介護福祉系求人サイト「ユーキャリア」閉鎖から考えるサイト運営の難しさ

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介護・福祉系求人情報サイト「ユーキャリア」が、2016年11月1日をもってサービスが終了しました。バイトル運営のディップ株式会社やエン転職を運営するエン・ジャパン株式会社が過去最高益を更新している中で、ひっそりとその歴史を終えたユーキャリア。人材不足が顕著なこの時代になぜ求人サイトが閉鎖してしまったのか考えてみました。

ユーキャリアとは

ユーキャリアとは通信教育大手の株式会社ユーキャンのグループ会社である株式会社ユーキャン・キャリアサポート(東京都新宿区)運営の介護・福祉系求人情報サイト(http://www.u-career.jp/)です。

「介護福祉士」「ケアマネジャー」「生活相談員」「社会福祉士」「保育士」といった介護福祉系職種に特化した採用を専門にした特化型求人サイトが特徴です。2011年2月14日にサービスが始まり、2012年10月のリニューアルを経て、約6年間サービスが続きました。

今回のサービス終了の理由は明記していませんが、おそらくはサービス継続の限界を迎えたと想像できます。株式会社ユーキャンは未上場企業ですから株主から短期的な結果を求められません。そのため事業継続のジャッジに比較的余裕がある企業のはず。そのことからも随分以前から厳しい状況に立たされていたのではないでしょうか。サイト売却(事業売却)ではなく、サイト閉鎖という選択肢に一抹の哀愁が漂います。

SEO対策から考える競合他社の状況

介護+求人

1位:e介護転職(運営:株式会社ベストパーソン)2006-04-10 / 10年7ヶ月
2位:介護求人ナビ(運営:株式会社プロトメディカルケア)2005-10-13 / 11年1ヶ月
3位:カイゴジョブ(運営:株式会社エス・エム・エス)2004-03-25 / 12年7ヶ月

介護福祉士+求人

1位:介護求人ナビ(運営:株式会社プロトメディカルケア)2005-10-13 / 11年1ヶ月
2位:カイゴジョブ(運営:株式会社エス・エム・エス)2004-03-25 / 12年7ヶ月
3位:タウンワーク(運営:リクルートホールディングス)2005-10-25 / 11年0ヶ月

保育士+求人

1位:保育のお仕事(運営:株式会社ウェルクス)2010-07-28 / 6年3ヶ月
2位:保育士バンク(運営:株式会社ネクストビート)2013-09-10 / 3年2ヶ月
3位:求人情報ナビ+V(運営:キャリアフィールド株式会社)2004-12-05 / 11年10ヶ月

主要なキーワードから検査順位とドメイン取得日から大体のサービス開始日を調査してみました。やはり「介護求人ナビ」や「カイゴジョブ」といった昔からあるサービス提供会社が検索上位を占めています。

後発サービスで苦労するのがSEO対策

後発サービスで苦労するのが集客力(SEO対策)です。求人サイト運営に関してはビジネスモデルでの差別化が難しいため、知名度やSEOが重要になり、先行者利益が強い仕組みになっています。後発サービスでSEO対策の勝負は非常に不利です。

成功報酬型もビジネスモデルとしては当たり前になってきており、その程度では差別化戦略とは認識されません。Facebookとの連動に特徴があるWantedly(ウォンテッドリー)のような機能面以上の差別化が求められるのが現状です。

掲載数(掲載企業数)の確保が困難

ユーキャリアは2011年にサービス開始と後発ながら、サービスの特徴に差別化されたものがなく、しかも完全な門外漢からの出発ですので、おそらく掲載数(掲載企業数)を集めるのに苦戦していたことが予想されます。

サービスに対する資金投入は不透明ながら、約6年続いたことからある程度は頑張ったのではないでしょうか。しかし人材確保やプロモーションという本気度の観点では身内の人材業界ですらサイト名(企業名)が全然話題にならず、評判も聞いたことがないことから、正直あまり上手くいっていなかった印象が強いです。(弊社も求人サイト運営にはある程度詳しいですが、今回サービス終了までサイトの存在を知りませんでした。)

サイト運営の収益化に最低3年

後発サービスの場合はサイト規模や収益構造にもよりますが収益化に3年は必要になるケースが多いです。私の知っている限りでは早くても1年から1年半かかっています。3年で結果が出ない場合は投資額を回収できなくなる可能性が高くなるため、見切り(サイト売却かサービス終了)をつける企業が大半です。おそらく苦戦しつつも6年間サービスを維持できたのは株式会社ユーキャンという大手企業の潤沢な資金力が背景にあったからで、このケースはかなり特殊です。

ネオキャリア運営の「保育ひろば」に注目

似たような介護福祉系の後発サービスの事例として株式会社ネオキャリア運営の「保育ひろば」が挙げられます。2014年サービス開始の後発サービスで特徴的な機能はないものの、ネオキャリアという営業力と資金力がある企業が運営しており、採用支援会社として人材紹介や人材派遣系などの採用ノウハウも豊富です。今後どうやって大手サイトに対抗していくのか注目していきたいです。

まとめ

採用難の時代背景から求人市場は成長していますが、安易に市場参入しても難しいことが改めて認識できました。経験者や専門家を揃えても既存の大手企業を超えることは並大抵のことではありません。

2016年も多くの求人サイトが生まれました。多くは地域や職種が特化されたニッチ系求人サイトですが、すでにニッチ系も競争の激しいレッドオーシャンの市場です。素人に近いメンバーで進めて成功した事例はあまり聞いたことがありませんので、注意が必要です。社内に人材系出身のスタッフや資金力が豊富にない場合は早めに外部の優秀なスタッフをアサインすることをおススメします。

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