人材紹介や人材派遣など新規事業の成功の秘訣

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

スポンサーリンク

人材紹介や人材派遣の新規事業を検討している企業や新規立ち上げに悩まれている方も多いと思います。人材紹介や人材派遣といった人材ビジネスの将来性や市場規模が魅力的に見えるかもしれませんが、事業リスクや抑えるべきポイントをしっかり認識しないと失敗する可能性は高いです。新規参入で成功するコツや集客やコンテンツマーケティングにおける注意点についてまとめました。

人材ビジネスの魅力や市場規模

人材ビジネスは成長市場で市場規模も大きいのが魅力です。景気に左右されやすい事業リスクがあるものの、今後も少子高齢化の影響から売り手市場は続くと予想され、一定の市場規模は確保されています。

有効求人倍率は上がり続け、企業側は深刻な人手不足に陥っているため「優秀な人材が採用できるなら金額は高くても払う」とする経営者も多く、ビジネスチャンスは多いです。経営者であれば一度は新規参入を検討したくなる事業領域ではないでしょうか。

代表的な人材ビジネスとして、求人広告事業、職業紹介事業、派遣事業、請負(アウトソーシング)事業が挙げられますが、これらの4形態の市場規模は、売上ベースで約9兆円(注1)と推定されています。他にも採用代行やソーシャルメディア、バーティカルメディアといった分野もあります。

最近ではHR Tech(HRテック)市場が急拡大しており、株式会社ネオキャリア提供の勤怠管理システム「jinjer(ジンジャー)勤怠管理」といったHR Tech系サービスが日本でも注目されています。

労働者派遣の市場規模

2016年8月時点の派遣事業者数は約19000社(注2)あります。労働者派遣市場は5兆4394億円(注3)。一般労働者派遣事業が3兆9056億円。特定労働者派遣事業が1兆5338億円の市場規模です。

業界大手企業としてテンプホールディングス株式会社が売上5175億円(2016年3月期)。テンプHDは2013年にインテリジェンスホールディングスを子会社化しています。パソナグループは売上2637億円(2016年5月期)。株式会社リクルートスタッフィングは1802億円(2016年3月期)。

人材紹介の市場規模

2014年時点の民営職業紹介事業所数(人材紹介会社)は18800事業所(注4)です。正確な市場規模は不明確ですが、およそ3500億円~4000億円程度だと推測されます(注5)。

株式会社ジェイ エイ シー リクルートメント(通称JAC)が売上112億円(2015 年12月期)。リクルートHD傘下の株式会社リクルートキャリア。テンプHD傘下のインテリジェンスが最大手です。人材紹介部門の売上は不透明ながら各社とも100億以上だと予想されます。

売上100億円以下の中堅規模として医療看護系のエス・エム・エス(カイゴジョブ)、リクルートドクターズキャリア(リクナビ薬剤師)、マイナビ(マイナビ薬剤師)、ディップ(ナースではたらこ)、クイック(看護roo!)が有名です。

いずれの会社も求人情報サイトと並行して人材紹介を展開しているため事業部レベルの売上高は不明ですが、中堅以下でも独自のポジションを確立して成長している企業が多いです。

他にもIT/Web系に強いワークポート、レバテックキャリア、GEEKLY(ギークリー)、キャリアデザインセンターなど業界や職種に専門特化した人材紹介会社も強いです。転職エージェントとして独立開業しやすいため、数名規模の小さい企業が多い傾向にあります。また利益率が高く、数名規模でも億単位の売上/利益が可能です。

人材ビジネスの特徴

人材ビジネスの特徴はビジネスモデルが非常にシンプルなため、参入障壁が低いことです。一方で参入障壁が低いからこそレッドオーシャンと呼ばれる競合他社が非常に多い市場です。不動産や金融もレッドオーシャン市場の代表格ですが、人材紹介や人材派遣は国内トップレベルのレッドオーシャン市場です。

人材ビジネスの大手企業と言えば1兆2500億円の売上規模を誇る総合人材ビジネスの株式会社リクルートホールディングスが人材業界を牽引しています。リクルートはあらゆる人材ビジネスのトップランナーであり、競合してしまう企業です。

新規参入の可能性と是非

もしも人材派遣や人材紹介での新規参入の相談を受けたら「正気ですか!?」「止めておけ」とアドバイスする人が大半だと思います。理由として競争が激しい市場や後発サービスの難しさが原因です。人材ビジネスに長年携わっている立場からすると、大企業からベンチャー企業まで多くの企業が参入し、多くの企業が撤退もしくは倒産した死屍累々の歴史を見てきているからです。

