メルカリの採用オウンドメディアmercan(メルカン)大成功の理由

メルカリ運営のmercan(メルカン)が大成功しています。オウンドメディアが乱立している中で何故メルカンだけが成功しているのか。その理由をまとめました。

株式会社メルカリとは

株式会社メルカリ(https://about.mercari.com/)とは2013年2月1日に設立された東京都港区に本社を置く日本の企業です。フリマアプリ「メルカリ」のサービスを基幹事業としています。2016年6月期(15年7月~16年6月)の売上高は122億5600万円(前期比189%増)、営業利益は32億8600万円(前期は11億400万円の赤字)。

メルカンとは

メルカン(http://mercan.mercari.com/)とはメルカリが2016年5月から運用している採用オウンドメディアです。メルカリのヒト ・コトにフォーカスを当て、メルカリのことを伝えるメディアです。採用情報に限らず、 各チームや職種、メルカリでの出来事を伝えています。

調べたところ従業員数は2016年2月時点で230名でしたが、 2016年11月時点で350名、2017年2月に400名に増えていました。 9か月間で1.5倍、12ヶ月で1.7倍と推移しており2016年から2017年にかけて急拡大。全てがオウンドメディアの影響とは言えませんが、オウンドメディア公開後の時期から採用が非常に成功していると言えます。

IT/Web業界の採用では「優秀な人材はすべてメルカリに奪われる」と噂されるほど多くの転職希望者にとって魅力的な会社のようです。そのメルカンを真似しようとする会社もあるようですが、非常に難しいので、おススメはしていません。メルカンはメルカリだからこそ出来るオウンドメディアであり、メルカリ以外の会社が実行しても成功するのは困難です。メルカンだけが成功している理由を4つにまとめました。

成功理由その1:会社

まず会社に勢いがあり魅力的であることが挙げられます。2016年6月期を見ると売上は前年同期比で約2倍の成長をしており、4期目で初の黒字化を達成。サービスも国内で確固たる地位を確立できており、まだ伸びる余地も多く残されています。会社がちょうど拡大期にあり、働く立場からすると非常に魅力的なステージにあります。

またメルカリ経営陣が採用に関して非常に意識が高く、危機感をもっているそうです。人事部や採用担当に任せっぱなしにする経営者や、採用の理解度が低い会社では、如何に採用責任者が優秀でも限界があります。サイバーエージェントは採用が非常に上手ですが、その理由は藤田晋社長が採用に熱心だからです。採用担当者にとって理想の環境がメルカリにあるようです。

成功理由その2:待遇

福利厚生の一例:ストックオプション、フリードリンク制(社内設置の自販機を無料で利用可)、死亡保険加入、病児保育費支援(ベビーシッター代などを会社が一部負担)、出産休暇&お祝い金(有休3日と10万円を支給)、結婚休暇&お祝い金(有休5日と5万円を支給)、弔事休暇&弔慰金(有休3~7日と5~10万円を支給)メルカリロゴ入りパーカー・Tシャツなどノベルティ支給・・・etc

多くの企業が「従業員を大切にしている」と言いながら給与が高くなかったり、福利厚生があまり充実していないのがほとんどです。しかし、メルカリは実際に福利厚生が充実しているのが特徴です。ベンチャー企業にありがちな高い基本給やインセンティブだけでなく、様々なライフイベントの変化にも対応できる福利厚生が揃っています。

就職や転職する際に会社を選ぶ軸として「ベンチャーは仕事は面白いが待遇が悪い。大手は仕事は面白くないが待遇は良い」と考えるのが一般的です。20代前半・後半の男女にとってベンチャー志向か安定志向かは必ず選択しなければいけない条件だと思いますが、メルカリの場合、ベンチャーと大手企業両方のメリットが揃っています。

関連記事:絶対に成功するエンジニア採用!ウォンテッドリーを始める前に読むべき初心者ガイド

以前にWantedly(ウォンテッドリー)でのエンジニア採用の記事を書きました。この記事では安易にウォンテッドリーを始めてもエンジニア採用は成功しない注意喚起をしています。また、高難易度の採用を実現させるためには会社の知名度や待遇が必須条件だと伝えています。この必須条件に当てはまっているのがメルカリです。採用が上手くいっている会社は「いい媒体」で募集しているからではなく、「いい募集」が出来ているからです。

