自分自身の性格や特徴について深く考える「自己分析」。就活を始めるときに「まずは自己分析」と言われますが「どうやって自己分析をすればいいのか?」と思う学生も多いと思います。
自己分析に役立つのが自分史の作成です。自分史を作ることで、これまで気づけなかった自分自身の長所や短所を見極めることができます。自分史作成のコツとチェック項目をまとめました。
自己分析とは
自己分析とは「自分がどのような人間であるかを知ること」です。人はそれぞれ違った個性をもっています。その個性を明らかにしていく作業が自己分析と言えます。
就活において自己分析ほど重要なものはありません。現在、新卒者の30%が3年以内に転職をおこなうというデータがあります。これは企業・仕事と自分とのミスマッチが原因で起こります。しかし、根本的な原因は就活の際に自己分析を十分におこなわなかった自分にあるといっても過言ではありません。
認知心理学では頭の良さを規定するものとして「メタ認知」ということが協調されています。メタ認知とは「認知を認知すること」です。例えば、ある問題解決を行う際に「自分の認知が十分なのか」「自分の思考パターンは適しているのか」「現在の感情は適しているのか」等を知っているかどうかです。
つまり、メタ認知が働く人は「自分を客観的に理解している人」ということになります。就活において自己分析を避けることはできません。メタ認知を向上させるためにも、この際、しっかりと自己分析をおこなって、自分を客観的に理解することに努めてください。
過去を振り返る必要性
自己分析の際に、おススメなのが「自分史」の作成です。自分史とは、自分自身の今までの人生を振り返った歴史をまとめたものです。自己分析の目的は、現在の自分を客観的に理解することにあります。
それなのになぜ、過去の自分を振り返らなければならないのでしょうか。それは今のあなたは、過去のあなたによって作られているからです。全ての結果には原因があります。今の自分(結果)を完全に理解するためには、過去の自分(原因)を分析しなければいけません。
自分史作成の5つのコツ
自分史を作成する際の5つのコツをまとめました。
1. じっくり時間をかける
自分史は簡単にできるものではありません。真剣にやれば1~2週間はかかると思います。この作業を怠ると入社後、仕事と自分とのミスマッチが起きる可能性があります。そのような悲劇がないように、じっくりと真剣に作業してください。
2. 両親と話す
少なくとも一度は自分の両親とじっくりと話をするか、電話して聞いてください。大人の目線からあなたがどのように見えていたのかを聞きだせるはずです。
3. 友人と話す
同世代の友人はあなたと同じく就活を行っているでしょうから、自分史作成のためにお互いが協力し合うとよいでしょう。同世代の目線からあなたがどのように見えていたのかを聞きだせるはずです。
4. 通信簿を読む
得意科目や不得意科目は分かるはずです。通信簿には先生が両親に宛てたメッセージが記載されています。これを読むことで、大人の目線からあなたがどのように見えていたのかを知ることが出来ます。「あー、先生が正しかった。先生、ごめんよ」ということがあると思います。
5. 卒業文集を読む
当時の自分の夢や思考回路が分かります。当時の自分が自分自身をどのように認識していたのかを読み取ってください。
自分史作成のための9つの項目
自分史作成する際は、項目ごとに「事実」と「感情」と「影響」を記載するのがコツです。例えば小学校1年生の時に父親からひどく怒られたことがあったとします。
その場合は「小学校1年生の時に父親からひどく怒られた。なぜお父さんは僕を理解してくれないのだろうと僕はとても悲しかった。あの日から僕はお父さんに対して、感情的に線を引いて話し合うようになった」というふうに記載しましょう。
1.基本情報
- 生年月日
- 名前の由来
- 出身地
2.両親について
- 両親の出会い
- 両親の仕事
- 両親の教育姿勢
- 両親の夢
- 両親との直接的な関係
- 学んだこと
- 楽しかった思い出
- 感謝している思い出
- 悲しかった思い出
- 怒らせた思い出
- 許せない思い出
- あなたの両親に対する想い
- 好きなところ
- 嫌いなところ
- 両親の手料理についての思い出
3.幼少期