また人材派遣や人材紹介は募集案件での差別化ができません。そのため新規参入を検討する企業には地域や業種など、勝負するジャンルを限定することをおススメします。プラットフォームとして確立されているリクルートやパソナと同じ土俵で勝負するのは正気の沙汰ではありません。

新規参入する企業の特徴

2014年以降にそれでも新規参入を検討する企業には特徴があり、なんらかの強みを保有しているケースが多いです。例えば黒字化している事業を保有、大手資本力がある、資金調達が上手な経営者がいて外部資金調達が出来ているなど体力(資金力)に強みがある企業。

既存事業とシナジー(相乗効果)が期待できる、取引先企業はすでに開拓済みであるなど営業力が強い企業。他に徹底したニッチ戦略、職種やエリアを限定しているなど大手企業が手を出せないジャンルで勝負をかける企業が挙げられます。

新規参入の絶対条件

ストロングポイントがあるからといって成功率が上がるわけではありません。多くは人材ビジネスの知識やノウハウがないままスタートし、失敗しています。そのため人材派遣や人事紹介ビジネスに従事している人間からすると「今から参入しても難しい」と回答する人がほとんどだと思いますが、私は「非常に難しいが、まだギリギリ勝てる要素はある」と思っています。

ただし集客モデルの確立が絶対条件になり、この部分に強みがあれば新規事業の成功率は高いです。参考例を挙げればFacebookという集客ツールを最初から確立していたWantedly(ウォンテッドリー)がいます。集客部分の強みがない場合の成功率は非常に難しいです。資金があっても3年以内に黒字化もしくは黒字化の目処が立たなければ撤退を余儀なくされるでしょう。

特に全業種と全職種を対象にしている差別化していない企業や、エンジニア常駐派遣、システムエンジニアリングサービス(SES)系まで広げたい企業の集客はとてつもなく難しいため、優秀なメンバーがいても相当厳しい戦いを強いられます。スタート時に小さく始めて、少しずつスケールアップさせようとする場合でも同様です。

今後おススメの集客戦略

人をどれだけ集められるかが新規事業が成功するかどうかの分かれ目になります。人材ビジネスのビジネスモデルはシンプルと言いましたが、簡単に言うと企業に人を紹介(派遣)するだけです。そのために採用したいと考える企業を集め、働きたい人を集めたらビジネスは上手くいきます。

派遣と職業紹介ともに募集企業と労働者を両方集める必要がありますが、労働者の獲得が先決です。いくら採用予算が数億円の企業を獲得しても、紹介(派遣)できる人がいなければ売上には繋がりません。逆に、紹介できる人がいれば企業開拓は比較的容易です。ただ人材の集客は簡単ではありません。

なぜか人材ビジネスに詳しくない新規事業の責任者ほど「他の企業がやっていない集客方法」を探す傾向にありますが、誰も知らない集客方法や奇をてらった集客方法はありません。そんな奇跡のような方法を検討する時間があれば、正攻法をどれだけ頑張るかに注力したほうが賢明と言えます。次にどんな集客方法があるのかまとめました。

集客方法1:大手求人情報サイト

一番オーソドックスな方法としてリクナビネクストやマイナビ派遣などの日本最大級の求人媒体(メディア)で募集することです。即効性に優れており、広告予算が潤沢にある企業におススメの集客方法です。求人情報サイトはプロモーションも積極的に展開しており、ユーザーの認知度も高いです。ユーザーの最初の選択肢として入るため、応募数は期待できます。

しかし、少ないユーザーを多くの企業が奪い合っている状況で、反応が落ちてきているのも事実です。差別化が難しい人材派遣や人材紹介では特に顕著に表れています。応募数は計算できるものの、費用対効果は優れていないため、大手求人情報サイトだけに依存するのはおススメできません。

集客方法2:indeed(インディード)

二番目によく挙がる集客方法がアグリゲーションサイトの「indeed(インディード)」です。上手く運用できれば一番CPA(顧客獲得単価)が優れた集客方法と言え、中堅規模以下の人材紹介や人材派遣会社におススメの集客方法です。

indeed(インディード)は無料で掲載でき、PPC広告(クリック課金型広告)として費用対効果に優れたシステムです。サイトトラフィックもアグリゲーションサイトの中では断トツに一番で、2014年頃までは圧倒的にコストパフォーマンスに優れたサイトでした。

ただし最近ではタウンワークやバイトルなど大手求人情報サイト運営会社が月額数千万の広告予算をかけて上位表示枠を独占しており、中堅規模のサイト運営会社や人材派遣会社も多数広告を出稿しています。「インディードを利用すれば応募が集まる」と安易に考えていると全く反響は期待できません。

