【行政書士の就職事情】資格を取っても仕事がない?!行政書士のニーズとは?

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行政書士の資格を取得しても就職先がない、仕事がない…という話は良く聞きますよね。行政書士の資格は受験資格が緩く、他の法律関係の資格試験より取りやすいために行政書士登録者は増える一方です。しかし、取った資格を生かしてどんな仕事ができるのか、どこに就職できるのかは、なかなか知られていません。現役の行政書士が感じた就職事情をご紹介していきたいと思います。

行政書士の就職事情は?

行政書士は立派な国家資格であり、官公署に提出する書類の作成代行を主な業務としています。しかし、行政書士の資格を取ったからと言って、すぐに就職につながったり仕事が舞い込んでくるわけではありません。

しかも不況ということもあり、行政書士に頼むのではなく自分で書類を書いて提出するという方も増えたために、行政書士のニーズも少なくなってきているのも現実です。

また行政書士の仕事は、弁護士や司法書士、税理士のように、「その資格がないとやってはいけない」という独占業務があるわけではなく、独占業務を侵さない範囲で仕事をしなければいけないという縛りもあるのです。多くの行政書士有資格者は資格をどのように生かして仕事をしているのでしょうか。

行政書士とは

資格の取り方

法律系の資格の中でも、司法試験や司法書士と比べると、行政書士はそれほど難しくない試験だと言われます。合格するための基準は得点が全体の6割とわかりやすく設定されており、試験の内容についても法学部を卒業した人なら、それほど難しくないと言えます。

ただ、法律の初学者となると、行政書士といえども独学で合格するのは簡単なことではありません。法律系の資格予備校やユーキャンの通信講座には、行政書士資格取得向けの講座が数多くあり、難しい基本書から読むよりは、優しく書かれた予備校のテキストから勉強する方が多いと言えます。

勤務体系

行政書士は官公署に提出する書類の作成代行を主な業務としていることから、官公署の勤務体系に準ずる事務所がほとんどです。勤務時間は一般的な時間と同じ9時から18時まで、土日・祝日は休みであることが多いようです。

税理士は決算期や3月の確定申告の時期が繁忙期となりますが、行政書士は仕事の内容によって繁忙期が異なります。例えば、建設関係の仕事を中心にしていれば、経営事項審査が集まりやすい5月あたりが忙しくなりますが、それ以外については、はっきりとした繁忙期はないといえます。

年収の目安

行政書士のほとんどが年収300万円以下で、専業では食べていけないといわれています。一昔前のバブルの頃は、建設関係の申請依頼がたくさんあり、年収が1000万を超える行政書士も数多くいたようですが、既に建設関係の仕事も頭打ちとなっているため、高い収入を得るのは難しいと言えます。

また、士業の中でも行政書士は登録者数も多く、すでに参入している分野の仕事では行政書士間で顧客の奪い合いとなることもあります。2016年4月現在、全国には45,441人の行政書士が登録しており、またその数は更に年々増え続けています。

求められる能力は?

行政書士に求められる能力は、何と言っても「事務処理能力」でしょう。そのため「書類を作るのが苦手」だったり、「パソコンが使えない」というのは業務に支障をきたしてしまいますので必要最低限のスキルと言えます。

また、依頼者の話をじっくり聞く能力も大切です。法律家はついつい正論を言ってしまうことも多のですが、依頼者が求めているのは「信頼できる行政書士」です。依頼者の話に耳を傾けて、相手が何を欲しているかを読み取る能力は、営業職にも通じるものがあるでしょう。

司法書士との違い

行政書士と比較されよく目にするのは「司法書士」です。しかし世間では、行政書士と司法書士の違いがよくわからないという人がほとんどで、行政書士自身もその質問をよく受けるのではないでしょうか。

司法書士の仕事は、登記または供託の手続きの代理、法務局、地方法務局に対する書面の作成、簡易裁判権(認定司法書士)等です。登記については代理権もあるので、本人に代わって法務局とやり取りすることができますが、その代理業務は行政書士ではできません。もし行うと、司法書士法違反となります。

