【障害者採用の注意点】障害別の向いている職種と受け入れポイント

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本格的に障害者採用を進めようと採用計画を立てる際、悩むのが障害を持つ人をどの職種で採用するのか、受け入れ時にどのような準備をしておけばいいのかという点です。また、採用選考時に気をつける点があるのか知りたい人も多いでしょう。ここでは、障害別に向いている職種と受け入れポイント、採用時に気をつけるポイントをまとめました。

障害別の向いている職種

ここでは、障害別に向いている職種をご紹介します。採用の要にもなる部分ですので、ぜひ参考にしてください。

【肢体不自由】

・事務全般(動きの少ないもの)・テレオペ・SE・デザイナー・CADオペ・設計・IT管理など

基本的に移動の負担が少ない仕事や座席を選んでください。

【視覚障害】

・データエントリー・テープ起こし・総務や経理補助など

視覚的判断や狭い通路や荷物の多い部屋への行き来、頻繁に移動する必要のない仕事を選んでください。

【聴覚障害】

・事務全般(動きの少ないもの)・SE・デザイナー・CADオペ・設計・器材管理・検品など

対人業務の多い仕事や外出の多い仕事をさけてください。

【内部障害】

バックオフィス全般、カウンター接客、テレオペ、・SE・デザイナー・CADオペ・設計・IT管理など

長時間労働や交替勤務、炎天下や寒い場所での勤務を避けてください。薬を服用している人には車や機械の運転をさせないようにしてください。内部障害は先天性の障害よりも、後天性の障害の人が多いので元から携わっていた業務、または経験を活かせる仕事を担当させるとストレスが少なくなります。

【知的障害】

・清掃・シュレッダー・ゴミ分別・郵便の仕分け・各店舗や支店への荷造り・会議室の椅子や机の並べ換え・資料セット・スキャナーでの文書読み取りや名刺管理・給茶機やコーヒーメーカーの管理など

ルールが明確で判断が簡単、なおかつ納期まで猶予のある仕事をお願いしましょう。薬を服用している人には車や機械の運転をさせないようにしてください。

【精神障害】

・清掃・シュレッダー・ゴミ分別・郵便の仕分け・各店舗や支店への荷造り・会議室の椅子や机の並べ換え・資料セット・スキャナーでの文書読み取りや名刺管理・新聞や雑誌記事のスクラップ・給茶機やコーヒーメーカーの管理・社用車の管理・備品の管理や発注など

対人対応が少なく本人の得意分野を活かせる仕事をお願いしましょう。薬を服用している人には車や機械の運転をさせないようにしてください。

障害を持つ人の中には知的障害と肢体障害の両方を持つ人もいます。「この障害だからこの仕事」と決めつけずに、本人とコミュニケーションを取って何が得意で何が苦手なのかヒアリングをしたうえで、業務を決めましょう。また、業務は恒常的にあるものを選ぶと本人のモチベーション維持に繋がります。

障害者を初めて受け入れる時にやっておきたいこと

・ハローワークや障害者専門の人材サービスに採用や受け入れのアドバイスをもらう
・社員へ障害や接し方について学ぶ勉強会を開催する
(耳が聞こえない→聞くのが苦手という意識にする。兄弟に障害を持つ人から話を聞いて題材にすると実情を把握しやすくなる)
・職場内を移動している障害者を見かけたら「お手伝いしましょうか」「○○まで行くなら途中まで一緒に行きましょう」と全社員が自然に声をかけられるようにする
・配属部署、従事する職務、指導担当者を明確に決めておく
・雇用条件は採用する障害の程度や状況に応じて決定する(勤務時間、出社時間、雇用形態など)
・職場の設備環境の見直しとバリアフリー化をすることで怪我や事故のリスク排除を進める
・文字を入力すると音声化するソフトや拡大鏡の導入など仕事を進めやすくなる機材を導入する
・教育体制やカリキュラム、マニュアルを小学生が読んでも理解できる内容で整備する
(マニュアルは教わったことを書き込めるよう行間を広く取る、または右ページに書き込めるようにして1冊で完結するようにする)
・指揮命令者は2人程度にして複数の人から仕事の指示をしない。指揮命令者が不在にならないようにする
・ジョブコーチ支援を利用して障害者が馴染みやすくする
・支援学校や教育訓練校のインターンを受け入れてみる
・服用している薬を把握して通院先やかかりつけ薬局を教えてもらっておく

この中で1番重要なのは、全社員が自然と「お手伝いしましょうか」「一緒に行きましょうか」と声をかけられる職場になることです。このような職場環境になれば、障害者の有無に関係なく全社員が活躍できる職場になるでしょう。

障害別の受け入れポイント

【肢体不自由】

作業台の高さや椅子を変更して安全に仕事ができるようにします。安心して移動できるように社内のレイアウトを変更する。特に机の近くにゴミ箱や資料、カバンを置く社員は周囲の社員も気をつけるようにする。天候が悪い時や天候が悪くなるのがわかっている時の対応を予め決めておきましょう。状況に応じてロボットを使った会議や在宅勤務を導入してください。