インディードでの集客に重要なのは業種×職種×エリアをどれだけ細分化して効率的な運用ができるかがポイントになります。例えば正社員案件を全部掲載するとCPA(顧客獲得単価)が悪くなってしまうため、「東京都の一般事務に絞って掲載する」「エンジニア以外の案件を募集する」といった運用が求められます。

また自社サイトからクロールしてもらうのであればindeedに好まれやすいページ構成にできているか、クロールの方法はどの手法を依頼するのか。もしくはデータフィード最適化という手法を選択するのか、そのための準備はできるのか、など考えることは多いです。

広告運用担当者には広告予算や営業の優先順位を調整しながら最適化する能力が必要です。この運用部分を内製化するには非常に手間と工数がかかるため、一定規模の広告予算があれば全部外注することをおススメします。

集客方法3:オウンドメディア運用

三番目に今流行りのオウンドメディアです。様々なキーワードをSEO対策することで、成功している企業もいます。自然検索での問い合わせ増加には基本的に1年以上かかるものの、成功すれば半永久的に無料で集客できます。事業の目標売上次第ではオウンドメディアだけで集客が完結することも可能です。

ある転職エージェントが運営しているオウンドメディアは月間100件ものユーザー問い合わせを獲得できており、小規模な会社であれば、自然問い合わせだけで十分なボリュームです。ただしオウンドメディアは即効性に弱く、運用ノウハウがないまま始めた企業は効果を実感できるまでに諦める企業が多いです。

どのアドバイザーも「自然検索での集客ができれば理想ですね」と回答する人が多いと思いますが、集客方法としての難易度が一番高いのもオウンドメディアかもしれません。だからこそ後発でもまだ勝てる要素があり、チャレンジする価値があります。

⇒オウンドメディア・集客支援の無料相談はこちら

集客方法4:リスティング広告やソーシャル広告

他にリスティング広告、Facebook広告、Twitter広告がありますが、あくまでサブ方法としておススメします。特にツイッターは、母数は稼げないけどCPAは良い場合が多いです。検索連動型広告(リスティング広告)はユーザーのITリテラシーが高まったことから効果が落ちていますが、予算に余裕があればやっておいて損はありません。

フェイスブックやツイター広告はインハウスで運用するよりも、専門会社に外注することがスタンダードです。一定規模以上の企業はほとんど外注しています。なお薬剤師や保育士や介護士といったキーワードは超激戦キーワードなので、仮に薬剤師専門サイトであっても基本的に除外したほうがいいと思います。

マーケティング部署の理想的なプロジェクト体制

1. 事業予算があるケース

運用体制:社内1名、社外2~3社
広告予算:月額300万円

統括責任者(プロジェクト進行管理などディレクション業務全般)
-SEO対策会社(サイト開発や保守運用を含めたコンサルティング支援全般)
-オウンドメディア支援会社(企画提案~記事発注~集客拡散までの運用全般)
-広告運用会社(リスティング広告、Twitter広告、Facebook広告など広告運用全般)

事業予算がある場合もしくは即効性を求める場合は、それぞれの役割ごとに専門家を配置するのがおススメです。統括責任者には様々な広告運用知識と人材系ノウハウがあるオールラウンダー型が求められます。

2. 事業予算がないケース

運用体制:社内1名、社外1社
広告予算:月額50万円

Webディレクター(ライター兼編集者/オウンドメディア担当)
-SEO対策会社(サイト開発や保守運用を含めた総合的な支援全般)

事業予算が少ない場合は、集客方法はオウンドメディアに限定して、SEO対策会社と二人三脚で進めていくのがおススメです。責任者のWebディレクターにも実際に動いてもらうため、ライティング能力もあるウェブ編集者タイプが求められます。SEO対策会社にはオウンドメディア支援やデザイン制作など幅広い依頼に対応できる会社が必要不可欠です。

関連記事:求人サイトのSEO・広告運用・集客施策6つの注意点

まとめ

潤沢な広告投資ができ、求職者の集客を安定的に行える会社と、媒体依存や自社集客の弱い会社では、利益面で大きな差が生まれます。オウンドメディア戦略が今後の主流となってきますが、成功している企業は全体の約1%ぐらいではないでしょうか。

未経験から試行錯誤するよりも、専門家をアサインしたほうが黒字化までのショートカットが可能です。今回新規事業を始めるにあたって注意てしてほしいポイントをまとめましたが、企業側には慎重に検討してほしいと思います。

注1:一般社団法人 人材サービス産業協議会
注2:一般社団法人 日本人材派遣協会
注3:厚生労働省「平成26年度労働派遣事業報告書」
注4:厚生労働省「平成26年度職業紹介事業報告書」
注5:リクルートワークス研究所「人材ビジネスの市場規模と事業展望」

スポンサーリンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加