大和ハウスの再チャレンジ制度に潜む危険性

大和ハウス工業株式会社が2018年度の新卒採用から導入した「再チャレンジ制度(敗者復活制度)」は、一見すると就活生にとって優しい制度に見えるかもしれません。面接に一度落ちても、再度挑戦できる仕組みは魅力的に映るでしょう。

しかしこの制度、裏を返せば「第一志望以外は受け付けない」という企業の本音が見えてきます。安易に利用すると、思わぬ誤解やミスマッチを生むリスクも。

本記事では、大和ハウスの再チャレンジ制度の詳細と、過去に類似制度を導入した企業の事例をもとに、その裏に潜む危険性や注意点を丁寧に解説します。制度を鵜呑みにせず、自分のキャリアと真剣に向き合うために、ぜひ参考にしてください。

再チャレンジ制度の内容:選考期間中は何度でも挑戦可能

大和ハウス工業は、2018年4月入社の新卒社員採用で、面接試験の合格ラインに達しなかった学生が選考期間内なら何回でもチャレンジできる「敗者復活」制度を設ける。建設業界では人手不足が深刻化しており、優秀な人材の取りこぼしを防ぐ狙いがある。

引用:https://www.daiwahouse.com/about/release/house/20170316143023.html

大和ハウス工業は、2018年4月入社の新卒採用において、「再チャレンジ制度(敗者復活制度)」を導入しました。

この制度では、面接試験で一度不合格となった学生でも、選考期間内であれば何度でも同じ段階の面接に再挑戦できるというものです。人手不足が深刻化する建設業界において、一度の判断で優秀な人材を見落とさないための取り組みとして実施された背景があります。

制度の運用は職種によって異なり、技術職は1次面接から、営業職は2次面接から対象となっています。面接は段階的に進みますが、不合格となっても希望すれば再びその段階の面接から受け直すことが可能です。

なお、社内の合格ラインそのものは変更されず、学生自身が課題を見直し、成長が見られた場合に次の段階へ進むことができます。

大和ハウス工業株式会社とは

大和ハウス工業株式会社とは、大阪府大阪市に本社を構える日本の住宅総合メーカーです。

注文住宅、マンション、賃貸・商業施設、物流施設、医療・介護施設まで幅広く手がけ、都市開発や環境エネルギー事業、海外展開にも積極的です。

  • 会社名:大和ハウス工業株式会社
  • 本社:大阪市北区梅田3-3-5
  • 東京本社:東京都千代田区飯田橋3-13-1
  • 創業:1955年4月5日(設立1947年3月4日)
  • 売上高:3兆1929億円(2016年3月期)
  • URL:https://www.daiwahouse.co.jp/index.html

再チャレンジ制度を導入していた他社の事例

かつて「ベンチャー・リンク(現:株式会社C&I Holdings)」という企業も、再チャレンジ制度を採用していた時期がありました。

表向きには学生の再挑戦を支援する制度として導入されていましたが、実際にはエントリー数を稼ぐための仕組みだったのではないかという印象を受けたのが正直なところです。

特に印象的だったのは、採用担当者が「再チャレンジ制度に申し込んだということは、当社が第一志望であるべきです。他社の内定や選考はすべて辞退してください」と真顔で語っていた点です。

このような説明は選考前には一切なく、理由を尋ねると「聞いてこなかったから説明していない」「質問されなければ答える必要はない」という対応でした。営業手法としては驚きの姿勢でしたが、当時はそれが『企業の論理』としてまかり通っていた時代背景もありました。

ベンチャー・リンクは2006年〜2008年頃には『就職したい企業ランキング』にランクインするほどの人気企業でしたが、後にフランチャイズ加盟店からの集団訴訟(加盟店側の勝訴)をはじめとする複数の問題が表面化し、上場廃止へと至ります。最終的には東京地裁へ民事再生法の適用を申請する事態となり、企業の姿勢そのものが問われる結果となりました。

再チャレンジ制度そのものを否定するわけではありませんが、制度の裏にある企業の本音や意図を見極めることが、学生側にも求められる時代であると改めて感じた経験です。

最後に

再チャレンジ制度は、一見すると学生に再びチャンスを与える公平な仕組みに見えます。ただ、その背景には、優秀な人材の取りこぼし防止というよりも、第一志望の学生をより見極めたいという企業側の意図も含まれています。

企業としては「第一志望の学生を中心に選考を進めたい」という思いがある一方で、「第二希望以下はお断り」とは直接言いづらい場合もあります。そうした中で、再チャレンジ制度を通じて学生の本気度を確かめようとするケースもあります。

就活生側も、制度に案内されたからといって安易に再エントリーするのは避けるべきです。過去には、すべり止め感覚で再チャレンジを利用した学生が、面接の場で「なぜ再度受けたのか」「他社の選考はどうしているのか」といった厳しい質問をぶつけられた例もあります。その場しのぎのエントリーは、企業にとっても学生にとっても時間と労力の無駄になりかねません。

この制度を活用すべきなのは、本当に大和ハウスを第一志望として強い意志を持っている人だけです。自分の志望度と向き合ったうえで、慎重に判断することをおすすめします。

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秋場亮一株式会社リクエストエージェント代表取締役
明治大学経営学部卒業後、ディップ株式会社に新卒入社。求人広告の法人営業に従事。2011年に転職し、成功報酬型求人サイトの立ち上げと事業成長に尽力。2016年に求人広告代理店を創業。企業の採用活動を支援しつつ、これまでの豊富な経験を活かし、就職・転職ノウハウを情報発信中。