- あなたが生まれたときの両親の感想
- 幼少期の家や暮らし
- 近所の幼馴染との思い出
4.小学校
- 先生の思い出
- どんな生徒だったか
- 好きな教科や嫌いな教科
- 好きな遊びや嫌いな遊び
- 尊敬していた人物
- 小学校の頃の夢
5.中学校
- 先生の思い出
- どんな生徒だったか
- 尊敬していた人物
- 中学校の頃の思い出
- 親友との思い出
- 先輩・後輩との思い出
- 得意な教科・苦手な教科
- 何が変化していたか
- 競争社会でどう生きたのか
- 自分が成し遂げたこと
- 自分が失敗したこと
- 自分が後悔していること
- 高校受験
6.高校
- 先生の思い出
- どんな生徒だったか
- 尊敬していた人物
- 高校の頃の夢
- 親友との思い出
- 先輩後輩との思い出
- 得意な教科・苦手な教科
- 何が変化していたか
- 競争社会でどう生きたのか
- 最も影響を受けた本や事件
- 大学受験
7.大学
- 先生の思い出
- どんな生徒だったか
- 尊敬していた人物
- 大学の頃の夢
- 親友との思い出
- 先輩後輩との思い出
- 得意な教科・苦手な教科
- 何が変化していたか
- 競争社会でどう生きたのか
- 最も影響を受けた本や事件
- 就職活動
8.恋愛
- どのような人が好きなのか
- どのような恋愛がしたいのか
- 出会いや別れ、辛かった思い出
- それをどう乗り越えたか
9.人生哲学
- 自分にとって「夢」とは
- 自分にとって「人生」とは
- 自分にとって「幸せ」とは
- 自分にとって「愛情」とは
- 自分にとって「仕事」とは
- 自分にとって「家族」とは
- 自分にとって「恋人」とは
- 自分にとって「お金」とは
- 自分にとって「強さ」とは
自分史作成9つの項目の考えるべきストーリー
① 基本情報
<生年月日>
自分自身の誕生日であり、自分自身の歴史的瞬間です。自分自身の始まりはいつのだったのか、それを把握することは、自分物語において大切です。それがどんな日だったのか、といった情報も両親から聞いてみてください。
<名前の由来>
名前は自分自身のアイデンティティーです。名前の由来や、名前に関するエピソードを自分史に記載することはとても重要です。名前は人生に多大な影響を与えているのです。
<出身地>
まず出身地の場所を記載してください。次に故郷に対しての自分自身の想いも記載しましょう。人間は生まれた場所から影響を受けます。どんな影響を受けたかという部分まで落とし込んで、記載してください。
② 両親について
<両親の出会い>
両親が出会ってから、自分自身が生まれるまでのエピソードを記載してください。両親の出会いを知っていますか?知っている人は少ないですよね。聞くのは恥ずかしいかもしれませんが、この際ですから両親に直接聞いてみてください。意外とあなたに影響を与えているかもしれません。
<両親の仕事>
両親の仕事や、両親の仕事に対する考え方を記載してください。両親の仕事は子供の考え方や価値観に大きく影響を与えています。統計的にも経営者の子供は経営者になる確率が、サラリーマンの子供はサラリーマンになる確率が高いです。
<両親の教育姿勢>
両親の教育姿勢を記載してください。例えば「放任主義だった」「スパルタ教育だった」といったものです。両親の教育姿勢が子供に与える影響というものはとても大きなものです。
<両親の夢>
両親の夢を知っていますか?両親が夢を叶えた人ならば、両親はあなたを自分と同じ道を歩ませたい、もしくは「苦労するのは自分だけで十分」と正反対の夢を歩ませたいと思うケースが多いです。両親が夢を叶えられなかった人ならば、その夢をあなたに叶えてもらいたいと思うケースが多いです。このように両親の夢から、あなたは影響を受けている可能性があります。
<両親との直接的な関係>
両親から学んだことや両親との楽しかった思い出、感謝している思い出、悲しかった思い出、怒られた思い出、許せない思い出などを記載してください。怒られた思い出は2つの観点から記載しましょう。
一つ目は、怒られて一番辛かった思い出です。今でも覚えているような一番ショックだった出来事が必ずあるはずです。そういう観点から1つ書いてください。