司法書士も行政書士会への登録をすれば、司法書士と行政書士の両方を名乗ることができます。しかし、司法書士はすでに行政書士業務を兼ねていますので、両方登録することはあまり実益はないかもしれません。

社会保険労務士との違い

社会保険労務士は行政書士とのダブルライセンスとして取得している方も多くいます。行政書士のコンサルティング的な仕事の依頼から派生し、労務管理なども任されることも多々あり、行政書士と社会保険労務士の抱き合わせで独立開業している方も多くいます。

社会保険労務士とは、労働関係や社会保障に基づく書類の作成代行等を行いますが、両者の違いは、行政書士は市役所や県庁などに提出する書類を作成するのに対し、社会保険労務士は労働者に保障されている各種社会保険の手続や、労務管理に関する相談、指導を行います。

行政書士の仕事内容

官公署向け提出書類の業務

行政書士は官公署(各省庁、都道府県庁、市・区役所、町・村役場、警察署等)に提出する書類の作成や内容の相談、これらを官公署に提出する手続について代理することを業としています。その書類のほとんどは許可認可(許認可)等に関するもので、その数は1万種類を超えるとも言われます。

例えば最近注目されているのは、子ども園やデイサービスの設立、宿泊施設不足による民泊許可申請など、何か新たに事業を始めたい方の許認可のためサポートということでしょうか。

しかし、提出したからと言ってすぐに許認可がもらえるものではありません。書類の訂正や追加書類の提出など、役所から連絡があるたびに役所出向き、説明を受け、それを一日何回も繰り返しているとかなり時間が割かれてしまいます。

本来、事業を始めようとしている人は、開業準備やスタッフの教育など、運営面で時間を割き、運営に集中するのが理想的です。そこで、書類の作成や提出や訂正など、役所から許認可が下りるまでのサポートをするのが行政書士の役割となります。

依頼者からの相談

書類の作成や、本人の代理として官公署に書類を提出したりするのは基本ですが、依頼者の法律的な相談に乗ることもあります。

しかし、依頼者から報酬をもらって法律相談を行うと、弁護士法違反となり、また、報酬をもらって税務相談に乗ると、これまた法律違反となることがありますので、行政書士はきちんとわきまえて、依頼者の相談を受ける必要があります。

権利義務に関する業務

行政書士は「権利義務に関する書類」について、その作成及び相談を業としています。「権利義務に関する書類」の主なものとしては、遺産分割協議書、離婚協議書、内容証明など様々なものがあります。

離婚協議書などは、どちらかと言うと弁護士への依頼が多いとは思います。しかし、弁護士に依頼すると着手金だけでも30万かかったりすることもあり、もし本人同士で協議離婚がまとまり、特に争いもなく、あとは書類に約束事を書くだけの離婚協議書作成の依頼なら、行政書士に依頼した方が値段も安く抑えられます。

但し、慰謝料や養育費、親権者などの話し合いがまとまっていなかったり、当事者に争いのある場合は、行政書士は紛争に介入できませんので、弁護士にお願いすることとなります。

事実の証明に関する業務

行政書士は「事実証明に関する書類」について、その作成及び相談を業としています。「事実証明に関する書類」とは、社会生活にかかわる交渉を有する事項を証明する文書を言います。

「事実証明に関する書類」のうち、主なものとしては、実地調査に基づく各種図面類(位置図、案内図等)、議事録、会計帳簿、申述書等があります。

例えば、会計帳簿の記帳代行などでは最近、行政書士のニーズが高まっています。毎日の売上や経費のレシートを経理ソフトに入力するのは、手間もかかり大変です。それを行政書士に依頼することで、常駐の経理スタッフを減らし人件費削減を図るなどをしています。ただし、税務相談などは税理士の独占業務ですので行政書士が行うことはできません。

どんな就職先がある?

