社長公募で失敗した企業・成功した企業まとめ

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採用活動は新卒や中途だけに限らず代表取締役を募集することもあります。マスメディアを利用し、大々的に社長を公募することで優秀な候補者を集めようとする会社。その施策をはたして成功したのか。それとも失敗したのか。社長公募のその後を調べました。

ソフトバンク株式会社

http://www.softbank.jp/corp/special/academia/

これからのソフトバンクグループを担う後継者発掘・育成を目的とした「ソフトバンクアカデミア」が2010年7月28日に開校しました。後継者候補として高い志と資質を持った入校生を社内外問わず募集した結果、約4000人の応募者が集まり、その中から300人が選ばれました。アカデミアの約半分はソフトバンク社員で、残りの多くは起業家だったそうです。

しかし、2015年5月、孫正義の後継者に元Googleのニケシュ・アローラ氏が任命されました。ソフトバンク社長の孫正義から「私の後継者候補であることは間違いない」と公言され、2015年6月、ソフトバンク代表取締役副社長およびヤフー取締役会長に就任。しかし、1年後の2016年6月22日に任期満了をもって取締役を辞任。様々な憶測を呼びながらも後継者育成がゼロに戻ったと言われています。

株式会社ユーシン

http://www.u-shin-ltd.com/

独立系の自動車部品メーカーとして知られる東証1部上場の株式会社ユーシンも社長公募を実施しました。創業家2代目として1978年から約30年以上も社長に就任した田邊耕二氏が、2010年に「海外展開を担う人材が社内にいないため、外部から広く集めたい」として新聞広告による募集を開始。

1700人以上の応募の中から元外務省キャリア官僚の八重樫永規氏を選出、2011年5月に取締役社長代行に就任させました。当初は「半年ほど現場を学んでから社長と副社長に昇格する予定」としていましたが、2012年5月末で八重樫氏は取締役を辞任し、ユーシンを退職しました。

2度目の社長公募とその後

ユーシンは2014年2月に2度目の社長公募に乗り出した。新社長の「最低保証年収」を1億円まで引き上げ募集しましたが書類選考の通過者がなく、打ち切りになりました。その後、取締役3人による集団指導体制に引き継がれました。

その後、2016年11月期決算において96億5900万円の最終赤字に転落し、高齢や業績不振などを理由に2017年1月に田邊耕二氏が辞任。後任には専務から昇格した岡部哉慧氏が新社長になりました。岡部氏はプロパー出身で、3代目社長にして初の非創業家出身のトップとなりました。

株式会社毛髪クリニックリーブ 21

http://www.reve21.co.jp/

株式会社毛髪クリニックリーブ 21は大阪市中央区に拠点を置く日本の頭髪に関するサービス業者です。タレントの和田アキ子さんによる「ナヤミムヨウ」のCMソングがとても有名です。

経営体制の強化と事業拡大を目的に、転職サイト「ビズリーチ」を運営する株式会社ビズリーチと提携し、2011年8月より約2ヶ月間、次期社長候補の公募を行い、約500名の応募者の中から 4 名の次期社長候補者を決定しました。

しかし4名の中から次期社長は選ばれず、2015年9月時点で全員退職。4人の中の一人から「当初から引退の意思はなかった」「テレビに出演する話題作りだった」「虚偽の募集で経歴に傷がついた」と主張しリーブ側に約4000万円の損害賠償を求めることに発展しました。その後、2017年5月12日に大阪地裁は、事実と異なる説明をしたとして慰謝料100万円の支払いを命じました。

関連記事:2017年ユニークな採用手法を実践した企業まとめ

株式会社ジー・モード

https://gmodecorp.com/

オンラインゲーム開発会社の株式会社ジー・モードは2014年4月、社長を一般公募。最終面接は夏野剛、久夛良木健、森下一喜が行うとされ話題になるも、その後の動向は非公表。社長の異動がないため失敗したと思われます。2015年4月、マーベラスの子会社となり、マーベラス役員の加藤征一郎が社長に就任。

