝わりやすい書き方

伝わりやすい人物像フォーマット・例文・テンプレートをまとめました。

求める人物像の例文テンプレ(短編)

やりとげる責任感を持つ人
強い意志を持ち、自ら行動する人
高い倫理観をもって誠実に行動できる人
学習意欲が高く、自らの感性を磨ける人
仕事に情熱的をもって、日々努力できる人
周囲と協働し、より大きな力を生み出す人
環境に左右されず、逆境をバネに成長する人
いかなる変化にも柔軟に対応し、前進できる人
相手の気持ちになって考え、気配りができる人
成長意欲が高く、自らを鍛え、最後まで挑戦し続ける人
チームワークを重んじ、周囲に良い影響を与えられる人
情熱とスピード感をもって主体的にチャレンジできる人
共に働く仲間を大切に思い、互いの成長を支えあえる人
高い当事者意識、強い意志をもって物事に取り組める人
途中であきらめずに、最後まで考え抜き仕事をやり遂げる人
現状に甘んじることなく学び続け、自ら進化しようとする人
周囲からの信頼を獲得し、組織として高い成果を追求できる人
どんな逆境にも強い意志を持って取り組むタフさを持っている人
多様な考えを理解し、自分の頭で考え、本質を見極めようとする人

求める人物像の例文テンプレ(長編)

コミュニケーション能力のある方・・・当社では社内スタッフ以外にも協力会社や下請け会社・フリーランスの方々と日々コミュニケーションをとりながら仕事を進めています。一つのプロジェクトに関わる人数も多い為、立場の上下関係なくパートナーさんとコミュニケーションがとれるプログラマーを募集します。

責任感のある方・・・今回募集する一般事務の仕事は請求書発送や入出金管理などミスのない細かい仕事となっています。ミスが起きないようにダブルチェックをする習慣など自発的な責任感が必要になります。決して表舞台の仕事ではありませんが、クライアントからの信頼に関わってくる重要な仕事です。縁の下の力持ちとして活躍してくれる方大歓迎!

行動力と主体性のある方・・・当社の営業部は発足間もなく社内ルールやマニュアルは少ないです。組織も5名と大きくないため指示を逐一出す人間もいません。目標達成のために何をすればいいのか自主的に考え創意工夫を重ね、主体的に行動し挑戦してくれる法人営業経験者を募集します。

ユニークだけど本質的な書き方例文

元気な方 ⇒ 熱いハートとパッションを持った方
明るい方 ⇒ ミスしても悲観せずに笑顔ができる方
挨拶が出来る方 ⇒ 挨拶は元気の源だと思って率先してできる方

人材要件定義の書き方について

募集媒体の最大文字数にも影響されますが、補足や追加説明を記載することをおススメします。なぜコミュニケーション能力が必要なのか、なぜ責任感が必要なのか、を3回くらい自問自答すると自社の求める人材を客観的に理解できます。会社の存在意義(ミッション)や行動規範(バリュー)も使ってみましょう。

人材要件定義の作り方について

社内で働いている従業員の中で一番欲しい人を人物像のモデルケースとして属性・人柄・マインドを分析しましょう。年齢や過去の経歴を始め、長所や短所を箇条書きにすれば、求める人物像が自然に作れてきます。モデルにした人物の将来の夢やプロフィールを分析することで、似たような能力や人生を歩んできた人物からの応募が期待できます。

求める人物像の書き方まとめ

信頼性、協調性、好奇心、向上心、忍耐力、創造性、柔軟性、公平性、計画性、集中力、責任感、専門性、正確性、誠実、チームワーク、リーダーシップ、企画力、バランス思考、ポジティブ思考、論理的思考力・・・などが評価要素になります。表現方法に困ったときはキーワードとして参考にしてください。

人材要件のフレームの決め方がちょっと難しいなと感じたら付き合いのある採用関連の業者に「改善できるポイントはないかな?」と質問をするのも有効です。特に求人広告系の担当者であれば、ノウハウもあるでしょうから的確なアドバイスをしてくれるでしょう。

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