建設業

建設業とは、建設工事の完成を請け負うことをいいます。建設業は28業種に分かれており、1件の請負代金が税込500万円以上の工事となる場合には、建設業の許可が必要となります。建設業許可の有効期限は5年間です。引続き建設業を営業する場合には、期間が満了する日の30日前までに更新の手続きが必要です。

行政書士には建設業界にかかわりのある仕事もあり、このように建設業の許可を申請したり、更新手続の代行を行うことも業務の一つです。

不動産関連の企業

不動産業界で重宝される資格は「宅地建物取引士(旧・宅地建物取引主任者)」ですが、行政書士の民法の知識は、貸主や借主の間のトラブルなどを解決するのに役立つと言えます。

また最近では、外国人観光客の宿泊施設が足りないことから、民泊申請の代行業が行政書士界で注目を集めています。そして、民泊ビジネスと不動産業は切り離せない関係にあります。

自社で物件運用を行うのももちろんですが、オーナーに対しての資産活用の提案としても民泊ビジネスを提案し、不動産活用をコンサルティングするのは、行政書士の新たなビジネスでもあります。

一般企業

一般企業でも、行政書士資格が一目置かれる場合もあります。例えば「債権回収会社」などは、債権の時効や債権の相続など、民法の広い知識が必要となる会社では、入社後でも積極的に行政書士の資格取得を奨励している会社もあります。

また、企業内のコンプライアンスに携わる法務部の求人では、行政書士などの何らかの法律系の資格が優遇されることもあるようです。就職ではないですが派遣会社などでは、行政書士の資格取得者を優先的に法律事務所へ派遣したりもしています。

行政書士事務所へ就職する

行政書士事務所が行政書士資格者の求人を出すことはほとんどありません。もし求人があった場合でも、ほとんどの場合が事務員並みの安い給料だったりするので、生活するには厳しいのが現実です。

もしこのような前提を知ったうえで自ら個人事務所へ就職を希望するという方の多くは、将来独立開業を考え、修業のつもりで働いているというくらいの気持ちである方がほとんどでしょう。

独立して開業する

やはり、独立開業して成功するのは士業を志す人の夢でもあります。しかし、開業後10年以内の廃業者が50%以上というデータもあるほど、行政書士の廃業率は高いものとなっています。行政書士名簿に登録しただけで依頼が舞い込んでくるというのはほとんどありません。

しかしそうした中で事業を成功させている行政書士もいます。その方たちのブログなどを見てみると、やはり開業後すぐに仕事があったわけではなく、セミナーや商工会などの会合に参加し、人脈を広げ依頼を増やしていった努力の跡が見られます。

また、ニッチな分野に行政書士の活躍の場を見いだし、その分野で先駆者となることができれば、行政書士として高収入も夢ではないでしょう。

行政書士の求人状況

未経験は不利?

行政書士事務所の求人自体、あまり見かけないと言えます。行政書士事務所で働くには、特に特別な能力は必要ありませんが、書類作成が主な仕事内容になりますので、もし求人があったとしても、事務処理能力がないと採用されるのは難しいかもしれません。

また、行政書士事務所ではフットワークの軽さも求められます。役所からの訂正や追加書類をなるべく早めに届けたり、上司からの指示を待っているだけでは仕事が進まないことが多いので、行動力のある人や探究心の高い人は、採用される確率は高くなるでしょう。

正社員採用はある?

行政書士事務所に採用される人は、女性が有利と言われます。官公署に提出する書類は、かなり細かいチェックが入ります。文字の誤字脱字や、指示通りに書いていない場合など、細かく訂正を求められますので、一般的に女性の方が細かいことに気づきやすく、事務処理能力に長けていることが多いからです。

行政書士事務所では、事務員の正社員の採用はありますが、行政書士の正社員採用はほとんどないでしょう。個人事務所の行政書士は行政書士を雇えないということもありますので、あくまでも個人事業主として活動していくことになるでしょう。

私らしく仕事ができるのが魅力的

いかがでしたでしょうか。実は筆者もまだ開業数カ月の新米行政書士です。これからどうなっていくか不安と期待が交差していますが、個人事業主として、誰にも縛られず誰の指示も受けず仕事ができる現在の仕事のスタイルは、ストレスフリーでとても気に入っています。

仕事の依頼は、弁護士や税理士と信頼関係が築ければ、記帳代行などの仕事が舞い込んでくることもあります。行政書士の皆さん、せっかく取得した資格ですので、是非お互いに頑張っていきましょう。

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