ポジティブ・アクション普及率と問題点

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厚生労働省では中小企業の女性の活躍を推進する取組を支援しています。大手求人情報サイトの求人募集からポジティブ・アクションの普及率や利用率を調べ、ポジティブ・アクションの問題点をまとめました。

ポジティブ・アクションとは

ポジティブ・アクションとは、性別による積極的改善措置を指します。固定的な男女の役割分担意識や過去の差別的な雇用慣行の経緯から雇用の場において事実上の男女格差が生じている場合に、このような格差の解消を目指して女性労働者のために講じる自主的・積極的な措置や取り組みを意味し、アファーマティブ・アクションとも呼ばれています。

1999年に男女共同参画社会基本法が施行されました。2003年にはビジネス分野だけでなく議会議員などの政治分野を含めて指導的地位に女性が占める割合を30%程度にする「2020年30%」の目標実現が政府主導で掲げられましたが、その効果的な施策の一環としてポジティブ・アクションが推進されています。男女雇用機会均等法では、雇用の場における男女の差別的取扱いを原則禁止していますが、ポジティブ・アクションによる女性歓迎の表記は認められており、違反にはなりません。

ポジティブ・アクションを有効活用すると女性の限定募集や積極採用が出来ますが「営業職に女性がほとんどいない」「課長以上の管理職は男性が大半を占めている」といった男女労働者の間に差が生じている場合にのみ適用されます。具体的には募集する職種において、組織における女性割合が4割を下回っていることが条件です。ポジティブ・アクションの意味は採用募集だけの話ではなく、役職への昇進や女性が働きやすい労働環境の整備など事実上の男女格差を解消する取り組みにも適用されます。

ポジティブ・アクション応援サイトでは2017年9月20日現在において女性の活躍推進に取り組んでいる企業が2072社登録されており、様々な取り組み事例を地域・業種・企業規模別に調べることができます。仕事と育児・介護との両立支援事例や平均勤続年数の男女差の詳細情報も登録されています。

ポジティブ・アクション調査方法

求人数が全国で一番多い東京都を対象に調べてみました。勤務地を東京都に設定し、フリーワード検索で「ポジティブアクション」と「ポジティブ・アクション」の両方で検索(※)。そして重複企業を削除した合計値を比較しました。参考値として東京都の掲載件数も調べましたが、同一企業で複数枠を利用している場合もあるため参考程度になります。

媒体のガイドラインは各社違っており、ポジティブ・アクションと書かなくても女性を優先する理由を書けば問題ないとしている求人サイトもありますが、今回はわかりやすくポジティブ・アクションのキーワード単体で調べることにしました。

※完全一致なのか部分一致なのか不明なため

ポジティブ・アクション調査結果

■新卒採用メディア
リクナビ2018:29136件中73社
マイナビ2018:22289件中6件

■中途採用メディア
リクナビNEXT:4293件中13件
マイナビ転職:3623件中1件
エン転職:2975件中7件
DODA:16998件中8件
@type:1882件中0件
転職ナビ:4394件中32件
Green(グリーン) :1924件中2件

■アルバイト・パート系
タウンワーク:152997件中5件
フロムエー:41547件中2件
はたらいく:1631件中3件
マイナビバイト:38826件0件
ジョブセンス:38998件中1件
バイトーク:7661件中0件
モッピージョブ:13567件中0件

※2017年9月20日時点
※リクナビ2018とマイナビ2018は全国対象

調査結果考察

掲載数では就活サイトが圧倒的に多いですが、女性に限定した募集をおこなっているわけではなく、企業の取り組みアピールとして紹介している企業が多かったです。導入企業は飲食業界、不動産業界、タクシー業界が多く、イメージアップに活用されている側面もあります。

ポジティブ・アクション宣言しているのが大手企業中心ですので必然的に就活系サイトの掲載数が多い結果になりました。五分五分と予想していたリクナビとマイナビには12倍の差がありましたが、大手企業中心のリクナビに対して中小企業が多いマイナビという掲載企業の規模の差があるのではないでしょうか。

転職サイトは母集団の差があるため比較対象として不十分ですが、比較的大手企業の掲載率が高いリクナビNEXTと、成功報酬型で掲載数を伸ばしている転職ナビ(旧ジョブセンスリンク)の掲載数が目立ちます。中小企業の掲載が多い媒体やIT系に特化している媒体は当然ながら少ない結果に。社内の取り組みを書けるだけの文字数の余裕があるかどうかも影響している可能性があります。

アルバイト系求人サイトはポジティブ・アクションとの相性の問題で少ない結果になりました。本部が店舗レベルの男女比率を把握していないことや、アルバイトが多い店舗は短期的に男女比率が変化しやすい環境も影響していると思います。また各媒体とも転職サイトと比較して文字数が少ないことも影響していると思います。

媒体別の掲載率ではリクナビ2018が0.2%、リクナビNEXTが0.3%。マイナビ2018が0.02%、マイナビ転職が0.03%。掲載数では母集団の問題で新卒サイトが多いものの、掲載率で見てみると新卒サイトよりも転職型求人サイトが少し高い傾向にありました。

関連記事:アルバイト求人募集の広告表現NG禁止ワードまとめ

ポジティブ・アクションの問題点や課題

ポジティブ・アクションは認知度が課題という意見もありますが、現実的な対応として男女比率の改善はかなり難しいと言えます。男性ばかりの職場に女性が一人だけですと居心地が悪いと感じる人もいるため早期離職に繋がりやすく、男女比率が偏っている職場を半々にするのは簡単ではありません。早期離職に繋がらないように女性が継続就業できる制度策定や、風土改善などのプロジェクトチームといった施策が求められます。

昨今の有効求人倍率の高騰から「誰でもいいから応募してほしい」とする経営者が多いです。ポジティブ・アクションが使える状況でも「男性からの応募数が減るのでは?」「母集団を減らすようなことをしたくない」とデメリットを気にする人もおり、採用現場では男女比率を気にする余裕がないのが現実的な問題点として挙げられます。

またポジティブ・アクションは女性だけ対象にしており男性歓迎は使用できません。政府は優遇措置でなく差別環境の是正措置であると説明していますが、是正されるまでの期間は女性だからという理由で女性を優遇してしまっており、逆差別(男性差別)だと指摘する専門家もいます。ポジティブ・アクション(積極的差別是正措置)に対する意識調査では様々な反対理由が挙げられていますが、社会の意識や慣習が変化すれば自然に達成できるから是正措置を作る必要はないとする意見が強いようです。

まとめ

ポジティブ・アクションの意味や役割は採用だけに限った話ではないものの、採用が重要な役割を担っています。男女共同参画基本法に基づき、内閣府によって設けられた男女共同参画局が啓発活動をおこなっていますが、認知度や活用率はまだ低い状況です。少子高齢化・労働力不足が叫ばれている中で男女平等を成し遂げるためにはこれまで以上の意識改革が求められるのではないでしょうか。

参照:男女共同参画社会基本法-Wikipedia
参照:アファーマティブ・アクション-Wikipedia
参照:ポジティブ・アクション-内閣府男女共同参画局

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