二つ目は、頻繁に怒られたことについての思い出です。人間は自分の価値観から外れる行動を取られると怒ります。例えば「食事中は礼儀正しくしなければいけない」と思っている親は、子供がクチャクチャと音を立てて食べていたりすると怒るはずです。
その親にとってそれが絶対譲れない価値観だからです。両親の価値観を知るためにも頻繁に怒られたことをよく思い出してください。
<両親に対する想い>
両親に対する想いを記載してください。具体的には両親の好きなところや嫌いなところです。なぜ好きなのか、なぜ嫌いなのか、その理由も忘れずに記載してください。
<両親の手料理についての思い出>
両親の料理についての思い出を書いてください。例えば「豚の角煮が美味しかった」「なんでもありあわせの品で料理を作るのが上手だった」といった感じです。「うちは共働きだったから、小さいときからコンビニ弁当だった」という場合もあるかもしれません。それは辛い思い出かもしれませんが、それはそれで事実を記載してください。食事は人生に多大な影響を与えているはずです。
③ 幼少期
<生まれたときの両親の感想>
自分自身が生まれた時、両親がどう思ったのか、その感想を記載してください。多くの人の場合、両親から「あなたが生まれてきて本当によかった」という感想をもらえると思います。みんなには「自分が生まれてきたことを全肯定してくれている人がいる」ということです。それはつまり、それだけで、自分自身を全肯定する価値があるということです。
一方で、悲しい話ですが「お前なんか生まれてこなければよかった」なんて感想が返ってくるかもしれません。そんなことを両親から言われてしまうことは世の中で最も悲しいことだと思います。
しかし、実際にそういう方がいらっしゃることは事実でしょう。仮に自分がその立場だったとしても、今の自分自身はまっとうに育ち、普通に就活しているわけです。それはすごく立派な事ではないですか?
両親から望まれなかったかもしれませんが、そういう不幸な境遇の中から、自分自身の力でここまでこれたのです。これは素晴らしいことなので、自分自身を全肯定できるだけの理由になります。自分の力で生きてきたということに誇りをもってほしいと思います。
<幼少期の家や暮らし>
幼少期にどのような家に住んで、どのように暮らしていたのかを記載してください。柱の傷や、何かを隠したりした場所であるとか、鬼ごっこをしたことなどです。そこからどんどん派生して色々なことを思い出してください。そして、それが自分にどんな影響を与えたかまで記載してください。
<近所の幼馴染との思い出>
近所の幼なじみとの思い出を記載してください。幼なじみとの関係というのは打算がありません。幼少期は好きな人としか付き合わないし、好きなことしかやらないですよね。そういう頃の自分をよく分析することで、自分が本当に好きなことが分かる場合があります。くだらないと思わずに、しっかりと幼少時代も振り返ってみてください。
④ 小学校
<先生の思い出>
小学生の頃、好きだった先生、嫌いだった先生、最も影響を受けた先生についての思い出を記載してください。なぜそうだったのか、理由やエピソードも忘れないでください。
<どんな生徒だったか>
小学生の頃、どんな生徒でしたか。自分が思っている自分と、通信簿に書いてある大人の客観的な視点から見た自分のギャップをチェックしてみてください。どんな教科が好きだったのか、どんな遊びが好きだったのか。小学校の頃までは自分が好きな事しかやりません。得意・不得意という軸はあまり関係がないのです。好き・嫌いの軸で色々なことを思い出してみてください。
<尊敬していた人物>
小学生の頃、尊敬しているのは誰でしたか。なにも現実の世界でなくても問題ありません。例えばドラゴンボールやドラえもんといったアニメのキャラクターが出てきても構いません。なぜ尊敬していたのか、その理由を記載してください。
⑤中学校
<親友との思い出>
親友との思い出を記載してください。中学校から同志という存在が現れていませんか。小学校までの友人は好き同士の仲間ですが、中学校からは同じ目標を達成する同志という存在が出てきます。
<先輩・後輩との思い出>
中学校では初めて後輩・先輩が出てきます。あなたは上下関係のある人間関係を、どのように育んできましたか。上下関係に適合することができたでしょうか。それとも慣れることができず苦労したのでしょうか。
<得意な教科、不得意な教科>