ここまでのまとめ

知名度の高いサービスを展開し、待遇が良ければ自然に転職希望者は集まってきます。転職エージェントも紹介しやすい環境が揃っているため紹介数も高いです。メルカリも採用オウンドメディアを実践しなくても一定レベルの採用はできるレベルにあります。しかし待っているだけでは優秀な人材は獲得できません。国内で考えると他にも待遇が優れている素晴らしいサービスを展開している企業はたくさんあります。

優秀な人材は早期に転職活動が終了したり、複数の会社から内定を得ています。そのため優秀な人材と出会える機会は少なく、出会えても内定辞退が高くなります。そういった人材をメルカリに入社してもらうために採用オウンドメディアという手法を取り入れ、現段階ではオウンドメディアを成功させています。次にオウンドメディアを成功させる理由をまとめました。

成功理由その3:運用

週に1度の編集会議で、各部署に所属しながらメルカンも担当する編集チームが6〜7人集まって、ネタやスケジュールを決定。私は、掲載前の企画チェックに業務を寄せていて、コンテンツに合わせてメンバーが取材や執筆、撮影などを行っています。

引用:採用オウンドメディアはやるべき?メルカリのコンテンツプラットフォーム「mercan(メルカン)」運営の裏側

基本的にKPI(重要指標)は置いておらず、PVやシェア数を目標にしてはいないそうです。更新は2〜3本ですが、これを1年間継続させることは非常に難しいです。よくある失敗例が、社長命令で若い採用担当者が一人で運用し、途中で力尽きるパターンです。

適切な更新頻度は会社やコンテンツ内容にもよりますが、負担を考えると週に1回か、2週間に1回から始めるのがおススメです。一般的なメディアと違い、毎日更新することは厳しいです。(実行できなくもないですが、内容が薄くなるためおススメできません。)

採用オウンドメディアの目標は「採用ブランディングの形成」が挙げられますが、これは数値化しづらいためモチベーション維持が難しかったり、周囲の理解も得られづらかったりします。そのため更新数を目標にする組織が見受けられますが、息切れが早くなるので、メルカリのように目標を置かないことも大切ですね。運用スタンスは負担をかけすぎないことが継続の秘訣です。

関連記事:カラリア更新から考えるオウンドメディアのリスクと継続の秘訣

成功理由その4:人材

採用オウンドメディアの場合、本サイトへの誘導を図るタイプのオウンドメディアと違い、ライターが会社のことを理解する必要があり、取材場所も社内になるため外注できないケースがほとんどです。つまり完全内製化しなければいけず、自社内でライターや編集者が必要になります。

メルカンの場合、編集長にはエン・ジャパン株式会社が運営する「CAREER HACK」の元ディレクターさんが携わっており、オウンドメディアを継続・更新できる条件が揃っていました。第三者目線でメルカンを見てみると自己満足にならないコンテンツ作り・内輪ネタにならないような工夫が上手だなと思います。

まとめ

メルカリは採用オウンドメディアを成功させる要因が全部揃った稀有な存在であることがわかって頂けたかと思います。オウンドメディアを始めたいと考える企業は多いと思いますが、そもそも待遇が競合他社よりも高いか確認してみましょう。いくらオウンドメディアを頑張っても待遇が良くなければ意味がありません。「自分たちは良い会社です!」と発信するのは簡単ですが、仮に入社しても「思っていたのと違っていた」と早期退職に繋がります。

採用活動において情報発信は非常に大切なので、オウンドメディアという選択肢は間違っていません。しかし気軽に始めても、効果を実感できるまでに時間がかかるため途中で痛い経験をします。オウンドメディアを継続させるためには様々な要因・条件・努力が揃って初めて成功します。今後もメルカンの独走態勢は続くのか、他の新興メディアが現れるのか。メルカンがどのように成長・変化していくのか注目していきたいと思います。

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