【視覚障害】

視覚障害者は社内のレイアウトを覚えて移動をするので、覚えやすいレイアウトに変更して、何がどこにあるのか必ず説明しましょう。机の近くにゴミ箱や資料、カバンを置く社員は周囲の社員も気をつけるようにする。就労移行支援として読み上げソフトや拡大鏡、点字ディスプレイなどを導入する必要があるか確認する。

【聴覚障害】

手話ができない社員が多いと思うので、筆談やチャット、SNSを上手く利用してコミュニケーションを取りましょう。障害の程度により発音が不明瞭な人には、遠慮無く聞き返して筆談かチャットをしてもらいます。先天性の聴覚障害者は読唇術を身につけている人もいるので、どの程度コミュニケーションが取れるのかヒアリングしておきます。社員にはコミュニケーションが取れない、と決めつけずに積極的にコミュニケーションを取るように働きかけましょう。

【内部障害】

どの障害でも風邪が命取りになりやすいので、インフルエンザ流行時の勤務については事前に決めておきましょう。また、定期通勤や透析通院は事前に相談するといった取り決めもしておいてください。ペースメーカーを利用している人は高エネルギー電磁波を避けた座席を用意してください。HIVに関する偏見は入社前に全社員から取り除きましょう。

全内部障害者に共通することですが、予めゆとりのある勤務形態にしていても気候の変動により、体調不良を起こしやすくなります。疲れていても「疲れた」と言えない人が多いので周囲で気にかけてあげましょう。

【知的障害】

あいまいな表現やおおざっぱルールが苦手な人が多いのでルールを明確にしましょう。業務の命令は1人から行い、いろいろな人が口を挟まないようにしてください。担当業務の内容、ルール、仕事の優先順位、上下関係、人の役割を文字や図にして説明してください。知的障害といっても個々で得意なことや苦手なことが異なるので、得意なことを活かせる仕事を任せるように配慮してあげてください。

【精神障害】

車の運転や機械の運転を避けるようにしましょう。統合失調の人は主に下記のいずれかの特徴があります。

・細かい指先の作業が苦手
・複雑なことが苦手
・臨機応変な対応が苦手

必ずしもこの3つの特徴に当てはまるわけではありませんが、どれに当てはまるのか判別して仕事を任せましょう。精神障害の人は疲れやすいので、短時間から始めて互いに状況を見ながら時間を延ばしていきます。判断させることや責任を持たせることを避け、何がストレスになるのか話し合っておきましょう。

障害者採用で気をつけるポイント

最後に障害者を採用する時に気をつけるポイントをご紹介します。・エントリーの窓口をさまざまな障害に合せて広げておきましょう。インターネット、電話、FAX、人材紹介、ハローワークなど考えられるツールからのエントリーを可能にする。

・ハローワークや支援学校、訓練学校、人材紹介からの紹介者の時は、事前にコミュニケーションを取るうえで必要な配慮を聞いて対応する。

・健常者と同じような面接だと話ができない人もいるのでフランクな面談形式にして、付き添いも同席可能にする。
付き添いの人からも接し方の注意点や職場環境についての情報を得るようにします。

・知的障害や精神障害の人の面接では、基本的に1人から行うようにして、複数名から話しかけないようにする。

・長時間同じ姿勢を取ることが難しい人や、長時間緊張状態だと疲労が増す人、集中力が持たない人もいるので、面接時間は短時間にして面接回数を増やしてコミュニケーションを取り入れる。

・内部障害の人には治療状況と通院状況を(通院の間隔や入院治療の有無、医師から言われている注意点)確認する。

・内部障害者や精神障害などの人で服薬している人には、どのような副作用がある薬を飲んでいるか確認する。(本人の了解が取れれば。車や機械の運転制限がないか、の確認を取る)

・何が得意で何が苦手か。どのような環境でストレスを感じるのかを十分にヒアリングをする。
(こういうお仕事をお願いする予定だが、どうですか?という聞き方や実際の仕事動画を見せても良い)

・職場見学ができるのであれば職場見学を実施して、車イスや松葉杖で安全に歩けるのか確認する。

・雨の日や雷雨が予想されている時、電車遅延で通常通り出勤できない時の働き方を、話し会合う。

採用面接という名称ですが、事実上は「受け入れ可能か」を判断する場所です。一方的に質問をするのではなく、互いにコミュニケーションを取りながら「どう対応すれば働いてもらえるか」を考えて確認をしましょう。そのうえで、少しでも働いてもらえる可能性があれば、トライアル雇用が可能か本人に確認をしてトライアル雇用をしてみましょう。

関連記事:【障害者採用の基礎知識】募集方法・障害区分・助成金まとめ

まとめ

障害がある人は教えることが多くて「戦力にならない」は間違いです。障害を持つ人も受け入れ状況によっては十分な戦力になります。各部署で「簡単な仕事だから誰か片付けてくれないかな」と思っている仕事を集めてみると、障害のある人にお願いできる仕事ができるかも知れません。社内で何をどうやってお願いするのか検討してみましょう。

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