社長公募の成功した企業

社長公募で成功していると思われる会社も調べてみました。

若桜鉄道株式会社

若桜鉄道(わかさてつどう)は、鳥取県八頭郡若桜町に本社を置く第三セクター方式の鉄道会社です。ローカル鉄道の例に漏れず過疎化、少子高齢化、そしてモータリゼーションの発達で経営は危機に瀕していました。

2014年6月に社長を一般公募し、2014年9月に由利高原鉄道のITアドバイザーをしていた山田和昭が社長に就任。その後は「若桜谷観光号」「お買いもの列車」「SL走行社会実験」「ラッピング列車」など数々の経営改善策・乗客獲得策を実行。

全国的な注目を集めたのが、2015年4月に実施した「SLの走行社会実験」。若桜駅構内で展示運転(石炭火力ではなく圧縮空気で動く)していた蒸気機関車に客車を連結し、本線を走らせるというプロジェクトで、地域一丸となって取り組んだ結果、1805万円の経済波及効果、4745万円の広告換算効果がたたき出されたそうです。

いすみ鉄道株式会社

いすみ鉄道株式会社は、千葉県夷隅郡大多喜町に本社を置く第三セクター方式の鉄道会社です。

いすみ鉄道は開業以来、慢性的な赤字に悩まされ続けており、存続の危機に瀕していました。経営立て直しのために2007年12月から社長を一般公募。2008年4月に千葉県のバス会社平和交通社長(当時)の吉田平氏が就任。しかし、2009年2月に吉田氏が千葉県知事選挙への出馬と社長辞任を発表したため、 2009年5月に社長の再公募を発表。

2009年6月、123人の公募の中から元ブリティッシュ・エアウェイズ旅客運航部長の鳥塚亮氏が内定し、2009年6月に開かれた株主総会と取締役会を経て代表取締役社長に就任。その後は「訓練費用自己負担運転士」「ムーミン列車の運行」「駅の命名権(ネーミングライツ)売却」など数々の経営改善策・乗客獲得策を実行。

その結果、経営回復が認められ、2010年8月にいすみ鉄道の存続が決定しました。2017年現在において社長公募でもっとも成功していると思われる事例です。

成功と失敗の分かれ目

比較してみると成功した企業は「すぐに社長に就任した」「経営権を持っていた」ことがわかります。また背水の陣で「うまくいかなければ会社を潰す」という覚悟(状況)で募集していることも要因ではないでしょうか。自然に応募者にも覚悟が求められます。

社長公募は厳密には「社長の募集」と「社長候補の募集」に分類できますが、企業が前任者を残したまま「社長候補」という逃げ道を用意してしまうと上手くいかないと思われます。どれだけ優秀な人材でも前任者がいるようでは実力発揮できる環境とは言えません。

特に創業社長が残っていると公募案件が失敗しやすい傾向が見てとれます。創業社長(オーナー企業)の場合、カリスマ性がある一方で、ほとんどがワンマン経営者です。ワンマン経営者は自分とは違う行動や思想の人間を無意識に評価を下げてしまったり、自分の分身を部下に求めたり、イエスマンを好んでしまう傾向(※)があると言われています。そういった背景も公募失敗に影響していると思われます。

※「イエスマンは不要」と言いつつも、結局はイエスマンを好んでしまう経営者が多い。

まとめ

企業にとって後継者問題は大きな問題です。社外公募は多くの候補者と出会えるのがメリットですが、現実的にはうまくいかないケースが多いようです。社長公募で失敗してしまうのは「魅力的な応募者がいない」「求めるハードルが高すぎる」といった、スキルや経験などの表面的な問題ではないようです。失敗している企業は「ないものねだり」してしまっているのが最大の原因ではないでしょうか。

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この記事を書いた人

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