中学校からは点数で評価されます。好き嫌いだけで教科を判断できません。むしろ得意・不得意といった点で教科についての思い出を記載してください。
<何が変化したか>
小学校と比べると何が変化したかを記載してください。小学校と中学校って結構ギャップが大きいです。この項目ではあなたの環境への適応力・対応力が分かります。成績だとか、上下関係だとか、敬語だとか、小学校から中学校の間にはかなり大きな変化があります。環境の変化へ、あなたはどうやって適応したのかを記載してください。
<競争社会でどう生きたのか>
日本人は中学校になると成果を問われるようになります。勉強での成果や部活での成果などです。例外の人こそいますが小学校までは基本的には競争社会じゃないですよね。好きなことをやっていればいいのです。しかし、中学校からあなたは競争社会に投げ込まれて、成果を出すことを社会から求められるのです。
ですから「どういう成果を出したのか」「どういう失敗をしたのか」「どういう後悔をしているのか」という思い出を記載してください。中学校以降は成果という視点が必要になってきます。
<高校受験>
ここは高校受験でのエピソードはもちろん、高校を選んだ基準について記載してください。重要なポイントは、「実際に入学した高校」を選んだ基準ではなく、「第一志望の高校」を選んだ基準を記載することです。なぜかというと、第一志望の高校を選んだ基準というのは、みなさんが中学3年生の頃に、精一杯考えた社会に対する価値観だからです。
具体的には「私は野球が好きだ。野球選手になりたいから甲子園に出場できそうな高校に行く」「私は一生安泰に暮らしたい。そのためには有名大学に行く必要があるから、進学校に行く」といったものです。当時の自分の価値観を通じて「この高校がいい」と決めているのです。よく思い出してくださいね。
⑥ 高校について
高校は基本的に中学校時代とまったく一緒です。
最も影響を受けた本や事件
一般的に、中学校くらいまでは仲間内だけですべてのことが完結していたはずです。ところが、高校にもなると、例えば、外部の社会の話や世界情勢などの情報を、テレビや本やインターネットといったメディア通じても知ることになります。「こんな日本はダメだ」とか、「日本をこうしていきたい」とか、仲間内だけではなく、外部の社会からも影響を受け始める時期です。そのような思い出を記載してください。
大学受験
大学受験についても第一志望の大学を選んだ基準です。高校三年生の段階で、自分が精一杯考えた社会に対する価値観です。
⑦ 大学
就職活動
現時点で第一志望の企業(業界)を選んだ基準です。大学3年生の段階で、ああたが精一杯考えた社会に対する価値観です。ここをしっかりと記載することで「高校を選ぶ基準」「大学を選ぶ基準」「就活における企業を選ぶ基準」の変遷が分かるはずです。自分がどれだけ成長しているか、もしくは伸び悩んでいるのかを理解してください。
⑧恋愛
あなたの価値観、つまり、どのような人が好きなのか、どのような恋愛をしたいのか、過去のエピソードを交えて記載してください。また出会いや別れ、辛かった思い出、それをどう乗り越えたかなども記載してください。
恋愛は人間の生理的・本能的な欲求の現れなので、その人の人間性が非常に出やすいのです。あなたの恋人を選ぶ基準を重点的に思い出してください。例えば、アクセサリー感覚で恋人を選ぶ人っていますよね。そういう人は就活においても、やはりブランドの高い大企業を志望するケースが多いです。
⑨人生哲学
ここまで書いたものをしっかり熟読して、人生哲学を自分なりに作ってください。あなたにとってお金とは何ですか?
即答できない人は、そのことを真剣に考えたことがないでしょう。優秀な人材は人生哲学と言葉の定義をしっかり持っています。なぜなら真剣に考えているからです。
まとめ
これで自分史は完成です。ここまで書いたら、自己分析において、もう怖いことはありません。企業に提出するエントリーシートが、とても楽に書けると思います。
面接においても、自分自身について聞かれる質問はなんでも答えられるようになっているでしょう。自分史作成を「意味ない」「気持ち悪い」「馬鹿馬鹿しい」と思わずに頑張ってみましょう!
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